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2023.12.26

【金属の特徴】亜鉛の知っておきたい基礎知識!特徴や用途を解説

亜鉛は建築材料やサプリメント、塗料などあらゆる加工品として利用されており、

暮らしに欠かせない金属のひとつです。

とくに、鉄の耐食性を上げることを目的に添加されることが多くなっています。

こちらの記事では、亜鉛の特徴や製錬方法などの基礎知識から、亜鉛製品が持つ特徴を製品ごとに解説します。

三和鍍金では電気亜鉛メッキ、溶融亜鉛メッキのいずれにも対応しています。

酸性亜鉛メッキ浴を使用した表面処理も可能です。お気軽にお問い合わせください。

電気亜鉛メッキの原理や用途について、動画でも解説しています。こちらも合わせてご覧ください。

【めっきを学ぶ#9】電気亜鉛メッキ

亜鉛とは?特徴と製錬方法を解説

亜鉛は酸化被膜を形成する特徴をもつことから、鉄と組み合わせて使用されることの多い素材です。

こちらでは亜鉛が持つ特徴や製錬方法について解説します。

亜鉛の特徴

亜鉛 元素記号:Zn 原子番号:30

亜鉛は、鉄や鋼よりもイオン化傾向が大きく酸化しやすい金属です。

鉄や鋼に添加すると、防腐作用を発揮するという特徴を持ちます。

加工性に優れており、寸法公差の厳しい製品に利用されます。

屋根や壁などの建材、おもちゃ、電池、自動車部品など幅広い分野で亜鉛が利用されており、

金属以外にも軟膏や防虫剤として加工されて使われることもあります。

亜鉛の地金は純度の高い順に、以下の6種類に分類されます。

  1. 1.最純亜鉛地金:亜鉛の含有量が99.995%以上
  2. 2.特種亜鉛地金:99.990%以上
  3. 3.普通亜鉛地金:99.97%以上
  4. 4.蒸留亜鉛地金特種 :99.7%以上
  5. 5.蒸留亜鉛地金1種 :98.5%以上
  6. 6.蒸留亜鉛地金2種 :98.0%以上

製錬方法

亜鉛の製錬方法は、以下の3種類に大別されます。

  1. 1.電熱蒸留製錬
  2. 2.乾式製錬
  3. 3.湿式精錬

電熱蒸留製錬とは、高温で熱した鉱石から亜鉛を蒸留する製錬方法のこと。

閃亜鉱石や黒鉱といった鉱石を焙焼し、コークスと共に炉に入れて電流を流すことで

亜鉛を熔解・蒸発させ、冷却して蒸留亜鉛を取り出します。

乾式精錬とは、電熱蒸留製錬で取り出された亜鉛の純度を高めるために、

さらに蒸留の工程を加えたもののことを指します。

電熱蒸留によって製錬された亜鉛にはカドミウムや鉛が含まれているため、これらを分別するために蒸留を行ないます。

湿式製錬は熱した鉱石を水溶液に浸けて硫酸亜鉛溶液にし、電気分解によって亜鉛を抽出する方法です。

湿式法によって製錬された亜鉛は純度が高く、およそ99.99%にもなります。

亜鉛を使った3つの製品

亜鉛を使用した製品にはさまざまなものがありますが、以下では、代表的な用途であるメッキ、鋼板、合金の3つについて解説します。

亜鉛メッキ

鉄の表面に亜鉛を添加すると防食性が上がることから、亜鉛はメッキとして利用されることが多くなっています。

亜鉛メッキは以下の2種類に大別される

  • ●電気亜鉛メッキ:電気を使ってメッキを施す
  • ●溶融亜鉛メッキ:化学反応を利用してメッキを施す

電気亜鉛メッキは、亜鉛メッキ槽の中に部品を入れて電気を流すことで皮膜を形成します。膜厚がコントロールしやすく、精密部品の加工に適した方法です。しかし溶融亜鉛メッキに比べて腐食が起こりやすいため、耐食性を上げるためにクロメート処理もあわせて行う必要があります。

