【クロムの特性】金属加工や体内でどう作用する?
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※2023年9月22日に加筆修正致しました。
クロムはメッキ処理やステンレスの製造に関わる物質です。
「クロム=金属」とイメージする方も多いのではないでしょうか。
しかしクロムの役割は、金属の加工に使われるだけではありません。
実は食べ物やファッションなど、私たちの暮らしを色々な面から支えているのです。
こちらの記事では
- ・クロムの特徴と作用
- ・クロムの種類
- ・クロムを含むもの
- ・クロムの用途
について解説します。
この記事を読めば、クロムがどのような形で暮らしに関わっているかが理解できますよ。
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クロムとは
クロムは、原子番号24番、元素記号はCrと表記されます。
硬く、耐食性があるためクロムメッキやステンレス鋼として利用されることが多くありますが、
人間の体をつくるミネラルのひとつでもあります。
こちらではまず
- ・クロムの特徴と作用
- ・クロムの種類
について解説します。
クロムの特徴と作用
金属としてのクロムは硬く、耐食性があり、見た目は銀色で光沢があります。
クロムといえば金属や工業製品を思い浮かべる方も多いでしょう。
クロムが作る膜は「密度が高く酸素を通さない」という性質があるため、
蛇口のメッキ塗装や包丁をはじめとしたステンレス製品に利用されることが多くあります。
金属の加工に利用される一方で、クロムはミネラルとして私たちヒトの体内にも存在しています。
野菜や魚介類などの食べ物から摂りこまれたクロムは、血中コレステロールの代謝やインスリンの働きに作用すると考えられており、健康維持に欠かせない栄養素のひとつなのです。
クロムの種類
クロムの化合物はさまざまありますが、代表的な以下の2つについて解説します。
三価クロム:自然界に多くある。毒性はない。色は六価クロムに比べてやや暗いシルバー。
六価クロム:人工的に作られる。毒性がある。白みを帯びたシルバー。
三価クロムは鉱石や肉、魚など自然界に多く存在しています。
工業においては、毒性を持つ六価クロムの代わりに使われることが増えています。
六価クロムは適切に処理することで毒性を取り除くことができますが、
体内に入ると皮膚炎や肺・胃などの臓器に障がいを引き起こしたり、
ガンを引き起こしたりすることから規制の対象となっています。
メッキ塗装に長く利用されてきましたが、健康被害や環境汚染の可能性もあるため、
近年は三価クロムに代用されることが増えてきました。
三価クロムと六価クロムについては以下の記事でも詳しく解説しています。
クロムを含むもの
自然に存在するクロムは、鉱物や食べ物などに含まれています。
クロムを含むものの例
- ・ルビーやエメラルドなどの宝石
- ・米、鶏肉、魚介類などの食べ物
鉱石に含まれるクロムは、宝石の色に影響を与えます。
ルビーは赤、エメラルドは緑とまったく別の色をしていますが、
これはクロムの含有量の違いによるものです。
またアレキサンドライトという宝石は日光の下では緑、ロウソクの灯りのもとでは赤に見えますが、
これもクロムの影響によって起こる現象です。
ミネラルとしてのクロムは、ヒトの体内でインスリンの働きを助け、血糖値の安定に役立ちます。
ダイエットや糖尿病予防への効果が期待されるため、サプリメントが販売されていますが、
摂り過ぎると吐き気や下痢を引き起こすことがあり注意が必要です。
クロムの用途
クロムには以下のような用途があります。
クロムの用途の例
- ● メッキ
- ● 染め物
- ● 革製品の加工
国内で消費されているクロムの90%以上が、
メッキやステンレス鋼といった金属加工に利用されています。
硬く、耐食性があるという特徴から、ネジやボルト、製品の金型などのサビの防止に
クロムメッキが使われる場面が多いです。
また美しい光沢があり、多様な色を表現できることから、装飾として使われることも多くあります。
ステンレス鋼は、含む元素の量によって、クロム系とニッケル系の2種類に大別されます。
クロムはニッケルに比べてゆがみが起きづらく、安価であることから近年需要が高まっています。
金属加工以外では、羊毛や絹のカラーリング、革のなめしに用いられます。
クロムの特性を利用して染色すると、色落ちに強く光沢感のある仕上がりになるためです。
革のなめしでタンニンの代わりにクロムを使用した場合、キズや水濡れに強くなり、
耐久性が上がるといった作用もあります。
ニッケルの特徴や用途について解説した記事もあわせてご覧ください。
まとめ:クロムは私たちの暮らしに欠かせない物質
クロムの特性を簡単に表現すると「加工したものの耐久性が上がる」といえます。
- ・金属加工:サビに強い耐食性のある仕上がりになる
- ・染色:洗濯に強く色落ちしづらくなる
- ・革のなめし:キズや水濡れに強く耐久性が向上する
クロムは車、食事、ファッションなど、さまざまな形となって私たちの暮らしを支える存在なのです。
三和鍍金では、ステンレス、銅、真鍮など多様な素材へのクロムメッキ処理が可能です。
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執筆者プロフィール
- 金属表面処理の様々な疑問・基礎知識や、創業から70年以上培ってきたノウハウについて「誰にでもわかりやすく」をモットーに執筆しています。
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