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columnメッキライブラリ

2024.01.24

サーマルリサイクルについて|メリットから課題まで徹底解説

皆様、こんにちは。

群馬県高崎市で表面処理を行っております。株式会社三和鍍金です。

今回は「サーマルリサイクル」について詳しく紹介していきます。

サーマルリサイクルは、使い終わったプラスチックなどの廃棄物を熱エネルギーに変換して、その熱エネルギーを有効活用する方法です。

この技術は、ごみ処理の方法としてはもちろん、持続可能な資源利用の観点からも注目されています。

しかし、サーマルリサイクルが全てにとって良いというわけではなく、特有の課題も存在します。

この記事を通じて、サーマルリサイクルの基本から、そのメリットや課題について深く理解し、日本のリサイクルの未来についても一緒に考えてみましょう。

三和鍍金では金属の表面処理だけでなく環境保護に繋がる剥離事業も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

サーマルリサイクルとは

「サーマルリサイクル」という言葉を聞いたことがありますか?

これは、使い終わったもの、特にプラスチックなどの廃棄物を賢く再利用する1つの方法です。

サーマルリサイクルでは、廃棄物を燃やしたり加熱したりして、その過程で発生する熱(サーマル)を大切に利用します。

例えば、ピザを食べた後の箱が分かりやすいです。

これは油や汚れが付いていて、普通のリサイクルでは再利用が難しいです。

でも、サーマルリサイクルなら、このような難しいごみも資源として活かせます

それを燃やして出る熱を集め、利用して発電したり、冬にはスイミングプールの水を温めたりするのが、サーマルリサイクルの役割です。

この方法は、廃棄物をただ捨てるのではなく、再び役立てる素晴らしいアイデアです。

廃棄物を燃やすことで発生するエネルギーを活用することにより、新しい資源を探す必要もなく、環境にもやさしいです。

ただし、サーマルリサイクルがうまく機能するためには、燃焼する際の温度管理や、発生する有害物質の処理に注意が必要です。

日本のサーマルリサイクルの現状

実は日本では、使い終わったプラスチックをサーマルリサイクルすることが多いです。

2020年時点で日本の廃プラスチックのうち、約61%がこの方法で処理されています。

これは、リサイクルの中でも重要な位置を占めていると言えるでしょう。

サーマルリサイクルは、私たちが日常的に出すごみを減らすだけでなく、限られた資源を有効に使うための賢い選択です。

それによって、より持続可能な社会を実現する一歩となるでしょう。

サーマルリサイクルのメリット

サーマルリサイクルは、ただのゴミ処理方法ではありません。

実は、このリサイクル手法には、地球や私たちの生活に大きな利益をもたらす様々なメリットがあります。

ここでは、素晴らしいメリットを3つ紹介するので見ていきましょう。

メタンガスの削減

埋め立てられたプラスチック製品が分解されるとメタンガスが発生します。

このガスは、地球温暖化に大きく影響する温室効果ガスです。

しかし、サーマルリサイクルによってプラスチック製品を燃やし、メタンガスの発生を防ぎます。

これにより、温室効果ガスの排出量を抑え、地球温暖化の進行を遅らせることが可能です。

資源消費の削減

サーマルリサイクルは、廃棄物を有効利用することで新たな資源を生み出します。

特に、廃プラスチックは燃やすとたくさんの熱を出します。

この熱は、石炭や石油と同じくらいのパワーを持っているので無視できません。

サーマルリサイクルにより、これらの廃棄物からエネルギーを取り出すことで、貴重な天然資源の消費を減らすことが可能です。

埋立処分場の延命

ごみは、処理する場所が必要ですが、その場所は限られています。

サーマルリサイクルを活用すると、ごみを燃やして体積を減らすことができます。

これにより、埋立処分場に持って行くごみの量が減り、その土地をより長く効率的に使うことが可能です。

サーマルリサイクルのデメリット

サーマルリサイクルは、私たちの資源を賢く再利用する方法ですが、残念ながら、このプロセスにはデメリットもあります。

ここでは、サーマルリサイクルの2つの主なデメリットを紹介するので見ていきましょう。

二酸化炭素の排出