溶融亜鉛メッキは電気亜鉛メッキよりも厚く膜がつくため腐食に強く、クロメート処理を必要としません。

耐久性には優れていますが、膜が厚く均一性に欠けるため、精密さが要求される部品への加工には向かないことが欠点です。

また450度程度の高温の水溶液に浸けるため、素材によっては反りが発生することがあります。

電気亜鉛メッキと溶融亜鉛メッキにはそれぞれメリットとデメリットがあるため、使用目的に合わせて処理方法を決めることが重要です。

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亜鉛メッキ鋼板

亜鉛メッキ鋼板とは、亜鉛メッキを施した鋼板のことで、サビや腐食に対して耐久性が優れています。

屋内屋外のどちらの環境にも対応でき、建材、自動車、電気機器など幅広い分野で利用されている素材です。

施した亜鉛メッキの種類によって、以下の4つに分類されます。

  • ●溶融亜鉛メッキ鋼板
  • ●電気亜鉛メッキ鋼板
  • ●電気合金亜鉛メッキ鋼板
  • ●合金化溶融亜鉛メッキ鋼板

溶融亜鉛メッキ鋼板は皮膜に厚みがあることが特徴です。

亜鉛メッキ鋼板の中でも、とくに高い防錆性、耐食性を持ちます。

シャッターやガードレールなど屋外で使われる建材や、冷蔵庫や洗濯機といった家電まで幅広く使われています。

電気亜鉛メッキ鋼板は、皮膜が薄く均一であることが特徴です。

自動車のパーツや電子機器など寸法公差が厳しい製品に向いています。

防錆性の面から、屋外での使用にはあまり使われません。

電気合金亜鉛メッキ鋼板は、表面処理を行う際に酸性のメッキ浴を使用します。

水素ガスや電流効率の問題からメッキが付きにくい製品にも、成膜が可能です。

また加工性や溶接性が向上する効果も得られます。

合金化溶融亜鉛メッキ鋼板は、鉄と亜鉛を合金化した溶融亜鉛メッキ鋼板のことです。

溶融亜鉛メッキ鋼板には、プレス加工の際にメッキが金型に付着する問題がありますが、

合金化することでこの問題に対処できます。

塗装性や防錆性、溶接性が改善するなどのメリットもあります。

亜鉛合金

亜鉛合金は、亜鉛にアルミやマグネシウムを添加して作る合金です。加工性がよく、ダイカストによく使用されています。

亜鉛合金は、以下のような特徴を持ちます。

  • ●熱伝導率が良い
  • ●電気伝導率が良い
  • ●強度、硬度が高い
  • ●流動性に優れる

亜鉛合金は、添加する金属の配合によって硬さや光沢感を調整でき、メッキや塗装といった表面処理がしやすいことがメリットです。

自動車のパーツからおもちゃまで、幅広い用途で使われています。

利便性の高い亜鉛合金ですが、イオン化傾向が高いため耐食性がやや劣ることが難点です。

含有する不純物の影響を受け、経年劣化によって粒間腐食を起こす可能性があります。

そのため品質の改良や定期的なメンテナンスが必要とされています。

【まとめ】亜鉛メッキのご依頼は三和鍍金におまかせ

亜鉛の特徴まとめ

  • ●鉄に添加したりメッキとして施したりすることで腐食性を上げる作用を持つ
  • ●亜鉛メッキはクロメート処理によってさらに耐食性が上がる
  • ●加工性に優れており、寸法公差の厳しい製品に利用される

亜鉛の基礎知識から製品ごとの特徴まで解説しました。

亜鉛は鉄の耐食性を向上させたり、合金としておもちゃや自動車に利用されたりと生活を支えています。

イオン化傾向が大きく、クロメート処理やほかの金属を添加してデメリットを補う必要がありますが、

今後も製造業を支える重要な金属のひとつです。

三和鍍金では亜鉛メッキやクロメート処理をはじめとした表面処理を50種以上取り扱っています。

最短で当日納品も可能です。お気軽にご相談ください。

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亜鉛メッキのよくある質問はこちらのページからご覧いただけます。

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