【よく聞くけれど…】ダイキャスト(ダイカスト)って何?
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こんにちは!(株)三和鍍金 事務の根岸です!
11月に入り朝晩の寒暖差ございますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
体調崩されないようにお気を付けください♩
さて!今回は[ダイキャスト]についてです。
というのも、私最近まで“アルミ=ダイキャスト”のことだと思っていたのです…。
(呼び方が違うだけなのだろうな~?って思っていました。)
先日たまたま「アルミとダイキャストって同じですよね?!」って営業スタッフに聞いてみたら、「違いますよ~(^o^)」と、にこやかに返されました(笑)
……三和鍍金で働いていても、コラム何本か書いていても、まだまだ知らないことだらけです(;^_^)
ということで、今回は[ダイキャスト]について記述していこうと思います!
宜しくお願いします!!
◆ダイキャストとは
溶かした非鉄金属(アルミ・亜鉛・マグネシウム等)の合金を、精密な金型に高速且つ高圧で注入し、さまざまな形状に瞬時に成形します。その為、大量生産もできます。
他の鋳造方法とは異なりダイキャストは圧力をかけて成形されるため、鋳肌の優れた寸法精度の良い製品、また複雑形状の物でも対応可能と言われております。(切削加工の方がより寸法精度が良いとも言われております。)
ただし、自由度の高い製品が作れると言われているダイキャストでも、パイプ形状のような中空構造は作ることが出来ません。
◆鋳造とダイキャストの違い
鋳造の英語は[キャスティング]といいますので、大きなくくりで見ると鋳造もダイキャストも同じです。
製品をつくる方法が違うのです。ざっくり簡単にまとめると下記のようになります。
【鋳造】
製品にしたい金属を高温で溶かし液状にし、型枠に流し込みます。[重力]を使って、製品を作っていきます。
【ダイキャスト】
上記の鋳造方法く少し発展させた方法です。高温で溶かした金属を[圧力]を使って製品を作ってきます。
製造方法の大きな違いは[重力]か[圧力]かです。
これにより精度や鋳肌感や変わってきます。
鋳造については下記コラムでもまとめておりますので、ご覧ください(^^)
◆ダイキャストされる金属
では、どんな金属がダイキャストされるの?という疑問が生じるかと思います。
一般的に、アルミ合金・亜鉛合金・マグネシウム合金が多いです。
これら全ての金属は[合金]だということです。
それぞれの特性がありますので、見てみましょう!
【アルミダイキャスト】
私たちが普段仕事をしている中で最もよく聞きます。
アルミ合金は亜鉛合金に比べ処理が難しいのですが、軽く丈夫であることが利点です。
熱伝導性が良い・耐食性が良い・経年寸法変化が少ないため、ダイキャストの中でも生産量がとても多いです。
【亜鉛ダイキャスト】
加工性が非常に高く、精度の高い複雑な形状の製品を作る際に向いております。
亜鉛ダイキャストは軽量化と求める製品にはむいていないのですが、強度を必要としない製品には向いております。表面処理もしやすいので、めっきがしやすいことでも知られております。アルミダイキャスト製品に次いで生産性が多いのが、亜鉛ダイキャスト製品です。
【マグネシウムダイキャスト】
アルミや亜鉛よりも卑な金属なので処理が難しいとされております。
高温状態での使用には注意が必要なのですが、3種の合金の中でも最も軽量ながら強度に優れており、振動吸収性や耐くぼみ性も高いです。熱しやすく冷めやすい観点より、寸法の安定性もあります。
上記2種よりも生産性は少ないのですが、近年の軽量化ニーズで生産数が伸びてきているそうです。
以上3種類が主なダイキャスト製品なのですが、他にも銅合金・鉛合金・錫合金などで製作されるダイキャスト製品もあるようです。
これらがどんな物に使用されているか挙げてみると…
*自動車部品(エンジン、トランスミッション等)
*玩具(ミニカー)
*家電部品(冷蔵庫、洗濯機、ミシン、掃除機等)
*事務用品(パソコン、プリンタ、複写機等)
*日用品(カメラ、ファスナー等)
意外と私たちの身近な製品に使われていることが分かりますね!
