【基礎中の基礎】物理蒸着法について~真空蒸着・スパッタリング・イオンプレーティング~
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※2023年9月19日に加筆修正致しました。
群馬県高崎市にある(株)三和鍍金の武藤です。
今回は【基礎中の基礎】物理蒸着法について~真空蒸着・スパッタリング・イオンプレーティング~
ということで解説していきます。
弊社では真空蒸着、イオンプレーティングの取り扱いがございますのでお気軽にお問い合わせください
物理蒸着法??「真空蒸着」とか「スパッタリング」とかはどっかで聞いたことあるな。
今回はそんな方の為に、物理蒸着法についてお話していきます。
知らない方は勿論のこと、何となくわかるよって人も是非ご覧になって下さい。
「そもそもどういう処理なの?」「どんな材質なら出来るの?」等々
この記事を見て頂くと基礎的な知識は勿論のこと、そんなお悩みが解決出来ると思います。
それでは行ってみましょう。
物理蒸着法とは
物理蒸着法は通称PVDと呼ばれており、
物理的反応を利用して対象物に皮膜を形成する工法になります。
一般的に「真空蒸着」「スパッタリング」「イオンプレーティング」に分類されています。
大きな括りでは乾式めっきに属しています。
それでは「真空蒸着」「スパッタリング」「イオンプレーティング」について
それぞれ解説して行きます。
真空蒸着とは
真空蒸着とは真空炉内で金属を蒸発させ、対象物に皮膜をつける工法になります。
真空炉内を減圧状態にし金属を蒸発させることで気体にし、
粒子を対象物の表面に蓄積していき冷却することで固体になり皮膜とします。
蒸発金属としてはAl、Agなどの金属が用いられ合金には適していないのです。
特に多く用いられているのはAlであり、自動車の内部パーツやヘッドライトの内部等に用いられます。
皆さんに身近な例で言うとポテトチップスが入っている袋の内側の部分見たことありますよね。
銀色になっていると思いますが
実はあれ、真空蒸着の技術が利用されているのです。
アルミの薄い皮膜を袋の内側につけることでポテトチップスの酸化を防ぎ、
ポテトチップスの成分をより長く保つことが出来ています。
以外にも工業製品以外にもこの「真空蒸着」が用いられているのです。
真空蒸着でつけられる皮膜自体はとても薄く0.05~0.1μ程度になります。
とても薄い皮膜なので製品本来の機能を維持したままコーティングが出来ます。
しかし、薄膜なので言わずもがな耐食性は
他の表面処理に比べ劣っており外装部品には向いておりません。
外部環境にあまり左右されない箇所で用いり、
綺麗なコーティングをしたい製品に向いていると言えます。
一般的に下地には素材を平滑化し、密着性を高める為にアンダーコートと、
皮膜の保護としてトップコートが必要になります。
特徴としては真空蒸着で加熱されることで気化した金属の分子は小さいので
薄膜でムラが出来にくく均一な状態を作る事が出来ます。
更に金属を初め、非金属まで様々な素材に対して処理を行う事が出来る為、
汎用性が高いという点でも大きなメリットがあります。
このようなことから幅広い分野や用途で用いられているのです。
スパッタリングとは
真空容器中にアルゴンガスを入れ、
陰極(金属)と陽極(対象物)の間に電圧をかけると、アルゴンイオンと電子になります。
このアルゴンイオンが金属にぶつかり金属の粒子を飛び出させます。
この現象をスパッタリング現象と呼びます。
そして飛び出した粒子が対象物表面に薄膜を形成させる工法になります。
ん~難しいですね。
要するに皮膜として形成したい金属を叩き粉砕し、
そのはじけ飛んだ粒子を電気を使い、対象物に皮膜を形成しています。
ここでよく言われるイメージは
砂場に石を投げつけると、砂(粒子)が勢いよく周りに飛びます。
そして、その砂(粒子)が飛びそれが対象物に付着するイメージです。
真空蒸着と違う点は金属材料そのものを叩き粉砕しているので、
合金であろうがその成分をそのまま対象物表面に堆積することが出来る点です。
デメリットとしては真空蒸着に比べ分子が大きいので大きな製品に効率よく作業を行える反面、
小さな部品には適さないケースもあります。
イオンプレーティングとは
イオンプレーティング法は、真空蒸着法とほぼ同じ原理になります。
異なるところは、蒸発した粒子にプラスの電荷を帯びさせ、
対象物にマイナスの電荷をもたすことでプラスの粒子がマイナスの対象物に引き寄せられ
密着性に優れた皮膜を形成することが出来ます。
要するに電気の力を用いることで真空蒸着法よりも強力にアタックし
対象物に密着性の良い皮膜を形成することが出来ます。
この化学反応を利用すると合金皮膜も生成出来るようになります。
特長として付き周りが良い為、複雑形状な製品により適していると言えるでしょう。
まとめ
「真空蒸着」「スパッタリング」「イオンプレーティング」それぞれ工法の違いから
特徴があるのですが異なる点をここで整理すると
真空蒸着に対しイオンプレーティングは工法が似ているものの電気を使い皮膜を形成させる点。
一方、スパッタリングは金属を気化する方法が
スパッタリング法を用いり金属の粒子を叩いて出すという点。
そのことから単一金属以外の合金の皮膜が形成可能という事が挙げられます。
粒子の大きさにも違いがあり、真空蒸着に比べスパッタリングの方が
粒子が大きいので大きなものに適している等が挙げられます。
それぞれ、目的や用途よって適した工法が変わってくるので検討して頂ければ思います。
検討する際には真空蒸着を基本的に考えて、
不都合があった時にスパッタリングやイオンプレーティングを検討する流れでも良いと思います。
最後に..
今回は【基礎中の基礎】物理蒸着法について~真空蒸着・スパッタリング・イオンプレーティング~
についてお伝えしてきました。
工法がそれぞれ違い、製品によって適した処理方法はありますが
その工法はなかなかわかりづらく理解しづらいことも多いと思います。
普段あまり馴染みがない単語も出てきてしまいましたが
少しずつ整理していくと理解出来てくると思います。
少しでも知っているのと全然分からないのでは大きな差があります。
全てを細かく把握する必要はないかと思いますが
今回の記事がご覧になって頂いた方にとって少しでもお役立ていただけたら幸いです。
当社でも一部取り扱いが出来ますのでご連絡の程お待ちしております。
今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
執筆者プロフィール
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株式会社三和鍍金に入社後、経営難に陥っていた会社再建に取り組む。
経費削減、業務改善、人材育成に取り組み1年でV字回復させる。
その後、営業手法の業務改善を行い、売上高増加、年間新規取引100件を達成
柔軟な発想や行動力を持ち味に現在は表面処理を通しての新規事業に着手中。
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