【連載】ダブルニッケルとは vol.2~電位差とガルバニック腐食~
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※2023年9月19日に加筆修正致しました。
群馬県高崎市にある(株)三和鍍金、事業統括部の柳沢です。
今回は前回(vol.1はこちら)の続きをお話ししていこうと思います。
弊社ではダブルニッケルめっきに対応しておりますのでお気軽にお問い合わせください
ダブルニッケルが「ダブル」である必要性・意味は「電位差による耐食性の向上」にあります。
では、「電位差」とは一体どういうものでしょうか。
「電位差」があると、なぜ耐食性が向上するのでしょうか
電位差とは
電位差とは、その名の通り「ある電位とある電位の差」のことです。
電位とは「電気的な高さ」を示します。
「電流は高い方から低い方へ流れる水のようなものだ」と小学校や中学校で習った方も多いのではないでしょうか。
その高い低いという基準が「電位」になります。
水のたとえならば「水位」と考えていただくとわかりやすいかと思います。
この電位に差がある(電位差がある、水位に落差がある)とそこには電気が流れる(水が流れる)余地があるということになります。
このように電位差のある金属同士を接触させ、そこに水分が加わることで実際に電子のやりとりが行われ、電気が流れます(この流れを電流という)。
これによって「ガルバニック腐食(異種金属接触腐食)」と呼ばれる腐食現象が起こります。
この現象がダブルニッケルの根幹にかかわってきているのです。
ガルバニック腐食とダブルニッケルの意味
「ガルバニック腐食」が起こると電位の低い金属が優先的に腐食されます。
一般的なダブルニッケルは半光沢ニッケルと光沢ニッケルの2層から成っていますが、このうち外層である光沢ニッケルの方が低電位になります(硫黄が含まれているため)。
※なぜ硫黄が含まれていると電位が下がるのかは、また別の記事にてまとめたいと思います。
そのため、選択的に光沢ニッケルが腐食されることになりますが、それに伴って半光沢ニッケルの素材方向への腐食遅延の効果も発揮されるのです。
これがダブルニッケル方式を採用する意味となります。
同時にダブルニッケルがダブル(多層)である所以とも言えるでしょう。
今回のコラムの要点をまとめると、以下のようになります。
執筆者プロフィール
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新卒として入社後、現場での業務経験を活かし現在は営業として活動しながらコラムを執筆。塾講師・家庭教師の経歴から、「誰よりもわかりやすい解説」を志している。
また、多数の人気コラムを生み出すだけでなく、YouTubeの元編集者・現プレスリリース執筆者。コラム・YouTube・広告等のプロモーションを手掛けた本HPは流入ユーザー数前年比1,150%アップという偉業を達成した。
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