【実は違う!?】硬質クロムメッキと装飾クロムメッキ
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※2023年9月19日に加筆修正いたしました。
群馬県高崎市にある(株)三和鍍金、事業統括部の武藤です。
今回は硬質クロムメッキと装飾クロムメッキに違いについてまとめました。
弊社では「装飾クロムメッキ」「硬質クロムメッキ」どちらも対応可能ですのでお気軽にお問い合わせください
本コラムをお読みいただくことで、装飾、硬質のクロムメッキはどのような処理なのか
両者の違いをお分かりいただけると思います。
そもそもクロムメッキとは?
両者に共通するキーワード「クロムメッキ」とはいったいどういうものでしょうか。
クロムメッキはJIS規格ではビッカース硬度HV700以上と定められております。
外観色はシルバー色で高度の光沢が得られ、耐摩耗性、耐食性、耐熱性、密着性が良く、広く工業用に使用されています。
よく街中で見かけるシルバー色でキラキラしているものはクロムメッキが施されております。
クロムメッキの特徴として被覆力、均一電着性が非常に悪いことが特徴であります。
しかしながら均一についてしまいさえすれば普通の自然環境下において、
表面に薄い不活性の皮膜が生成するので、大気中で非常に強い防食効果があります。
クロムメッキについてはこちらの記事もご参照ください。
さて、クロムメッキというものはどういうものかお分かりいただけたところで
ここからは「硬質クロムメッキ」と「装飾クロムメッキ」の特徴を見ていきましょう。
「硬質クロムメッキ」とは
硬質クロムメッキは別名「ハードクロムメッキ」とも言われています。
硬質クロムメッキはシャフトや治工具、金型等に採用されることが多いです。
硬さがあり耐摩耗性に優れ、耐食性、密着性がよく、摩滅や削りすぎた部品の補修に最適となります。
膜厚に関しては規格で2μ以上と定められていますが一般的には5μ程度つけるものが一般的であり、
使用環境によっては更なる膜厚が求められるものもあります。
色味はシルバー色です。
前述したようにクロムメッキは一般的に被覆力・均一電着性に劣る為、
陽極の位置の変更や補助陽極、補助陰極等を導入するなど部品に応じて様々な工夫を施しています。
単価の面に関して割高になっていますが、これは均一にメッキを掛ける為の工数の関係や、
電流効率が約10%~25%と非常に悪く、メッキ皮膜の生成速度が遅い(メッキに時間がかかる)ことに起因しています。
※詳しくはこちらの記事もご参照ください。
また、早くつけようとして電圧を上げる事で強電部に焦げ付きが発生するなど不具合を生じてしまう為、
非常に手間暇がかかった処理と言えます。
弊社でも扱っておりますので、対応可能寸法などは下記よりご覧ください。
「装飾クロムメッキ」とは
装飾用クロムメッキは「装飾」とついていることもあり、外観を綺麗に整えることが基本の目的となりますが
・ニッケルメッキの保護膜として作用する
・製品に更に硬度をもたせる
他にも上記のような効果をもたらします。
当社では銅メッキ-ニッケルメッキ-クロムメッキと3層のメッキでお客様にお出しする事が多いですが、
下地に硫酸銅メッキを用いり、表層がクロムメッキであるため綺麗なシルバー色のピカピカとした仕上がりになります。
また、規格では膜厚は2μ以下となっていますが、一般的には0.2~0.5μと非常に薄い皮膜となっております。
当社の銅メッキ(5μ程度)、ニッケルメッキ(10μ程度)と比較すると非常に薄膜になっており驚かれることも多いのですが、
装飾クロムメッキとしてはこの薄膜でも十分な性能を発揮します。
弊社でも扱っておりますので、詳細は下記よりご参照ください。
まとめ
「硬質クロムメッキ」と「装飾クロムメッキ」、両者の特徴をご理解いただいたところで違いをまとめると以下の通りとなります。
「硬質クロムメッキ」も「装飾クロムメッキ」も同じクロムメッキですが膜厚によって大別されております。
どちらも弊社には豊富な知見がございますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
執筆者プロフィール
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株式会社三和鍍金に入社後、経営難に陥っていた会社再建に取り組む。
経費削減、業務改善、人材育成に取り組み1年でV字回復させる。
その後、営業手法の業務改善を行い、売上高増加、年間新規取引100件を達成
柔軟な発想や行動力を持ち味に現在は表面処理を通しての新規事業に着手中。
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