【見た目じゃわからない?】クロムメッキとステンレスの違い
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※2023年9月19日に加筆修正いたしました。
皆さま、こんにちは。群馬県高崎市にある(株)三和鍍金の武藤です。
今回は【見た目じゃわからない?】クロムメッキとステンレスの違いについてということで
解説していきます。
弊社ではステンレス上へのめっきも可能となっておりますので是非お気軽にお問合せ下さい
ステンレス上へのめっきについてはこちら👇
「クロムメッキ」と「ステンレス」ってシルバー色で見た目は変わらないですよね。
どっちがどっちと分からないこともあると思います。
この際に両者の違いを把握して「分からない?」を「分かった!」にしておきましょう。
そもそも「メッキ」と「ステンレス」はそれぞれ金属被膜と金属単体ですから違うのですが
それぞれどういったものかをおさらいします。
それでは行きます。
※ステンレスについてはこちらの記事もご参照ください。
めっきとは
めっきとは金属を溶液に溶かし処理物にめっき被膜を生成するものの総称として呼ばれています。
金属を溶かし処理物にめっき被膜としてつけているのでめっき被膜=金属被膜と捉えていいでしょう。
ステンレスとは
ステンレスとは鉄にニッケルやクロムを主要添加元素とした合金の総称としています。
実はこの「ステンレス」Stainless Steelの略称で本来は「ステンレス鋼」なのです。
それを略して「ステンレス」と呼んでいます。
また、Sus(サス)などとも呼ばれています。
ステンレスにはたくさんの種類がありSus340,Sus316とかありますよね。
これはステンレス鋼に含まれるクロムやニッケルの成分の組成によって種類があり特性があります。
熱処理をすることで内部組織が変化したりするので目的の特性に合わせて使用されることが多いです。
熱処理に関してはこちら
さぁそれぞれざっくりと分かったところで両者の違いを見ていきましょう。
クロムメッキとステンレスの違い
そもそも何故両者の違いを知りたいかという問いのほとんどは
「鉄の上にめっきを施しているものなのか」或いは「ステンレスそのものなのか」だと思います。
ステンレスは加工をする際に素材材料を買ったモノを加工するのですが
材料が納入された時点で酸洗い材や磨き材といった下地の表面処理がされた状態で納入される事があります。
我々の所に納入されるステンレス素材は主に2B材やBA材と呼ばれるものが多く使われていますが、
ステンレスの表面処理状態によってはすぐわかるものがあります。
※2B材やBA材についてはこちらの記事もご参照ください。
一例がこの2B材です。
2B材とは表面処理をする前のステンレス素材になります。
ステンレス 2B材
![](https://sanwamekki.com/info/wp-content/uploads/2021/02/77147f5ae4794a11b330b9db20f5e2a2-1024x700.jpg)
あまり光沢が無く、ぱっと見でクロムメッキでないことは分かりますよね。
でもこれもステンレスなのですよ。
さて、皆さんが知りたいのは光沢があるBA材とクロムメッキの違いだと思います。
それではこのBA材とクロムメッキの違い、いくつかの視点から見ていきたいと思います。
まずは画像でご覧になって頂きましょう。
ステンレス BA材
![](https://sanwamekki.com/info/wp-content/uploads/2021/02/a2685b0bd567003728a4677af832a0fc-rotated.jpg)
クロムメッキ
![](https://sanwamekki.com/info/wp-content/uploads/2021/02/82e5dc0b6a8d11c335a8ba065aa95bc6-1-rotated.jpg)
ステンレスBA材とクロムメッキの比較(左がステンレスBA材、右がクロムメッキ)
![](https://sanwamekki.com/info/wp-content/uploads/2021/02/f936cf9e9e3ae3e83b20561e2348f07e.jpg)
見た目
見た目は一見すると同じに見えますがよく見ると色味が違うのが分かると思います。
写真を撮る際の光の反射にもよって変わるので画像だと判断しづらいですが・・
BA材の方が多少赤みがあり、クロムメッキの方はまさにシルバー色ですね。
しかし、ステンレスの仕上げ状況によっても変化しますので
見た目だけではどちらも光沢があり正確に判断するのは難しいと言えます。
電解研磨やバフ研磨を行うと綺麗に光沢が出て益々見た目では分からなくなってしまいます・・
磁性
一般的には鉄材にクロムメッキしたものには下地が鉄なので当然、磁性があり磁石はくっつきます。
ステンレスには磁石がつかないと思いきや磁性が無いのはSUS304などの
オーステナイトの組織構造を持っているステンレスであり、
Sus430やSus410のようなフェライト系やマルテンサイト系の組織構造を持っている
ステンレスには磁性があります。
なので磁石を当てくっついたらステンレスでは無い=間違った解釈になりますのでご注意下さい。
ただ、下地が鉄素材のクロムメッキに比べ多少磁性が弱い所がポイントです。
この磁石をあてて判断する方法はオーステナイト系のステンレスであれば一瞬でわかるのですが
フェライト系やマルテンサイト系のステンレスだと見分けがつきづらいと言えます。
![](https://sanwamekki.com/info/wp-content/uploads/2021/02/480bb940078567224a6f8b864f560750-1024x768.jpg)
重さ
重さで判断するのは難しいと言えるでしょう。
鉄とステンレスを重さを比べると多少ステンレスの方が重たいのですが
判断基準としてはわずかな為、難しいと言えます。
では、どのようにして見分けるのか
現状では磁性があるかないかを確かめた上で判断するのが最も手軽で良い方法だと思いますが
前述のように磁石がついてしまった場合は、それこそ見た目の判断になってしまいます。
・メッキがついている場合、剥がしてみて腐食状況を見る
・熱の伝わり方を見る
こんな方法もありますがなかなか難しいですよね。
結論として
磁性があるかないかで判断し磁石がつかない場合は見た目での判断をするしかない
という事になってしまいます。
これだ!という解決策が出せず申し訳ございません。
我々はメッキ剥離をご依頼していただくケースも多数あるのですが
素地が鉄かステンレスによって剥離方法や再メッキ方法も変わってきます。
なのでお客様に下地素材が何なのか知っておいてもらう必要があります。
かといってもなかなか判断が難しい場合にはモノを見せて頂いてご相談という形になりますので
宜しくお願い致します。
執筆者プロフィール
![武藤 篤](https://sanwamekki.com/info/wp-content/uploads/2021/07/muto-300x300.jpg)
- 代表取締役
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株式会社三和鍍金に入社後、経営難に陥っていた会社再建に取り組む。
経費削減、業務改善、人材育成に取り組み1年でV字回復させる。
その後、営業手法の業務改善を行い、売上高増加、年間新規取引100件を達成
柔軟な発想や行動力を持ち味に現在は表面処理を通しての新規事業に着手中。
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