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2022/04/15

【何個知っている?】珍しい合金の名前

  • 公開日:
  • 更新日:

皆さん、初めましてこんにちは。

群馬県高崎市にて表面処理業を行っております、(株)三和鍍金の古島です。

合金でできている物といえば何を思いつきますか。

私は硬貨でした。

人間、お金には目がないものだと改めて思い知らされました。

今回は「珍しい合金の名前」について解説していきます。

合金とは

そもそも合金って皆さんご存じですか。

合金とは純金属に1種類以上の他元素を混ぜた金属素材のことです。

例を挙げると、一般的にステンレスと言われるステンレス鋼は鉄にニッケルやクロムなどの化学的安定性の高い(耐食性の高い)金属を混ぜた合金の事です。

詳述すると、鉄にクロム含有量が10.5%(質量パーセント濃度)以上、炭素含有率が1.2%以下の合金鋼の事です。

鉄だけだとサビやすいままですが、鉄にクロムを混ぜたステンレスだとサビにくくなります。

さらに、ステンレスの不動態化皮膜は酸素によってすぐに再生するため錆のない状態を長く保てるのです。

このように元素と元素を合わせることにより、1+1=2ではなく、3にも4にもできるのが合金の強みなのです。

詳しくはこちらをご覧ください。

ここから実際に私がめずらしいと感じた合金を紹介していきます。

百円玉って何でできているの?

日々なんとなく使っている日本円の硬貨は1円玉を除き、そのほとんどが銅でできている合金なのです。

一般的に真鍮とも呼ばれ、五円玉にも使われている「黄銅」、学生時代に習った青銅器や十円玉に使用されている「青銅」は聞いたことがあるかと思います。

では、白銅は聞いたことはあるでしょうか。

多くの人は聞いたことないと思います。私もありませんでした。

この白銅によって百円玉・五十円玉はできているのです。

五円玉や十円玉の合金は知られているのに百円玉の合金である白銅はあまり知られていないのは不思議ですよね 。

白銅 キュプロニッケルとも呼ばれ 銅とニッケルの合金です。

銀白色をしており、サビに強いのが特長です。

他にも硬貨として使われている合金として ノルディック・ゴールド があります。

ノルディック・ゴールド...かっこいい名前ですよね。

ノルディック・ゴールドは銅合金の一種で、スウェーデンの硬貨やEUのユーロ硬貨に使用されています。

日本古来の合金

日本で古来から存在している 四分一(しぶいち) という合金があります。

四分一とは元来銅と銀が3:1で、銀が四分一の割合で含まれていることからその名がつけられました。

現在のものは銀の割合が約25%と低くなっていますが、美しい銀灰色から朧銀(おぼろぎん、ろうぎん)とも呼ばれています。

また、四分一の種類として赤銅を使った黒四分一、金を利用した金四分一などがあります。

彫刻細工の中でも四分一を使用した作品は、習得が非常に難しいため長年の修行が必要になります。

世界的にもコアな人気がありますが、四分一の技術を継承できる人が現在では少なくなっているため、四分一自体を目にする機会が減ってしまっています。

稀有な天然合金

オスミリジウムはオスミウムとイリジウムの天然合金のため、非常に稀有な合金とされています。

耐食性や耐摩耗性に優れており、硬度が高いため、万年筆のペン先で使われています。

万年筆で大事な滑らかな書き味は適した弾力とペン先の滑らかさが必要です。

オスミリジウム は上記でも述べましたが、サビにくく、摩耗にも強いため万年筆の肝心要を守り、年も変わることのない書き心地で人生で自慢の一本を作り出せるのです。

銀歯も合金?

歯医者さんで虫歯を削ると詰め物をしますよね。

その際、セラミックやプラスチック、合金などを使用した様々な治療が行われます。

その中で銀の詰め物(銀歯)として使われていたのがアマルガムです。

アマルガムはほとんどが水銀でその他に銀、銅、錫、亜鉛が含まれています。

以前までは無機水銀のため、安全だと思われていました。

しかし、現在は水銀による環境汚染の影響や蕁麻疹、金属アレルギー、また頭痛の原因の一つとも考えられています。

海外ではアマルガムの使用が禁止されている国もあるほどです。

そのため、日本でも歯にアマルガムを詰め物として使う際は保険の適応外となり今ではめずらしくなっています。

合金が作り出す未来

余談ではありますが、最近京都大学の北川宏教授らが貴金属と言われるすべての元素(金、銀、白銀(プラチナ)、オスミウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、パラジウム)を混ぜ合わせたナノ合金世界で初めて成功しました。

上記の8元素の合金は水素を発生させられる可能性が高いという結果が実験によって導き出されました。

このナノ合金によって、水素を次世代のエネルギーとした未来がすぐそこまで来ているのです。

水素を使ったエネルギーは二酸化炭素を排出するエネルギーに取って代わると言われており、一年間に335億トンにも上る二酸化炭素の排出量を削減することができるのです。

現在、二酸化炭素の増加に伴い、地球温暖化が進み最終的には食糧問題や健康被害など私たちの生活にまで及んできています。

水素エネルギーがどこまで二酸化炭素の排出を減少させられるのか楽しみですね。

まとめ

いかがだったでしょうか。

余談が長くなってしまいました。

合金はあまりなじみのない方も多いと思いますが、実は知れば知るほど日常にあふれています。

今回はそんなめずらしい合金の名前についてでしたが、私もほとんど知らない合金で面白かったです。

皆さんは何個知っていましたか?

では、また次回お会いしましょう!

執筆者プロフィール

古島 義樹
古島 義樹
ソフトウェア開発会社にプログラマーとして在籍後、株式会社三和鍍金に入社。現場で経験を積み、現在は営業職に従事している。

表面処理については継続的に勉強中であり、0から学びたい方や調べてみたけどよくわからない方に寄り添った内容を心がけている。

ユーザーの要望や需要に沿ったソフトウェアの開発経験を活かし、メッキライブラリにおいてもユーザーニーズを満たす記事を目指す。
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