【番号の違い】SUS 304や430の違いとは?!
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こんにちは!
群馬県高崎市にございます(株)三和鍍金 事務の根岸です。
弊社ではステンレスの電解研磨処理をやっておりますが、図面の端に《SUS304》《SUS430》などと記載されているのを見かけます。
弊社ではステンレス電解研磨の取り扱いがございますのでお気軽にお問合せ下さい。
また、お客様からも「ステンレスの4系はできますか?」等、問い合わせ頂くことがございます。
…ん??SUSの後に続く番号は何なんだ…?と疑問に思ったのです。
そこで!今回はSUSの後に続く番号の意味について調べてみました。
そもそもSUSって何?
先程からステンレスやSUSという単語を連発しておりますが、
‘SUS=ステンレス’のことです。
SUSはサスと呼ばれており、Steel Use Stainlessの略称です。
Stain(よごれ・サビ)less(少ない)という言葉の通り、ステンレスはサビに強い合金鋼として知られております。
鉄材は水や空気に触れると酸化し腐食が始まります。
鉄よりも先に酸化するが サビに強い クロムやニッケルなどを鉄に添加することで、材質表面に不動態被膜が形成され耐食性が上がる金属、これがステンレス鋼です。
ステンレスの種類
ステンレスは混ぜられる金属の種類や量により特徴が変わります。
そのため200種類以上のステンレスがあるのですが、その中から代表的なものをピックアップします。
◆オーステナイト系ステンレス鋼(300番台)
オーステナイト系ステンレス鋼とは鉄に約18%のクロムと約8%にニッケルを合金したものです。
代表的なのがSUS304です。(よく聞くやつです!)
全ステンレス鋼の生産量のうち、約60%以上がこのSUS304だそうです!
特徴としては、強度・耐食・耐熱に優れております。熱伝導が低く保温効果もあります。
見た目がピカピカなので、外観になる製品にも向いています。ただし磁性はありません。
レアメタルのニッケルを含んでおり、ニッケルには粘りと強度を増す特徴もある為、クロムと合わさることにより強めの酸化被膜が形成され耐食性も高くなります。
《使用されている物》
原子力機器、化学プラントなどの重要な工業設備
食品工場の設備 etc…
長期間衛生的に使用できるのがポイントです。
◆フェライト系ステンレス鋼
フェライト系ステンレス鋼とは鉄に約18%のクロムを合金したものです。
代表的なのがSUS430です。(こちらもよく聞くやつです!)
オーステナイト系に比べると、強度・耐食性など少し劣りますが、ニッケルが添加されていないので安価で、価格重視の方にはオススメです。磁性も持ち合わせています。
加工がしやすく溶接時に膨張もしずらいので精度が求められる製品を製作する際に向いています。
《使用されている物》
スプーンやフォークなどの小物、台所のシンクや厨房製品
自動車排気管
建物の屋根 etc…
こちらの方が身近に感じますね!
また、400番台にはマルテンサイト系ステンレス鋼という物もあります。
こちらは鉄に約13%のクロムが合金された物で、SUS403、410、420です。
オーステナイト系やフェライト系には少し劣りますが、耐食性もあります。
他の2つが焼入れ硬化(熱によって硬化させる加工)ができないのに対し、マルテンサイト系は焼入れ硬化できるのが特徴です。硬く耐摩耗性に優れています。
《使用されている物》
工具・刃物・ノズル etc…
他にも以下のような種類のステンレス鋼があります。
◆オーステナイト・フェライト(二相)系ステンレス鋼:SUS329等
オーステナイトのような高い耐食性を持ちつつ、塩素イオンによる応力腐食割れに強い特性を持つステンレス
(使用されている物:海水熱交換器、工業用水を用いるパイプ等)
◆析出硬化系ステンレス鋼:SUS630等
焼入れ硬化できないオーステナイト系に、銅を添加することで熱処理が可能となり、高強度・耐食性を兼ね備えたステンレス
(使用されている物:シャフト・タービン部品、ばね材・スプリングワッシャー等)
電解研磨できるのはどれ?
では、弊社で処理できるのはどのステンレスなのでしょうか?
メインはオーステナイト系(300番台)です。その中でもSUS304は多く処理しております。
前述したとおりステンレス鋼はたくさんの種類がある為、300番台でも材質により仕上がりに違いも出てきます。
またフェライト系(400番台)も処理しておりますが、こちらはバリ取りがメインとなっております。
SUSの後に続く番号によっては、電解研磨処理が綺麗にあがるものそうでないものが出てきますので、処理ご希望の際はご相談ください。
一方で、SUS420J2やSUS630など、SUSだとしてもその成分によっては正常な表面処理ができないものも存在します。
たとえばたまにお話をいただくSUS440Cなどは電解研磨において異常な反応を示しますし、
SUS630の不動態化処理というのも正常に処理ができなかった経験がございます。
処理の目的にも依りますが、たとえばSUS440Cのバリ取りであればバフ研磨のような物理研磨を用いるなど、代替の方法にて処理するのが適切です。
まとめ
ステンレスは一言では語れないくらい種類があるようですね!
今回は代表的なSUS304と430に焦点を当てて書きましたが、私たちの生活に合わせてステンレスも改良されているのだなと感じました。
弊社で行っているステンレス製品の電解研磨ですが、処理前と、処理後を見比べて‘見違えるくらいピカピカになったなぁ~♩’ と思っていいただけでした。
ですが、これからは用途に合わせて製品も作られているのだな…と今までとは違う視点からも見ることができそうです。
このステンレスは電解研磨できるのか?
どのくらいの光沢・仕上がりになるのか?
分からない方もいらっしゃるかもしれません。
そんな時は(株)三和鍍金にお問合せ下さい!メッキのプロがご提案させて頂きます!
お気軽にご連絡ください(*^_^*)
執筆者プロフィール
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ウエディング・旅行業界で勤務後、株式会社三和鍍金に入社。
事務員として伝票発行や納期管理をする傍ら、サービス業で培った高いホスピタリティ(おもてなし精神)を活かし、三和鍍金に関わる全ての方々が気持ち良く過ごせるようなお客様対応を心がけている。
メッキについて初心者であることを活かし、「メッキ初心者の視点」で書いたコラムはいずれも高い人気を博している。
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