【金属の特徴】錫とコバルトについて
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皆様こんにちは!
株式会社三和鍍金 事務の根岸です。
少しずつ暑くなってきましたが体調崩されておりませんか?
これから夏へ向けて一直線!
梅雨も暑さも一気にきますが、体調には気を付けて過ごしていきましょうね♩
さて!今回は金属の性質 錫(スズ)とコバルトについてお話していこうかと思います。
錫は表面処理に“錫メッキ”というものがあるので何度か聞いたことはあるのですが、コバルトについては中々聞く機会もなく…。
気になったので調べてみました!
それではいってみましょう!
◆錫-Tin-
元素記号:Sn 原子番号:50
【非常に柔らかい金属】
錫はとても柔らかい金属として有名です。純錫100%の物は手の力でも曲げられるほどです。
純錫のみだと柔らかすぎて製品寿命がとても短くなってしまう為、使用されることはございません。
柔らかい金属の為、たわしでゴシゴシ洗ったり研磨剤を使用してしまうと傷がついてしまうので注意が必要です。
他の金属を加え(合金)、硬くして製品の持ちを良くさせることが一般的です。
錫で出来ている製品を落としてしまうと変形しやすいのですが、逆に考えると割れにくい為、長く使用できるアイテムにもなります。
【錆びにくく安全な金属】
錫はサビ(酸化)にくく、安定した金属とも言われております。
変色が少なく長期にわたり光沢が保てる為、昔から装飾品として使用されてきておりました。
お酒との相性も良く、錫製品でできたタンブラーで飲むと口当たりがまろやかになると言われております。平安時代にもお酒を飲む際に使われていたそうです。
【殺菌効果もあります】
錫には殺菌効果もあると言われております。
先程サビにくいと記述しましたが、空気中ではもちろん水中でもサビにくいと言われております。
錫は分子が粗い為、不純物を吸収する役割があるそうです。
その為、錫製の花瓶でお花を生けると、お花の切り口に雑菌がつかない・水が浄化されるという点でお花が長持ちするそうです。
錫製の花瓶なら万が一落としても割れないので、もってこいですね(笑)
お酒を飲むときに口当たりがまろやかになるのも、不純物を吸収するというところが繋がっていそうですね!
さらに、殺菌効果がある上に他の金属とは違い錫は金属特融の臭いもしないそうなので、近年では赤ちゃん用の食器等に使用されることもあるそうですよ♩
ちなみに…
“ブリキ”って皆さん1度は聞いたことあるかもしれないのですが
(ブリキのおもちゃとか聞いたことありませんか?…古い…?笑)
ブリキとは、鉄鋼に錫メッキをしたもののことを指します。
身近な物でいうと、一斗缶や香辛料の小型缶などです。
想像してみると、確かに変形しやすいですよね。
花瓶やタンブラーなど錫が合金されている物から、缶などにメッキされている物まで。
錫は意外と私たちの身近にあるものということが分かりました。
◆コバルト-Cobalt-
元素記号:Co 原子番号:27
【磁性と高温に強い金属】
コバルトは鉄と似た性質を持っており、非常に磁性が強い金属(強磁性)として知られております。生産されているうちの約1/4が磁石の製造に使われております。
また、丈夫な酸化被膜を形成し高温化や摩耗にも強く、さらには腐食(サビ)にも強いと言われておりますので、合金材料としての需要も高いことで知られております。
食品に含まれる金属というコラムにもコバルトが少し出てきておりますので、是非ご覧ください♩
【名前の由来】
コバルトというと、“コバルトブルー”という色を思い出しませんか?
(48色の高級な色鉛筆とかに入っていたような…笑)
コバルトは鉱石であり、銀白色をしているのですが、コバルトブルーの名の通り磨くと非常に綺麗で鮮やかな青色をした鉱石です。
1735年にスウェーデンのブラントさんという方に発見されました。
その昔、ドイツの鉱山で銀鉱石によく似た鉱石ばかり採れ、人々は困っていました。
“銀鉱石が採れない…こんなに僕たちを困らせるなんて…民話に登場する山の悪い妖精、コボルトの仕業に違いない!!”人々はそう思ったそうです。
この銀鉱石に似た鉱石こそ現在のコバルトであり、名前の語源は妖精コボルトからだと言われれております。
なんとも可愛いお話ですね♩(ほっこりしちゃいました♡)
【レアメタルの1つ】
銀鉱石の代わりにいっぱい採れていたコバルトですが、今やレアメタル(産出量が少ない金属)と言われております。
そんなコバルトは一体どのような製品に使われているのでしょうか。
巷でよく言われておりますのが、リチウムイオン電池も電極材に使用されているということです。エネルギー密度が高い為、小型のバッテリーにも使用されております。
他にも、先述した通り磁性が強いのでハードディスクの磁気ヘッドにも使われているそうです。
また、鮮やかな青を利用し塗料としても利用されております。
お酒の瓶で青い色をした瓶を見かけたことはございませんか?
あれにはコバルトが使われていることもあるそうです。
表面処理に関しても使用されており高温に強いことから、耐熱を目的とした製品にめっきされているそうです。
合金材料としても使用されており、コバルトにクロム等の金属を加えた合金は硬い膜厚になるので、硬質合金とも呼ばれております。
◆錫とコバルトの合金
さて!錫とコバルトそれぞれの特徴を説明し、合金めっきとして使用されるといいましたが、実はこの2種類自体が合金めっきされるのです。
その名も、、、<スズ-コバルトめっき>です!!!(そのままです笑)
下地にニッケルメッキがされており(耐食性や光沢度を上げる為)、クロムメッキやステンレスによく似たシルバー色の合金めっきです。
クロムメッキに比べ耐摩耗性は劣りますが、変色には強いとされています。
また、Rose指令に引っかかってしまう六価クロムの代替めっきとしても知られております。
スズコバルトメッキの最大の特徴として、均一電着性が高いと言われています。
どういう事かと申しますと、非常にメッキが付きやすく膜厚にもバラつきがないということです。
クロムメッキではうまく付きまわらないとされている複雑な形状でも綺麗にめっきがつき、バレルメッキで処理されることもあります。
家電製品や音響部品、事務・文房具用品などに使用されているそうです。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、ブリキやらドイツの精霊やら…ちょっとタイムスリップしたような内容が多かったですね。
ですが、昔からある金属がずっと受け継がれ、現在でも活躍しているかと思うと大変感慨深いですね。
今日の表面処理技術もどんどん発展していき、人々の生活に役立つ製品がもっと生まれ、未来に繋げられるよう私たちも頑張っていきましょうね✨
表面処理でお困りの事がございましたら、お気軽に(株)三和鍍金へお問合せ下さい。
めっきのプロがお客様のご希望に沿った内容を提案させて頂きます(*^-^*)
執筆者プロフィール
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ウエディング・旅行業界で勤務後、株式会社三和鍍金に入社。
事務員として伝票発行や納期管理をする傍ら、サービス業で培った高いホスピタリティ(おもてなし精神)を活かし、三和鍍金に関わる全ての方々が気持ち良く過ごせるようなお客様対応を心がけている。
メッキについて初心者であることを活かし、「メッキ初心者の視点」で書いたコラムはいずれも高い人気を博している。
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