【金属の特徴】メダルの色!金・銀・銅
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群馬県高崎市にございます(株)三和鍍金 事務の根岸です。
世間では北京オリンピックが大盛り上がりでしたね!
冬季オリンピック最多メダル数も獲得できて、こちらまで元気もらっちゃいました(^^)
今回はオリンピックの目玉であるメダルの色【金・銀・銅】を、
金属の性質としてはどうなんだろう?という視点からお送りしたいと思います。
■金 -Gold-
元素記号:Au 原子番号:79
【展性・延性に富んでいる】
金は金属の中でも“重く、柔らかい”という特徴があります。
展性とは、圧縮によって伸びる性質
延性とは、引張によって伸びる性質のことです。
この事柄より、金は最も薄く伸ばせる金属として知られています。
例えば、金1gで数平方メートルまで伸ばすことができたり、長さだと約3000mまで伸ばすことができると言われたりもします。
皆様の身近な物で表すと、平面上に薄く伸ばしたものは<金箔>、糸状に伸ばしたものは<金糸>と呼ばれております。
金箔がふりかけられているお祝い事の食べ物やソフトクリーム。
まさに【金】を食べているということですね!
エステでも金箔パックというものがあります。
体内に取り込まれると、自分が輝いてきそうな気持ちになります…(笑)
【他の金属とも混ざりやすい】
“合金”という言葉を聞いたことはありますか?
柔らかい金は、他の金属を溶け合いやすい為、混ぜて合金を作ることも容易とされています。
例えば、金に銅を混ぜると少し赤みが買った金色になります。これは俗にいう“ピンクゴールド”です。
金+銀=グリーンゴールド
金+アルミニウム=パープルゴールドなど様々なパターンを作り出すことが出来ます。
アクセサリーや時計など、一口にゴールドといっても合金される金属によって色味がとても違います。
自分で身に着けるもの、インテリア製品など、色味にこだわりがある場合は確認してみてくださいね♩
また、金そのものは腐食に対して非常に強いのですが、合金の場合は手入れを怠ると腐食する場合があるので注意が必要です。
【熱伝導や電気伝導にも優れている】
宝飾品のイメージが強い金ですが、それだけにはとどまらず私たちの生活に必要不可欠な物にも使用されております。
パソコンやスマートフォンなどに内蔵されている半導体など、高速に電気信号を伝えることが出来る為、電子機器にとってはなくてはならない素材です。
金表面には酸化膜がないので圧接加工も容易です。
■銀 -Silver-
元素記号:Ag 原子番号:47
【反射率が最も高い】
あらゆる金属の中で光の反射率が最も高く、可視光線に対する反射率90%以上と言われています。
ラテン語で“argentum-輝くもの-”と呼ばれており、元素記号の“Ag”はこの単語が由来になったとも言われております。
研磨することによりプラチナ以上の強い輝きを出すことも可能です。
貴金属の中では白く美しい輝きを持ち、産出量が多く安価な為、シルバーアクセサリーとしても人気です。
【不安定な金属】
熱伝導・電気伝導は金よりも高く、展性・延性においても富んでおり、金に次いでよく伸びる金属として知られております。
しかし原子的には安定しておらず、純銀だけでは変形しやすく、貴金属の中では比較的化学変化を起こしやすい金属としても知られております。
空気中の硫化水素を結合すると表面に皮膜が作られます。
この皮膜が厚くなるにつれ、だんだんと黒く変色していきます。
アクセサリーをつけようと思ったら、黒ずんでいる…とショックを受けるその原因は、この皮膜なんです(*_*)!
汗や温泉の成分(硫黄成分がある温泉)でも反応し、黒ずんでいきます。
(温泉に入る時は、結婚指輪必ず外してくださいね!!奥様や旦那様に怒られちゃいますよ!!)
