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columnメッキライブラリ

2023.08.24

【需要が多い!?】メッキの剥離について

※2023年9月22日に加筆修正致しました。

皆様、こんにちは。

群馬県高崎市で表面処理を行っております、株式会社三和鍍金です。

今回は皆様が気になるであろう「メッキの剥離について」をお伝えしていきます。

普段我々はメッキを付けることを多く行っておりますが逆にメッキの皮膜を剥離するということも

意外と数多く行っております。

なぜ、一度付けたメッキを剥離しなくてはいけないのでしょうか。

「そもそもメッキって剥離できるの?」

「剥離ってどんな原理?」

「剥離したものに再びメッキってすることができるの?」

皆様の様々な疑問にお答えしていきます。

今回の記事をご覧になっていただくことでメッキの【剥離】について理解を深めることが出来ると思います。

弊社ではめっきや塗装の剥離を行っておりますのでお気軽にお問合せ下さい

その他にも弊社では表面処理について数多く発信しておりますので『めっきライブラリ』もご覧になって下さい。

あなたの気になることが解決出来るかもしれません。

それでは【メッキの剥離】について見ていきましょう。

剥離とは

そもそも、剥離とは?というところから見ていきましょう。

「剥離」は、物事が分離または分割されるプロセスを指す言葉です。

一般的には物質や概念の一部が他の部分から切り離される過程を指すことが多いですね。

要するに剥がれて離れるということです。

日常生活の中でも「剥がれた」というワードはよく使っていますよね。

例えば壁紙が剥がれた、塗装が剥がれた、絆創膏が剥がれた、テープが剥がれた。

まさに剥離とは剥がれて分離するということです。

そして、今回のめっきの剥離で言えばいわゆるめっきが剥がれるということになりますね。

めっきの剥離には2種類ある!?

めっきの剥離には大きく分けて2種類あります。

それは意図的な剥がれ意図していない剥がれです。

どういうことでしょうか。

意図的な剥がれとは人の手や薬品を使い意図的にめっき皮膜を剥がしてしまうことです。

対して意図していない剥がれとはめっき製品を長期間使用していて剥がれてしまったり、

めっき工程の中で様々な要因によってめっき剥がれが起きてしまうケースです。

意図していない剥がれは

めっきの不具合によるものや使用環境や長期間の使用によるものがほとんどでしょう。

めっき工程の中で不具合が発生してしまい見た目にはめっきがのっているように見える場合でも

エアーを吹くとメッキ直後であってもポロっと剥がれてしまうこともあります。

これはめっき工程の不良でめっき皮膜との間に油分や酸化皮膜、異物がのってしまい

密着がうまくされていない。

いわゆる密着不良というものになります。

表面処理の不具合に関してはこちらをご覧になって下さい。

塗装の不具合を説明していますがめっきの不具合にもリンクしているところがございます。

一方で意図してめっきを剥がすということはどういうことでしょうか。

そこにどのような目的があり、どんな必要性があってめっき皮膜を剥がすのでしょうか。

具体的な事例を交えてお話していきます。

なぜ剥離をするのか?

さて、せっかく付けためっき皮膜をなぜ剥がしてしまうのでしょうか。

理由は様々ありますがいくつか挙げていきます。

1.不具合品の修正

我々、表面処理を行っている会社ではなじみがあると思いますが

どうしても不具合品が発生してしまう事例があります。

そのままお客様に納品することは勿論、出来ませんので

めっきを剥離して再度めっきをつけることになります。

しかし、この「めっき剥離」意外と自社で行わないところも多くあるのです。

それは一体なぜでしょうか。

それはリスクが高い点が挙げられます

1-1.素材溶解やダメージのリスク。

めっきを剥がすということは危険性が高い薬剤を使用し、めっきを剥がすことになるわけですが

めっき皮膜にアタックするだけではなく、素材そのものにもアタックし、

ダメージが出やすくなってしまう点です。

1-2.排水処理とコスト高

危険物を使用している為、排水処理が容易ではないということです。

適切に処理をした後、排水をしなければいけません。

産業廃棄物処理業者様に廃棄を依頼するのもトータルコストが高くなってしまいます。

2.めっきから金属分を回収したい

次にめっきから金属を回収したいケースです。

例えば電子基板等には金メッキが付いています。

皆様もお分かりの通り「金」って高いですよね!

その金を抽出するために金メッキを剥がして回収したりすることがこれにあたります。

3.レストア

レストアとは元の状態に戻したり、再生することを言います。

こちらはすぐにイメージできるのではないでしょうか。

長時間使用しためっきパーツはめっきが剥がれてきたり白く濁ってきたりと

めっきを付けた際の輝かしい光沢が失われてきてしまいます。

また、めっきが剥がれた部分から錆びの進行も早くなってきてしまいます。

そこでレストアをしたいとなりますよね。

レストアは基本的にめっきを剥がしてから再めっきをするのですが

再めっきをする際に今ついているめっきを全て剥がしてから行わなければいけないのです。

めっき製品のレストアをする際はめっき剥離がセットになってくるので覚えておいてください。

4.リサイクル(再利用)

