columnコラム[めっきニュース]

2020.11.05【気になる解説】亜鉛メッキ上のカチオン塗装

2020/11/3 追記

事業統括部の武藤です。

今回はよくお問い合わせがくる亜鉛メッキ上のカチオン塗装についてまとめました。

本コラムをお読みいただくことで、亜鉛メッキ上のカチオン塗装が出来るのか、

はたまた、素材と塗膜の密着性はどうかという点がお分かりいただけると思います。

亜鉛メッキ上にカチオン塗装する目的はいくつかあります。

亜鉛メッキの特徴

錆び

そもそも亜鉛メッキは「犠牲防食作用」をもっており

素材がさび付く前にその上層にある亜鉛メッキの皮膜自体が錆びてくれます。

よって素材が錆びづらくなるという特性があります。

(「犠牲防食作用」につきましては、下記リンク先のコラム記事「溶融亜鉛メッキ どぶ付けメッキ」をご参照ください。)

コラム:溶融亜鉛メッキ どぶ付けメッキ

一方で一般的なめっき、塗装は皮膜自体が外部から破壊され素材に到達することで錆が発生します。

亜鉛メッキは「錆びないめっきの王様」とまで言われています。

では、何故そんな亜鉛メッキの上から更にカチオン塗装をする必要があるのでしょうか?

亜鉛メッキ上に何故カチオン塗装するのか?

亜鉛メッキ上にカチオン塗装をする目的はいくつかあると思いますがよくあるお問い合わせでは大きく分けて3つあります。

①更に耐食性を出すため

そもそも亜鉛メッキで耐食性を高めているのにまだ不十分なケースです。

例えば腐食環境が酷い場所で使用するケースです。一年中雨ざらしになっているところ、沿岸部で海風等がよくあたる場所等です。

亜鉛メッキの皮膜上にカチオン塗装を上塗りすることで耐食性を更に高めることが出来るのです。

②外観に色を付けたいため

亜鉛メッキクロメート後の色合いにおいてはシミ・ムラ等が目立つ為、色ムラをなくしたり光沢を出したりと色合いを整えるケースです。

そもそも亜鉛メッキクロメートは亜鉛メッキ後にクロメート被膜をつけるのが一般的です。

黄色、黒、緑等も対応出来ますが基本的に亜鉛メッキは機能めっきである為、色ムラ、シミ等は発生しやすいと言えます。

染織品をイメージしていただけるとわかりやすいかと思いますが、クロメート液に浸漬するので模様等は唯一無二の物になります。

よってばらつきが出やすくなってしまうのです。

染織物

③亜鉛ニッケルメッキや合金めっきより亜鉛メッキ+カチオン塗装の方がコストが安い

亜鉛メッキ3価クロメートを施しても耐食性が不十分な場合、

6価クロメートは環境規制の点から使えないことが多く、亜鉛ニッケルメッキや合金めっきを代替として使うケースがあります。

しかしながら、亜鉛ニッケル等は通常亜鉛メッキの3倍ほどの単価設定になっており、コスト面では優位性に欠けます。

そこで、亜鉛めっき又は亜鉛鋼板+カチオン電着塗装の方が

トータルのコスト面で優位性があるので採用されるケースです。

亜鉛メッキ上にカチオン塗装をする際、密着性は大丈夫か

悩む人

電気亜鉛メッキを施しているものは基本的にはクロメート処理までしているものがほとんどです。

しかしながら、亜鉛メッキ鋼板の場合そうとも言えません。

亜鉛メッキ鋼板は番手等もありクロメート処理有、無、

更には亜鉛メッキ上にコーティングがされており有機物が付着しているものもあります。

通常は問題ないのですがこのコーティング(有機物)が付着していると密着不良に繋がってしまいます。

その場合、有機物を取り除く必要がありますが、

酸洗い等で取り除くと亜鉛メッキ皮膜まで剥がれてしまいます。

弊社は、カチオン塗装をする際にアルカリ脱脂槽、リン酸亜鉛皮膜処理槽(化成処理)等に入りますが、

このリン酸亜鉛皮膜処理槽でもクロメート被膜、亜鉛メッキの皮膜も多少剥がれてしまう恐れがあります。

亜鉛メッキの皮膜を残したままカチオン塗装出来るのか?

それでは、亜鉛メッキの皮膜は残せないのかということですが、

弊社の切り替え装置を使えばリン酸亜鉛処理を飛ばして処理を行う事が出来る為、

コーティング(有機物)が残っているもの以外は「可能」です。

しかしながら、リン酸亜鉛皮膜を入れないと密着性は多少ながら落ちます。

ただし、碁盤目試験上においては問題ありません。

コーティング(有機物)が残っている物に関しても

弊社では有機物だけを除去出来ますが工数が掛かってしまう為、コスト面から考えても出来れば材料を変えることをお勧めします。

亜鉛メッキ鋼板で製作したものに表面処理工程がある場合はコーティング(有機物)がついているものは使わず、

ないものはコーティングされた亜鉛鋼板を使うなどの選定をすることが必要になってきます。

以上のことから弊社保有の切り替え技術を用いれば「亜鉛メッキ上のカチオン塗装は可能」となりますが

亜鉛メッキの皮膜上に有機物が残っているものは注意が必要です。

※材質や形状、使用環境下によって違いがありますので都度ご相談下さい。

まとめると以下の通りです。

亜鉛メッキ上のカチオン塗装
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