【そもそもの話】めっきって何?
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※2023年9月21日加筆修正致しました。
こんにちは!
群馬県高崎市にございます(株)三和鍍金 事務の根岸です。
コラムを書く時、‘何を書こうか….’と毎回悩んでいます。
ある日友人に
「めっきのコラムを書いているのだけど、何か分からない事や不思議に思うことってある??」と聞いてみたら、
「そもそも、めっきって何?」と言われました。。。
確かに…!日常にこんなにもありふれているのに、いきなり質問されても分からないよな…と我に返りました。
私自身も上手に説明できない!と思ったので、今回は基礎中の基礎を通り越して、
めっきの【め】、大元を調べてみました。
めっきの歴史にも触れてみましたので、ご覧ください(^^)
弊社では50種類を超える表面処理を取り扱っていますのでお気軽にお問合せ下さい
◆めっきとは
物の表面に金属を被覆する技術のこと
素材表面に銅、ニッケル、クロム、金といった金属の薄い皮膜を施す技術です。
製品の多くは形さえ出来ればすぐに店頭に並ぶというわけではありません。
用途により美観を与えたり、錆を防いだり、摩擦に強くしたりなど、様々な目的により表面処理をします。
生活用品やアクセサリー、自動車部品 精密機器など、めっき技術はあらゆるところに駆使されております。
めっきと聞くと「めっきが剥がれる」という慣用句を耳にしたことある方もいらっしゃるのではないでしょうか?!
昔のめっきは剥がれやすく、‘うわべだけのごまかしが効かなくなり次第に本性があらわれる’
というマイナスなイメージで、ことわざが作られました。
ですが現代処理されているめっきはそんな簡単には剝がれません(笑)
◆表面処理の種類
上記に〈表面処理〉という言葉を使用しましたが、めっきは表面処理の一種です。
他にも、塗装や表面硬化 コーティングなど色々な方法があります。
種類や特徴をまとめてみましたので、下記表をご覧ください。
現在では、他の表面処理との複合技術も開発されており、めっき技術はさらに幅を広げております。
弊社でも、
*カチオン後に塗装
*三価クロメート後にカチオン
など、お客様の要望や用途により色々なパターンを承っております。
◆めっきのルーツ
話はガラリと変わりまして、めっきの歴史の話です。
めっきのルーツはとても古く紀元前1500年頃には、メソポタミア北部(現在のイラク周辺)で金属の装飾品や鉄器の防食の為に錫めっきがされていたり、紀元前500年頃には青銅器に金めっきをしていたという記録もあるそうです。
このように遥か昔、古くからある技術なのですが、日本でもめっきについて古い記録があります。
それは、東大寺の大仏(奈良の大仏)です。
金を水銀に溶かしたものを表面に塗り、加熱して水銀を蒸発し金の塗膜だけを残すというアマルガム法で表面処理されました。
水銀に金を溶かし込むと金色が無くなり水銀色になります。
金色が消えてしまう現象から「滅金(めっきん)」と呼ばれるようになり次第に「めっき」へと変化したそうです。
ちなみに東大寺の大仏さま全体をめっきするのに要した時間はどのくらいだと思いますか?
①1年
②3年
③5年
金と水銀の配合も色々考えられていたらしく、
◦金2:水銀1・・・・・かたくて塗れない
◦金1:水銀5・・・・・やわらかすぎて使いにくいがキレイに塗れる
◦金1:水銀3・・・・・使いやすい!!!!
など、パターン別の記録もあるそうです。
そんなこんなで、試行錯誤しながら表面処理された大仏さま
なんと5年もの歳月がかかったそうです!
ということで、正解は③でした~!(ちょっと楽しんでみました♩)
余談ですが、今年おこなわれた東京オリンピック。
オリンピックといえば金メダルですが、金メダルもめっきされています。
金メダル…実は銀でできているのですが、(ややこしいですね(・・;))
最低6グラムの純金による金張りがされているの物が金メダルとされているそうです。
メダルにまでめっき技術が施されているとは驚きですね!
◆置換めっきから電気めっきへ
ながらく電気を使わない置換めっきというもので、めっきされてきたのですが、1800年イタリアのボルタ電池を皮切りとした電池の発明で大きく変わります。
それ以降、電気めっきが可能となりめっき法が大きく発達していきました。
日本初の電気めっきは、1855年 薩摩藩の島津斉彬がダニエル電池を使って甲冑品に施した金・銀めっきと言われております。
1892年には宮川由多加により、日本初のめっき工場が作られたと言われております。
近年になるにつれどんどん技術は発展し、めっきが付与できる機能が多様化し、めっきを施す対象も広がりました。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、めっきとは何か? いつからされているのか?
などに焦点を置き、コラムを書いてみました。
大昔からされているめっきですが、配合・比率も考えられており、その積み重ねで今日もめっき技術がされているかと思うと、すごく重みを感じますね。
これからも用途により色々なめっき方法が増えていくかもしれない…と感じております!
表面処理にもたくさんの方法がありましたね。
この製品にはどんな表面処理が向いているのか、この素材にはどんなめっきができるのか。
私もまだまだ分からないことがたくさんありますが、弊社にはめっきのプロがおりますので、どうぞお気軽にご連絡ください(*^_^*)
執筆者プロフィール
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ウエディング・旅行業界で勤務後、株式会社三和鍍金に入社。
事務員として伝票発行や納期管理をする傍ら、サービス業で培った高いホスピタリティ(おもてなし精神)を活かし、三和鍍金に関わる全ての方々が気持ち良く過ごせるようなお客様対応を心がけている。
メッキについて初心者であることを活かし、「メッキ初心者の視点」で書いたコラムはいずれも高い人気を博している。
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