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2022/03/31

【目に見えない小さな穴】ピンホールとは?

  • 公開日:
  • 更新日:

皆様、こんにちは!
群馬県高崎市にございます(株)三和鍍金 事務の根岸と申します。

もうすっかり春ですね♩も咲いてきましたし、ぽかぽか陽気で過ごしやすい日も増えてきましたね(^^)

さて本日は!<ピンホール>について説明していこうと思います。
ピンホールは、めっき後のトラブルにつながりやすい原因の1つとして言われています。

初めて聞いた方もそうでない方も、本コラムを読んで頂けたら嬉しいです。
それでは、いってみましょう!!

◇ピンホールって何?


ピンホールとは、めっき皮膜にできる小さな穴のことを指します。
この小さな穴、実は目視で確認することはできません…。

では、どのようにしてピンホールはできてしまうのでしょうか?

ピンホールが出来てしまう要因は様々あります。
要因の1つに、製品にめっきする際の前処理(脱脂処理や酸処理)不良が原因で製品表面に水素が発生してしまうパターンがあります。
この水素水素ガスとなり、めっき表面に溜まります。
水素ガスが溜まったところを避けながら、めっき処理は進んでいきます。
すると、どうでしょう。水素ガスが溜まっていた部分にはめっきが付きません。
ということはその部分だけ素地が剥き出しになっている状態なのです。
また、元々の素地の状態や素地に残っている物質などが原因できるパターンもあります。

女性の方にも分かりやすく説明すると!(私が似ているなと感じただけなのですが…(笑))
爪にマニキュアを塗ります。
乾ききっていない時に爪楊枝などで突つくと、爪の表面が見えてしまいますよね。
そのまま放置しておくと、いずれその部分からマニキュアがペリペリ剥がれてきてしまいます。
その現象に似ているな~と感じました!

ピンホールと似た現象で、ピットというものもあります。
ピットができる原因も水素ガスなのですが、ピンホールとピットには大きな違いがあります。
それは…

ピンホール:目視できない小さな穴。細い針で突いたようなイメージ。穴が素地まで達している。
ピット:目視可能な穴。表面がへこんでいるように見える。穴は素地まで達していない。

他にも使用する溶液によってピンホールができやすい・できにくい等もあるそうです。
例えば…
★❶というめっき溶液は緻密性が良いので製品へのめっきの密着度が良い(ピンホールが出来にくい)
★❷というめっき溶液は緻密性が★❶より劣るが光沢性がとても良い(★❶よりピンホールができる確率が上がる)等、溶液により特徴があったりもします。

◇ピンホールがあると何が悪いの?


では、このピンホール
目視も出来ない小さな穴、めっきをする上で何か関係あるの?生じてしまうと何がダメなの?と思いますよね。

穴が開くことにより素地が剥き出しと説明しましたが、このめっきが施されていない微細な穴から水や空気が入り込み素地と触れてしまうと素地からの腐食(サビ)が始まってしまいます。

めっきの目的は色々ありますが、耐食性(サビないようにして製品のもちを良くする)を上げることが目的の場合もあります。
この場合ピンホール部分から素地の腐食が始まってしまうと、せっかくめっきを施した意味がなくなってしまいます。
耐食性が落ちてしまうということは、製品の故障にも繋がりやすいと言えます。

他にも、二層にめっきをする場合、下層のめっきにピンホールが生じてしまうと導電性や熱伝導性などの低下につながることも考えられます。

話は少しずれてしまうのですが、、、
ピンホールと似たような現象でクラックというものがあります。
クラックとは、めっき皮膜の表面に生じる“無方向の割れ”をいいます。
耐摩耗性に優れている硬質クロムメッキは、皮膜が硬いこと・潤滑性があることの他、クラックや孔があることが条件とされています。
クラックは腐食の原因ともいわれているので、なぜクラック(割れ)がないといけないの(・・?と思ったのですが、これにはきちんと意味がありました。
耐摩耗性には硬質クロムメッキ!と言われるくらいですので、要は摩耗に強くなければいけません
砂漠のようなカラッカラな状態で摩耗されるよりも、潤滑油がクラックにしみ込んだ状態で摩耗される方が製品保持に好都合な為、クラックがあった方が良いとされています。

◇ピンホールができないようにするには?


腐食を促してしまうピンホール。どうにか対策をとる方法はないのでしょうか?
実は完全に除去することは難しいとされています。
ですが、十分な前処理をしない状態でピンホールが100ヶできるところを50ヶにする等、量を減らすことはできます。
例えば、<メッキ液を撹拌をする> <めっき浴の表面張力を下げる>等が言われております。
他にも、ピンホールは薄いめっきでは当然多く存在する為、十分な膜厚を確保すること(一般的に、平たい素材でピンホールができなくなる膜厚は【13μm】と言われております)や、多層化する(銅を下地メッキにする、種類の異なるニッケルメッキを二層にすり)などの工夫をし、対策することが多いです。
後処理として防錆処理やクロメート処理をする等の方法もございます。

◇まとめ


いかがでしたでしょうか?
ピンホールってすごく小さな存在ですが、長い目で考えていくと大きな存在にもなりますね!
また、前処理の大切さも改めて知ることが出来ました。
ピンホールとなる原因は様々と言われておりますが、製品の目的を考えながら最適な処理をしていけたら良いなと感じました。

製品をめっきするにあたり、分からないことや不安なこと気になることなどございましたら、お気軽にご連絡下さい!
めっきのプロがお客様の希望に沿った内容を提案させて頂きます(^-^)

執筆者プロフィール

根岸瞳
根岸瞳
ウエディング・旅行業界で勤務後、株式会社三和鍍金に入社。
事務員として伝票発行や納期管理をする傍ら、サービス業で培った高いホスピタリティ(おもてなし精神)を活かし、三和鍍金に関わる全ての方々が気持ち良く過ごせるようなお客様対応を心がけている。
メッキについて初心者であることを活かし、「メッキ初心者の視点」で書いたコラムはいずれも高い人気を博している。
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