しかし、この黒く変色した銀を<いぶし銀>と言ってインテリアやアクセサリーなどに活かす方もいらっしゃったり、
クリーナで磨くことで本来の輝きに戻ったっり、銀にロジウムメッキをすることで黒ずみを防ぐ方法もあります。
イオン化傾向で見てみると、金やプラチナと比べると銀はサビが起こりやすいですが、他の金属よりはサビにくいと言えます。
【殺菌にも効果的】
銀といえば銀イオン 銀イオンといえば殺菌!というくらい耳にすることが多いと思います。
夏になると使われる制汗スプレーや汗拭きシートに入っている成分です。
銀イオンは強い殺菌力を示すため、抗菌剤として使用されています。
また、現在では当たり前の銀食器。
その昔、王宮では権力争い等で毒入りの食べ物を出されることも多かったそうです。
銀は硫黄化合物などの毒物が混入されていた場合、化学変化による変色で即座に異変を知ることが出来るので、昔から銀食器が使われていたという説もあります。
余談ですが…
金・銀と聞くと、どうしてもアクセサリーや小物に結びついてしまう私なのですが…(笑)
アクセサリーや時計などを購入されるとき、自分にどんな色が似合うか知る方法があります!
パーソナルカラーで★イエローベース ★ブルーベース と大きく2つに分類されるのですが、今回の話でいくと金がイエローベース 銀がブルーベースにあたります。
折り紙の金色・銀色の上に自分の手を置いてみてください。どちらかの色で肌が綺麗に見えるはずです!
金色で肌が綺麗に見える方はイエローベースなので、ゴールド系の持ち物や春色・秋色の服装が似合います。
銀色で肌が綺麗に見える方はブルーベースなので、シルバー系の持ち物や夏色・冬色の服装が似合います。
“メッキをする”という観点からも、メッキをする物がインテリア用品に使われるのであれば、色味が重要になる場合もあります。
メッキの種類により色味も異なりますので、気になる処理がある場合はお気軽にご連絡くださいね♬
■銅 -Copper-
元素記号:Cu 原子番号:29
【電気伝導性・熱伝導性が高い】
銅の一最大の特徴として挙げられるのが、何といっても導電性です。
もともと金属は熱や電気が伝わりやすいのですが、銅は他の金属に比べ抜群に熱や電気が伝わりやすく、電子機器には欠かせない金属として大活躍しています。
エアコン、パソコン、冷蔵庫などにはもちろん、電線などにも使用されています。
熱の伝わりやすさが優れていることから、食材を均等に加熱できる銅鍋としても作られており、電子機器から身近なキッチン用具にまで幅広く需要があります。
昔ながらの台所用品店に行くと銅製のお鍋やヤカンよく見かけませんか?
シンプルな見た目だけど、シンプルに熱が通りやすい。ベースとして一番必要な機能ですよね。
【加工性に優れている】
銅も金や銀と同じく展性・延性が高く、形を変えやすい金属です。
脆さがなく、加工性に富み、曲げ加工や絞り加工などが容易にできます。
特に切削加工や圧延加工に適しています。
複雑な形にしたり、細かい模様を描くこともでき、弥生時代の古墳から見つかった装飾品(銅矛・銅鏡・銅鐸など)にも銅が使われていました。
金属としての寿命も長いので、とても重宝されております。
【耐食性の高い金属】
銅も金と同じく耐食性が高い金属といえます。
他の金属が苦手とする海水にも対応できるのが特徴で、船のスクリューなどにも使用されているようです。
ただし硝酸・硫酸などの化学物質には弱いので、酸系の薬品を扱う場所では注意が必要です。
余談②です!!
皆さん、日々の生活で毎日と言っていいほど銅に触れています。
それはなんでしょう?
……正解は硬貨です!
1円玉以外の硬貨には銅が使用されています。(1円玉はアルミです)
5円玉:黄銅
10円玉:青銅
50円玉・100円玉:白銅
500円玉:黄銅
(※主な成分です。硬貨によって亜鉛やニッケルが含まれています)
■まとめ
いかがでしたでしょうか?
オリンピックのブームに乗りつつ、金属としての特性を調べてみました。
それぞれに適した用途があることが分かりました。
(個人的には銀が面白かったです!笑)
今後も色々な金属の特徴を紹介していきたいなと思っております♩
今回もご覧いただきありがとうございました(*^^*)
執筆者プロフィール
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ウエディング・旅行業界で勤務後、株式会社三和鍍金に入社。
事務員として伝票発行や納期管理をする傍ら、サービス業で培った高いホスピタリティ(おもてなし精神)を活かし、三和鍍金に関わる全ての方々が気持ち良く過ごせるようなお客様対応を心がけている。
メッキについて初心者であることを活かし、「メッキ初心者の視点」で書いたコラムはいずれも高い人気を博している。
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