【基礎中の基礎!+α】粉体塗装について
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群馬県高崎市にある三和鍍金の武藤です。
今回は【基礎中の基礎!+α】粉体塗装についてということで解説していきます。
「塗装」といってもたくさん種類や工程がある中で
塗料の組成分や溶かすモノ、工法によっても当然ながら名称は変わってくるため
全部お話するとごちゃごちゃになってしまう恐れがあります。
なので今回は当社でも取り扱いの多い金属への「粉体塗装」に絞ってお伝えしていきます。
その他の塗装については別の記事で紹介しています。
今回のコラムをご覧になって頂くと
「粉体塗装」の基礎的な知識をお分かり頂けると思います。
塗装をご依頼の際にお役立て下さい。
塗装の目的
そもそも塗装とは何なんでしょうか。
塗装とは液状或いは粉体の塗装材料を物体の表面に塗り広げ、乾燥、硬化させ
皮膜を形成する過程を塗装と言います。
その目的はメインは製品を腐食環境から保護する耐食性を手に入れる事と
色をつけ美観を高めるという基本的な機能を付与することにあります。
他にも耐熱性や様々な機能を付与することもあります。
粉体塗装とは
粉体塗装とは粉末状の塗料を用いて塗装し、
その後焼き付け乾燥(200℃程度)を行い塗膜を形成するものです。
耐食性、耐候性、耐薬品性に優れており、別名パウダーコーティングとも呼びます。
主に水道資材、自動車部品、建築部品、工業設備、制御盤の筐体など幅広く扱われています。
皆さんに身近な例で言うとガードレールやエアコンの室外機、ガスボンベ等で多く採用されています。
また、例からも明らかなように、粉体塗装はその耐食性や耐候性から屋外使用に適しています。
たとえばカチオン塗装などは耐候性に弱いため上塗りがないと屋外使用は難しいですが、
対して粉体塗装の屋外利用は頻繁に行われています。
粉体塗装の特徴
粉体塗装最大の特徴は水や有機溶剤を全く使わなくても塗装が出来ることです。
粉体塗装は膜厚が厚く塗膜が形成される為、ピンホールが少なく結果として腐食しにくいのです。
当社で行っているカチオン電着塗装との相性もばっちりです。
カチオン塗装後に粉体塗装を行い、強固な耐食性+色を手に入れてる製品が世の中には溢れています。
膜厚が厚い分、耐食性も優れており耐熱性やキズにも強いのです。
しかも溶剤を含みませんので環境に優しく、人体に優しい塗装だと言われています。
塗料の再回収が出来ることで無駄なく塗料を使えるところも非常に優れた点です。
しかし、そんな粉体塗装もデメリットがあるのです。
ゆず肌が起きやすい、塗料の色替えが大変、少量多品種に不向き、調色が難しい、
一旦、塗膜が形成された上への再塗装が難しい等々です。
勿論、それぞれ工夫をしたり工法を変える事で解消できる例もありますが
粉体塗装の特性上、以上の事が起こりやすくなってしまいます。
ゆず肌についてはこちらをご覧になって下さい。
メッキライブラリ:塗装不良(ゆず肌)
膜厚について
粉体塗装はその膜厚に驚きがあります。
粉体塗装の膜厚は基本的に50~70μ前後つけるものが多いですが
な、なんと、一度で100μ程度の膜厚も付与することが可能です。
当社で行っているカチオン塗装は通常20μ前後ですので5倍近くです。驚きですね。
100μというと他の塗装だと何度も塗り重ねていくので時間が掛かりますが
粉体塗装は短時間で厚膜を形成します。
粉体塗装の塗装工法
粉体塗装はどのようにして行っていくのでしょうか。
粉末状態のものを塗る??液体ならまだしも粉末ってくっつかないんじゃないの??
実はこんな方法で塗膜を付けています。
粉体塗装の塗装工法は静電塗装工法と流動塗装工法があります。
静電塗装工法はメッキライブラリ:【基礎中の基礎!+α】溶剤塗装についてでもお伝えしましたが
アースした被塗物を正極、塗料噴霧装置(スプレーガン側)を負極とし、
直接高電圧をかけて両極間に静電界をつくり、塗料微粒子を 負に帯電させて塗装する方法です。
静電気の作用で粉体塗料が引き付けられるので複雑形状品でも均一な付着量が得られます。
しかし、厚くなることで静電効果が弱くなるので塗料の付着量は制限されてしまいます。
比較的高精度で均一な膜厚制御は出来ますが、厚膜を付けるには適しません。
そこでもう一つの工法の登場です。流動浸漬塗装工法です。
流動浸漬塗装工法とは粉末塗料の容器において底部から吹き込んだ圧縮空気によって塗料を流動させ、
その中に塗装したい製品を浸漬するものです。
簡単にいうと粉体塗料が入っているプールに製品を浸漬して塗膜を付ける工法です。
膜厚の制御は出来るものの薄膜には適していない粉体塗装。
それぞれの目的に適した塗料や工法の「塗装」があるのです。
まとめ
それぞれの塗装を以下の図にまとめました。
今回は「粉体塗装」についてお伝えしてきました。
塗装もめっき同様種類が多く、塗装と一口に言ってもたくさん種類があるので
その目的や使用用途によって使い分けてる事が大切です。
しかしながら、ちょこっとでも理解していないと何が何だか分からなくなってしまいます。
今回の記事が少しでもお役立ていただけたら幸いです。
他にも溶剤塗装や塗料についての記事もございますので
そちらも併せてご覧になって下さい。
執筆者プロフィール
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株式会社三和鍍金に入社後、経営難に陥っていた会社再建に取り組む。
経費削減、業務改善、人材育成に取り組み1年でV字回復させる。
その後、営業手法の業務改善を行い、売上高増加、年間新規取引100件を達成
柔軟な発想や行動力を持ち味に現在は表面処理を通しての新規事業に着手中。
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