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2023.10.31

アルミニウム合金にはどんな種類がある?それぞれの特徴や用途

アルミホイルやアルミ缶など、アルミ製品はわたし達にとって身近な金属のひとつです。
しかし「アルミ」にもさまざまな種類があることは、あまり知られていないのではないでしょうか。

実はアルミは、ほかの金属を加えて強度や伸展性などを調整した合金が、数多くあるのです。

こちらの記事ではアルミニウムに銅やマグネシウムなどを添加した「アルミニウム合金」について、それぞれの特徴や用途を解説します。

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アルミニウム合金とは?

アルミニウム合金は、アルミニウムにほかの金属を混ぜて作った合金のこと。アルミの鋼種とも呼びます。
純粋なアルミニウムは柔らかさが特徴であるのに対して、アルミニウム合金は混ぜた金属の特性によって進展性や強度が変わります。
熱や電気を良く通し、耐食性も持っているため冷暖房のパーツや熱交換器などに使用されます。

アルミニウム合金の種類を表す記号はJISによって定められており、以下のように表記されます。

A5052P-O

先頭のAはアルミニウム(Aluminum)の頭文字、数字(5052)は合金の分類を表しています。後ろに続くPはプレート(Plate)を意味しており板や円盤の形をしているアルミ材に付けられ、ハイフンの後のO(アルファベットのオー)は焼きなまし処理を施したものであることを示しています。

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アルミニウム合金の種類と材質

アルミニウム合金は、混ざっている金属の種類や持っている特性ごとに番号が振り分けられています。
以下では分類番号によるアルミニウム合金の特徴を解説します。

1000系

1000系は純粋なアルミニウムです。純度が99%でほとんど不純物が含まれていません。
そのため、柔らかく伸展性が高くなっています。耐食性や加工性が良い一方で、傷つきやすく強度が劣ります。熱と電気をよく通すため、電気器具や放熱材に利用されますが、構造材には適していません。

2000系

2000系はアルミニウムに銅を加えた合金です。ステンレス鋼材と同程度の強度があり、A2017はジュラルミン、A2024は超ジュラルミンと呼ばれています。銅は酸化しやすい特徴があることから、耐食性が低く、使用する環境によっては防腐処理が必要です。

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3000系

3000系はアルミニウムにマンガンを添加した合金です。純アルミニウムの耐食性や加工性を維持しつつ、強度が少し高くなっています。使い勝手が良く、うつわや容器、建材などに使われます。

とくに強度の高い3004、3104は屋根やアルミ缶に利用されています。

4000系

4000系はケイ素が加えられており、耐摩耗性が高いことが特徴です。熱による膨張が起きにくいため、ピストン材料に多く利用されます。また、ほかのアルミニウム合金よりも融点が低いことから、溶接の溶加材としても使われています。

5000系

5000系はマグネシウムを添加したアルミニウム合金です。耐食性が高く、強度も優れています。マグネシウムの添加量によって溶接性や加工性が柔軟にコントロールでき、ほかのアルミニウム合金よりも種類が多くなっています。マグネシウムの含有量が多いものは自動車や構造用材に、少ないものは装飾品やキッチンツールに使われます。

6000系

6000系はアルミニウムにケイ素とマグネシウムを添加した合金です。種類によっては銅も加えられています。強度と耐食性がともに優れており、銅を含むものはステンレス鋼材に近い強度を持っています。
経年劣化しづらく、住宅のアルミサッシやボルトなどに使用されています。

7000系

7000系は亜鉛とマグネシウムを加えたアルミニウム合金で、種類によっては銅も含んでいます。
アルミニウム合金の中で最も強度が高い素材です。なかでもA7075は超々ジュラルミンと呼ばれ、航空機や自動車の部品に使われています。

8000系

8000系は、1000~7000系のどれにも分類されないアルミニウム合金の総称です。
リチウムを添加したものや、鉄を加えて強度や加工性を向上させたものがあり、航空機や電気通信用の部品などに使用されます。

代表的なアルミ材と用途

純アルミとアルミニウム合金は、大まかに8つの分類があり、含有する金属量によってさらに細かく分けられています。以下では、アルミ材のそれぞれの特徴と用途を解説します。

A1050

A1050は純度99.5%以上の非常に純度の高いアルミ材です。ほかの金属は添加されていません。

耐食性に優れており成形はしやすいですが、強度が低く、切削加工でへこみやキズができやすいことが欠点です。熱や電気をよく通すことから照明や導電材に使われています。

またアルミ特有のシルバーグレーの上では、絵の具の色味が正確に判断できることから、パレットに使われることもあります。

A2017

A2017は銅とマグネシウムを添加したアルミニウム合金で、ジュラルミンとも呼ばれます。
鉄鋼材に劣らないほどの高い強度が特徴で、航空機の部品や構造材に使用されます。
ただし銅が添加されているため酸化しやすく、使用する環境によっては表面にアルマイト処理などの加工が必要です。強度が高い一方で、加工性が低く、溶接には向いていません。

A3003

A3003はマンガンを添加したアルミニウム合金です。純アルミニウムの耐食性と加工性を維持したまま、強度を向上させています。加工性がよく、アルミ缶や電球の口金、化粧板などさまざまな製品に使用されますが、マンガンによって延性が増しているため切削加工の際は注意が必要です。

A5052

A5052はマグネシウムを添加し、強度と耐食性が高いことが特徴です。アルミニウムは自然に酸化被膜を形成するため、もともと高い耐食性を持っていますが、マグネシウムが加わることでよりサビに強くなります。
A5052の強度はアルミニウム合金全体のなかで中程度で、溶接性や成形性も優れており、切削加工にも向いています。また、その使い勝手の良さから、流通量が多い素材です。

A7075

A7075は「超々ジュラルミン」と呼ばれ、アルミニウム合金の中で最も強度が高い素材となっています。
ステンレスの鋼材に負けない強度を持つ一方で、重さはステンレスの1/3程度と非常に軽いのが特徴です。ほかの7000系はアルミニウムに亜鉛とマグネシウムを添加していますが、A7075はさらに銅を加えています。
硬さと軽さを併せ持つため、ロケットや人工衛星、スポーツ用品など高い負荷がかかるシーンで使われています。

【まとめ】アルミの表面処理なら三和鍍金におまかせ

アルミニウム合金まとめ
● アルミニウム合金はマンガンや銅など、さまざまな金属が添加されている
● アルミが持つ軽さや加工性の良さに、強度や耐食性が合わさることで多用途に使える素材となっている

三和鍍金ではアルミニウムの表面を酸化させるアルマイト加工のほか、アルミ製造品へのメッキ加工を行っています。
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