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2023.10.03

【鋼種とは】鉄との違いや種類ごとの特徴・用途を解説

暮らしに身近な金属である「鉄」は、成分や用途によってさまざまな名前を持っています。

「鉄」とひとくくりに呼ぶことの多い素材ですが、種類によって柔らかさや硬さ、成分に違いがあるのです。

以下ではそんな鉄の種類(鋼種)について、分類や種類別の特徴・用途を解説します。

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鉄の「鋼種(鋼材)」とは

鉄の「鋼種」とは、鉄に炭素をプラスし加工したものです。

以下では鉄と鋼の違い、鋼種の分類や表し方について解説します。

鉄と鋼の違い

鉄は炭素の量によって、純鉄・鋼鉄・鋳鉄と名称が変わります。

原材料である鉄鉱石から取り出された混じりけのない鉄は、「純鉄」と呼ばれています。

純鉄は電気を通すことで磁気を持つ磁性材料であり、現在の通信技術に欠かせない素材です。

一方で純鉄は酸化しやすく柔らかい特徴があることから、建築材や工具などへの利用には向いていません。

そこで純鉄に炭素を加えて、強度やしなやかさを調整して作られたのが「鋼」です。

鉄はベースとなる素材で、鋼は鉄に炭素を加えて作られた合金の一種となります。

私たちが一般的に「鉄」と認識しているものは純粋な鉄に混ぜ物をした「鋼」というものなのです。

鉄と鋼鉄の違いについては以下の記事で詳しく解説しています。

「鉄」と「鋼鉄」

鋼種(鋼材)の分類

鉄の鋼種には、炭素鋼と合金鋼の2種類があります。

炭素鋼と合金鋼は、含んでいる炭素の量や用途によって、さらに細かく分類されます。

鋼材炭素鋼低炭素鋼
中炭素鋼
高炭素鋼
合金鋼ステンレス鋼
合金工具鋼鋼材
高速度工具鋼鋼材
超硬合金
ハイテン鋼

また上記の鋼はJIS(日本産業規格)によって細かな名称がついています。

  • ●SPC材(冷間圧延鋼板)
  • ●SS材(一般構造用圧延鋼材)
  • ●SC材(機械構造用炭素鋼鋼材)
  • ●SK材(炭素工具鋼鋼材)

このほか鋼材は形状や厚さによっても分類されることもあります。

形状による分類の例

  • ●鋼板:ロールで引き延ばされた板状の鋼材。自動車や船の製造、建築などに使用される。
  • ●鋼管:筒状に加工された鋼材。ガス管や水道管に使用される。
  • ●棒鋼:棒状の鋼材。円や四角などの形状がある。手すりやボルト・ナットなど、太さによってさまざまな用途がある。

以下の記事ではJISと表面処理について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

【そうだったのか!】JISと表面処理の関係性

鋼種(鋼材)の表し方

鋼材を含む金属材料は、性質や用途を見分けるため「金属記号」が付けられます。

金属記号はアルファベットと数字で構成されており、材質や形状などを表しています。

S45Cの場合

S=スチール(鋼)

45=0.45%

C=カーボン(炭素)

「炭素を0.45%含んだ鋼材」という意味。

読み方は「エス ヨンゴー シー」。

鋼種の種類と特徴・用途を解説

鋼種(鋼材)は含んでいる成分の種類や量によってさまざまに分類されます。

以下では炭素鋼と合金鋼の一部をピックアップして、特徴や用途を解説します。

S45C

S45Cは炭素を0.42~0.48%含んだ中炭素鋼です。炭素のほかにはマンガン、リン、ケイ素、硫黄が含まれています。

使い勝手が良いため広く流通しており、鋼材の中では比較的安価です。

S45Cの後ろにがついているものは、Heat Treatment=熱処理済みの鋼材であることを示しています。

S45Cは加熱により硬度の調整が可能で、切削加工の後、焼き入れや焼きならしなどの処理を行うことが一般的です。

サビや摩耗への耐久性を上げるため、表面にはめっき処理や黒染め加工を施します。

用途はナット、シャフトなどの部品からトンカチやドリルビットといった工具など幅広くなっています。

以下の記事もあわせてご覧ください。

【言われてみれば】鋼材の黒皮ってなに?

S35C

S35Cは炭素を0.32~0.38%含んだ中炭素鋼です。S45Cに比べて炭素の量は少ないですが、リンやケイ素は同程度含まれています。

炭素の量が少ない分、S45Cよりも焼き入れ性が低くなっています。

中心まで焼き入れを施すことが難しいため、表面のみ硬化させたい場合やサイズが小さい製品に用いることが多い鋼材です。

用途はボルトやナットなどの小物が中心となっています。

S25C

S25Cは炭素を0.22~0.28%含む低炭素鋼です。

S45CやS35Cに比べて、炭素やマンガンの量が少なくなっています。

硬さに影響を与える炭素量が少なく、焼き入れを左右するマンガンの量もわずかなため、S25Cは鋼材の中でも柔らかい性質を持っています。

しかし熱処理をせずに使用する低炭素鋼の中では、S25Cは硬さを持つ鋼材であるため、それほど強度を必要としないネジやボルト、機械部品などに使用されます。

SCM435

SCM435は炭素0.33~0.38%、クロム0.90~1.20%、モリブデン0.15~0.30%を含んだクロムモリブデン鋼です。

クロムモリブデン鋼とは合金鋼のひとつで、炭素鋼にクロムとモリブデンを加えて製造したものです。

SCMの後ろに続く4は主要合金元素量を示したコード、35は炭素の含有量が0.35%であることを表しています。

サビに強いクロムを含んでいるため、炭素鋼に比べて酸化しにくい性質があります。

またクロムとモリブデンの作用により、焼き入れを施すことで強度や靭性が増します。

500度の熱や高い圧力がかかる環境にも耐えられるため、エンジンや飛行機の脚部品に利用される鋼材です。

SS400

SS400は一般構造用圧延鋼材のひとつです。SSは「Steel Structure(鉄骨構造)」の頭文字、400は引張強さを表しています。

SS400を含むSS材は炭素鋼の一種ではありますが、SS540以外は炭素の含有量について規定されていません。

ただしリンと硫黄の含有量は定められており、SS400の場合は2つとも0.050%以下となっています。

JISによって炭素やマンガンの量が規定されていないため、同じSS400の名前の鋼材でも、強度には差があります。そのため加工の調整が難しい鋼材といえるでしょう。

また炭素量が0.3%に満たないものが多いため、熱処理によって硬度を上げる使い方には適していません。

SC材と同様にサビやすい性質があるため、めっきを施して使用することもあります。

安価で加工性が高いことから用途は幅広く、自動車、船、ビルの建築などに利用されます。

【まとめ】鉄にはそれぞれの役割がある

鉄の鋼種まとめ

  • ●鉄の鋼種(鋼材)は炭素鋼と合金鋼の2つに大別される
  • ●成分や形状によってさらに細かな分類がある
  • ●炭素やほかの添加物の含有量によってさまざまな性質を持つ

鉄の鋼種は強度や加工性に優れており、自動車や電車、飛行機などの移動手段からビルや工場などの建造物に利用されます。

硬度としなやかさを併せ持っているため、地震や車両の揺れなどに対応でき、暮らしを支える重要な素材です。

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