◆メリットとデメリット
なんとなくダイキャストについて分かってきましたか?!
ここでメリットとデメリットについてまとめていこうと思います。
【メリット】
・圧力を利用し金型に金属を流すことで、複雑形状の製品でも作ることができる
・寸法精度が高く、表面が滑らかに仕上がる
・複雑形状の製品が1回の工程でつくることができ、且つ大量に生産することができる(製造コストを抑えられる)
【デメリット】
・金型の費用が高いので少量生産の製品には向かない
・パイプ形状の製品は作ることができない
・強度を求める製品には向かない
◆めっきとの関係性
さて!ではダイキャストとめっき。どんな関係性があるのでしょうか。
弊社でも毎日、アルミダイキャストの製品を表面処理(カチオン電着塗装)しておりますし、お客様からも“ダイキャスト製品なのですが、処理できますか?”とよくお問合せ頂きます。
合金ではあるものの、実はダイキャスト製品に挙げられたアルミ・亜鉛・マグネシウムはイオン化傾向でみると[卑な金属]のグループに値し、イオン化しやすくめっきもしにくいことで知られております。
めっきは金属イオンに電子を与えて金属(製品)に還元(塗膜)する技術です。
イオン化しにくい[貴な金属]はサビにくく少ない電気エネルギーで還元することができる反面、イオン化しやすいアルミ・亜鉛・マグネシウムは容易に化合物をつくるので(サビ等)、酸化物イオンから金属イオンを引き剥がすためにより大きな電機エネルギーが必要となります。
また、製品自体がそもそも‘合金’(色々な金属が混ざっている)なので、素材表面に色々な元素がでている状況です。その為、均一の処理がしにくいと言われております。
(よくダイキャスト製品を顕微鏡で拡大してみると、スポンジのような表面をしているといいいます!)
とっっっても個人的な話なのですが、私と先輩の社内の何気ない会話で、、、
根岸:“分かりました!そのアイデアすぐ取り込みます!”
先輩:“すぐ吸収するね~!”
根岸:“私、ダイキャストみたいな性格なんで!!”
先輩:“なるほどね!!あはは~(#^^#)”
根岸:“私たち普通に笑っていますけど、この冗談社内でしか通じないです、、、(笑)”
という会話したのを思い出しました。
表面処理ジョークですね(笑)
また、アルミ・亜鉛・錫・鉛は[両性金属/両性分子]とも言われております。
酸にも塩基にもどちらにも反応するので、両性金属と言われております。
これの何が問題かというと、めっきのノリが悪く、やり直しをしなければならない時です。
他の金属素材は剥離液(酸系の溶液)につけたり、ショットブラストをすることで、めっきを剥がすことができるのですが、
・アルミダイキャスト等を剥離液につけると素材自体が溶け出してしまう
・ショットブラストしてしまうと、表面がデコボコになってしまう
そうです。やり直しが出来ないのです。
その為、めっき工程の中でも特に注意して処理をしなければならないのです。
ダイキャスト製品は強度にも長けているわけではないので、繊細な素材と言えますね。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか?
アルミ=ダイキャストではありませんでした(汗)
ダイキャストは鋳造方法の一つでした!
他にも、合金素材によっての特性も知ることができましたね。
どんな製品も用途によって素材が異なるのは当然なのですが、“製造方法や素材は本当にたくさんの種類があるのだな!”と今一度感じることができました。
表面処理もやり方を間違えたら、製品自体を一発でダメにしてしまうリスクもあります。
(株)三和鍍金では、そういった点も注意しながらベストな表面処理方法を提案させて頂きます。
表面処理でお困りのことがございましたら、お気軽にご連絡ください(^^)
執筆者プロフィール
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ウエディング・旅行業界で勤務後、株式会社三和鍍金に入社。
事務員として伝票発行や納期管理をする傍ら、サービス業で培った高いホスピタリティ(おもてなし精神)を活かし、三和鍍金に関わる全ての方々が気持ち良く過ごせるようなお客様対応を心がけている。
メッキについて初心者であることを活かし、「メッキ初心者の視点」で書いたコラムはいずれも高い人気を博している。
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