めっきを付けた素材、製品そのものを再利用したいケースです。

あまりイメージしにくいかもしれませんが

例えばめっき製品の在庫が売れずに大量に余ってしまい、

その素材、形、製品を再利用したいためにめっきを剥離するケースです。

色を変えたい違う表面処理をしたい機能面を付与したい等のニーズに応えられます。

再めっきをするも良し、そのまま使うもよし、塗装をするも良しといった感じですね。

全てのケースに当てはまるのが製品そのものを再利用したい!!ということです。

新しく製品を一から作り直せば剥離をする必要性は無いですが

コストや手間を天秤にかけてめっき剥離をご依頼いただくお客様もおります。

「再利用」や「リサイクル」の観点から見るととてもエコですね。

以上4点がめっき皮膜を剥離するおおよその理由になるかと思います。

剥離の手順と原理

それでは次にめっきの剥離ってどういう流れで行うのかを見ていきましょう。

再前提としてめっきの種類によって工程は違うのですが一例を挙げてみます。

水洗-剥離液浸漬-水洗-中和処理-水洗-乾燥

めっき工程に比べると少ない工程数のように見受けられますが

液温度や浸漬時間、排水管理までと多くの管理項目が剥離工程にはあります。

適切な工程や液選定を行わないと素材自体を駄目にしてしまうリスクもありますので

慎重に行うことが大事です。

原理

ここでは皮膜はどのようにして剥がれるのかをご紹介します。

めっき皮膜を剥がすパターンは大まかに2つあります。

1.素地から皮膜を引き離す

2.皮膜を溶かしてしまう

金属皮膜であるめっきの皮膜はパターン2で溶かしてしまうことが多く、

塗装の皮膜等はパターン1が多いですね。

以下の図にまとめてみました。

剥離する際の注意点

剥離をする際に特に注意が必要なのが

素材そのものを表面を荒らしてしまったり溶解させてしまうということです。

めっき剥離をする際に使用する剥離液は強酸や強アルカリ、溶剤等がメインになるわけですが

わかりやすく言うと非常に強力で危険な薬品たちです。

金属の皮膜を剥がしたり溶かしたりするわけなので当然といえば当然ですよね。

その強力な薬品を使用するということは素材そのものへのダメージが心配されます。

剥離で一番重要なのは素材へのダメージを最小限に綺麗に均一に皮膜を剥がすということです。

腐食等によって部分的に皮膜が剥がれていると剥離をした際にその部分だけ他の皮膜が残っている箇所に比べダメージの進行状況が早くなってしまうのです。

一概にも全ての皮膜と素材に対して当てはまるわけではないですが当然、注意が必要になります。

場合によっては穴が空いてしまうことも・・

めっき剥離には素材の状態を見極め丁寧に作業することが最重要なのです

剥離できる材質

剥離できる材質については物理的に言えばつけているわけですので

剥がすのは簡単だろうと思うかもしれませんが

先程ご説明させて頂きました通り「剥離」にはリスクがつきものです。

材質×めっきの種類によって剥離液や処理温度、工程は異なります

付けることは出来ても剥がすことは出来ないなんてことも

なんでもかんでもめっき皮膜の剥離が出来るわけではないのです。

例えば樹脂パーツ一つとってもその素材の番手はたくさんあります。

例えばA,B,C,D,E番手があるとすると

AとDは出来るがB,Dは出来ない、Eに関しては実際に処理を行ってみないと・・なんてことも。

そんなこと言われても自分で判断できないですよね。

まずは弊社までお気軽にお問い合わせください。

再めっきについて

剥離した後の再めっきについてお話していきます。

剥離した後の処理として再めっきをセットで依頼したいことって勿論ありますよね。

めっきは一般的な装飾目的のめっきですと数ミクロンとなっており

素材の状態に仕上がりがすごく左右されます

ですので剥離をした際に素材表面をぼこぼこに荒らしてしまえば

物理的に研磨をして表面状態をきれいにしなければ表面処理もきれいに施すことが出来ません。

剥離をした際の表面状態はとても大切なのです。

膜厚の観点からみても剥離を多く行うと素材自体の厚みを薄くしてしまうこともあります。

ですので寸法公差等に狂いが生じてしまうこともございますので覚えておいてください。

めっき以外の剥離について

これまでめっき皮膜の剥離に焦点を当てお話してきましたがめっき以外の皮膜の剥離も可能です。

弊社では50種類以上の表面処理を行っておりますがまだまだ表面処理はたくさんあります。

塗膜や酸化皮膜、樹脂皮膜等の実績もございますのでお気軽にお問い合わせください。

※お問い合わせの際は表面処理を出来る限り把握したうえでお願い致します。

有価物買取

弊社では有価物の買取りも行っております

剥離するものがレアメタルや貴金属を含む場合、剥離後有価物として買取することも可能です。

「処分したいけど高価な貴金属やレアメタルも混在しているから捨てるのは勿体ない・・」

「この金属を取り出したいを抽出して再利用したい・・」

こんなこともあるかと思います。

弊社にご相談頂ければ協力会社と連携して

剥離、回収、精錬と一括で承ることも可能ですので是非一度ご相談下さいませ。

お客様にとって最善の方法をご提案させて頂きます。

※少量の場合は対応出来ないこともございます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はめっきの剥離について解説してきました。

「剥離」は意外とその需要自体も決して少なくないということがお分かりいただけたと思います。

昨今の世の中では「再利用」「リサイクル」は大きなテーマです。

限りある有資源を有効活用するためにもめっきを剥離するということも

選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。

きっと可能性が広がることかと思います。

弊社、株式会社三和鍍金では50種類を超える表面処理の取り扱いがございますので

表面処理に関することでしたら是非一度お気軽にご連絡下さい。

今回も最後までご覧になっていただきありがとうございました。

PROFILE

武藤 篤
武藤 篤代表取締役
株式会社三和鍍金に入社後、経営難に陥っていた会社再建に取り組む。
経費削減、業務改善、人材育成に取り組み1年でV字回復させる。
その後、営業手法の業務改善を行い、売上高増加、年間新規取引100件を達成
柔軟な発想や行動力を持ち味に現在は表面処理を通しての新規事業に着手中。
三和鍍金Youtubeチャンネル
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