サーマルリサイクルは、メタンガスのような温室効果ガスの発生を減らすことができるメリットがありますが、その反面、廃棄物を燃やすことで二酸化炭素が排出されます。

この二酸化炭素は、地球温暖化の主要な原因の1つです。

サーマルリサイクルを行う際には、このような温室効果ガスの排出を可能な限り抑えることが重要ですが、現在のところ完全に排出を防ぐことはできていません。

有害物質の発生

サーマルリサイクルでは、廃棄物を燃やしてエネルギーを取り出します。

しかし、この燃焼プロセスで、ダイオキシンなどの有害物質が発生することがあります。

これらの物質は人の健康や環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、非常に注意が必要です。

近年、燃焼技術の進歩により、これらの有害物質の排出量は減っていますが、完全にゼロにすることは難しいのが現状です。

サーマルリサイクルはリサイクルではない?

サーマルリサイクルは私たちの生活にさまざまな恩恵をもたらすものですが、実は世界的に見ると、この方法が本当に「リサイクル」と呼べるのかについては議論があります。

一般的にリサイクルと言えば、物質を再利用することを指します。

しかし、サーマルリサイクルでは、廃棄物を燃やして発生する熱を利用するだけで、物質そのものを再利用するわけではありません。

欧米では、この「燃焼によるエネルギー回収」をリサイクルの一形態とみなさないことが多いです。

さらに、サーマルリサイクルが廃棄物を減らすのではなく、むしろプラスチックの使用を助長しているという指摘もあります。

これらの点から、サーマルリサイクルに対する見方は、国や地域によって大きく異なっています。

リサイクルよりもリデュースの時代へ

世界的には、リサイクルを超えて「リデュース(減量)」への関心が高まっているのが現状です。

これは、廃棄物をなるべく発生させないようにしようという考え方です。

例えば、プラスチック製のストローやマドラーの使用を減らすことや、再利用可能な容器を使うことなどが挙げられます。

大手企業が環境に配慮した選択をすることで、リデュースの重要性が広く認識されてきています。

リサイクルも重要ですが、もっと根本的な解決策として、物を使用する量自体を減らすことが求められているのが現実です。

サーマルリサイクルが進んでいる日本でも、リデュースの取り組みがより強化され、環境にやさしい持続可能な社会を築くための一歩となるでしょう。

今後の日本のリサイクルについて

日本で主流のサーマルリサイクルは、環境対策として重要ですが、世界的には「低品質なリサイクル」と見なされることもあります。

今後、日本では「リデュース」「リユース」を重視し、質の高いリサイクルへの転換が求められています。

企業においては、持続可能な開発目標(SDGs)の浸透により、環境対策が企業評価の重要な指標となり、リサイクル含む環境への取り組みが必須です。

この方向性が、企業の価値と競争力を高め、持続可能な社会への貢献につながるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は「サーマルリサイクル」について解説してきました。

サーマルリサイクルは、廃棄物を有効活用し、環境に優しいエネルギーを生み出す素晴らしい技術です。

しかし、それだけではなく、温室効果ガスの排出や有害物質の発生など、解決すべき課題も持っています。

この技術の未来は、私たち一人ひとりの意識にかかっています。

リサイクルの重要性を理解し、それを日常生活に取り入れることで、より良い未来を築くことができるでしょう。

弊社、株式会社三和鍍金では50種類を超える表面処理の取り扱いだけでなく、環境保護に繋がる剥離事業にも事業内容を拡大しております。

「表面処理」「剥離」「リサイクル」に関することでしたら是非一度お気軽にご連絡ください。

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三和鍍金 スタッフ
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金属表面処理の様々な疑問・基礎知識や、創業から70年以上培ってきたノウハウについて「誰にでもわかりやすく」をモットーに執筆しています。
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