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2021/02/06

【基礎中の基礎!+α】溶剤塗装について

  • 公開日:
  • 更新日:


群馬県高崎市にある三和鍍金の武藤です。

今回は【基礎中の基礎!+α】溶剤塗装についてということで解説していきます。

「塗装」といってもたくさん種類や工程がある中で

塗料の組成分や溶かすモノ、工法によっても当然ながら名称は変わってくるため

全部お話するとごちゃごちゃになってしまう恐れがあります。

なので今回は当社でも取り扱いの多い金属への「溶剤塗装」に絞ってお伝えしていきます。

その他の塗装については別の記事でお話します。

今回のコラムをご覧になって頂くと

「溶剤塗装」の基礎的な知識をお分かり頂けると思います。

塗装をご依頼の際にお役立て下さい。

塗装の目的

そもそも塗装とは何なんでしょうか。

塗装とは液状或いは粉体の塗装材料を物体の表面に塗り広げ、乾燥、硬化させ

皮膜を形成する過程を塗装と言います。

その目的はメインは製品を腐食環境から保護する耐食性を手に入れる事と

色をつけ美観を高めるという基本的な機能を付与することにあります。

他にも耐熱性や様々な機能を付与することもあります。

溶剤塗装とは

溶剤塗装とは塗料にシンナー等の有機溶剤を混ぜた塗料を使用する塗装です。

すなわち有機溶剤を使用した塗料で塗装することです。

塗装後、自然乾燥又は焼き付け乾燥(60~80℃程度)を行い塗膜を形成します。

最も一般的な塗装法で広範囲の分野で利用されているのです。

溶剤塗装では無く「焼き付け塗装でお願いします」という依頼も頂きますが

最終工程で焼き付けを行っているものであれば焼き付け塗装に該当致しますので

カチオン塗装、溶剤塗装、粉体塗装であっても該当します。

塗装の種類をよく確認してみてください。

溶剤塗装と焼付塗装の違いについてはこちらのコラムよりご参照ください。

塗装工法

それでは、溶剤系塗料を用いた塗料をどのようにして被塗物(塗装をするもの)に塗っていくのでしょうか。

皆さんの頭の中には「塗る」と言えばイメージするものは刷毛、ローラー、スプレーといったところでしょうか。

DIYなんかを行う方はすぐに思いつきますよね。

大体、この方法が一般的です。

それでは、工業用製品の塗装工法はどうでしょうか。

実は工業用製品の塗装工法も一般的なのは吹付け塗装です。

この吹付け塗装とは皆様お馴染みのスプレーと同じ要領です。

とはいっても工業用製品なので大型のモノや大量に塗装を行わなければいけない為

ホームセンターにあるスプレー缶で1本、1本・・

超ドデカサイズのスプレー缶を使って・・・

なんてことは出来ないので

コンプレッサー等を用いり塗料を霧状にしスプレーガンを使って塗装します。

設備はそれぞれですがプロ仕様の設備と職人が行っているといったイメージです。

主流はレシプロケーターを使って行ったり塗装ロボットを用いります。

レシプロケーターとは被塗物に対し往復移動を行う塗装機のことす。

とはいっても複雑な形状は塗りきれないので塗れない箇所は職人が補うといった形になります。

溶剤塗装の工程

溶剤塗装の工程は、以下の通りです。

脱脂→表面調整→化成皮膜→乾燥→プライマー塗装→静電自動機塗装→手吹き補正塗装→焼付乾燥→検査→梱包

溶剤塗装は先に述べた通り焼付塗装のひとつなので、最後の乾燥は焼付塗装になります。

また、当社の溶剤塗装は下記、静電塗装でもありますので付きまわりが非常に良い塗装となっております。

複雑な形状にも均一な膜厚形成が可能です。

その他詳細については下記リンクよりご覧ください。

静電塗装

静電塗装とは、アースした被塗物を正極塗料噴霧装置を負極とし、

直接高電圧をかけて両極間に静電界をつくり、塗料微粒子を 負に帯電させて、塗装する方法です。

塗着効率が良いというメリットから、金属製品の多量生産方式に広く採用されているものです。

よく静電吹き?溶剤塗装?なんてこともあるのですが

溶剤塗装は溶剤を用いた塗料で行う塗装

静電塗装は静電気を用いり塗装をする工法なのです。

ポイントになりますので抑えておいてください。

エアスプレー方式は塗料に対する空気の容量比が大きいほど塗料の粒子は小さくなり、

仕上がり外観は良くなります。

他にもローラーや刷毛塗りもありますがそちらは建築物や壁や床などに多く使われることが多い為

今回は割愛させて頂きます。

溶剤塗装の特徴

溶剤塗装は色替えや多数の色に調整が出来、幅が広げられるというのが最大の特徴です。

色の調色を簡単に出来るので様々な色合いが表現可能になっています。

使用量に応じて塗料を用意できるので、無駄が削減出来たり、成分の配合を自由に変えられるので

目的に応じた塗装を行う事が可能になっています。

結果、比較的低コストで行える塗装と言えるでしょう。

工業系分野で美観を求める為に色合いを出したりするものに非常に適しており

当社で行っているカチオン電着塗装との相性もばっちりです。

カチオン塗装後に溶剤塗装を行い、耐食性+美観を手に入れてる製品が世の中には溢れています。

膜厚について

溶剤塗装の膜厚は基本的は10~20μつけるものが多いですが

膜厚制御も可能になっています。

それ以上の膜厚、例えば50,100μであると粉体塗装の方が適しております。

塗料の構成によってきますので目的に応じて使い分ける事が大切です。

粉体塗装について詳しくはメッキライブラリ【基礎中の基礎!+α】粉体塗装についてをご覧ください。

溶剤塗装のデメリット

溶剤塗装のデメリットはあまり多くありません。

基本的には扱いやすく有用な塗装と言えます。

たとえば、先述したように膜厚は~20μ程度が一般的ですので、仮に60μ程度の図面指定がある場合は

粉体塗装の方が適していると言えます。

また、気温や湿度によって塗料粘度を調節する必要があり、これを間違えると液だれなどの塗装不良を引き起こします。

気温や湿度ということで季節に応じて粘度調整を行っていますが、簡単そうにみえて意外と難しく、

そういった意味で管理の大変さという部分はデメリットと言えるでしょう。

まとめ

今回は「溶剤塗装」についてお伝えしてきました。

塗装もめっき同様種類が多く、塗装と一口に言ってもたくさん種類があるので

その目的や使用用途によって使い分けてる事が大切です。

しかしながら、ちょこっとでも理解していないと何が何だか分からなくなってしまいます。

今回の記事で少しでもお役立ていただけたら幸いです。

他にも粉体塗装や塗料についての記事もございますので

そちらも併せてご覧になって下さい。

執筆者プロフィール

武藤 篤
武藤 篤代表取締役
株式会社三和鍍金に入社後、経営難に陥っていた会社再建に取り組む。
経費削減、業務改善、人材育成に取り組み1年でV字回復させる。
その後、営業手法の業務改善を行い、売上高増加、年間新規取引100件を達成
柔軟な発想や行動力を持ち味に現在は表面処理を通しての新規事業に着手中。
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