【今あなたに知ってほしい!】アルミニウムの電解研磨
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皆さん、こんにちは。
群馬県高崎市で多種表面処理に対応しております株式会社三和鍍金の古島です。
電解研磨でよく知られているのはステンレス素材に対しての電解研磨で、その用途は溶接焼けの除去やより耐食性を高めることなどです。
しかし、あまり知られてはいませんがアルミニウムの電解研磨もあるのをご存知でしょうか。
今回はそんな知られざるアルミニウムの電解研磨の魅力について詳しくご紹介していきます。
電解研磨とは何ですか?という方にはこちらに詳しく掲載してありますのでまず初めにご覧ください。
目次
メリット
まず初めに、アルミの電解研磨におけるメリットを見ていきましょう!
1.光沢感
アルミの電解研磨のメリット一つ目は製品の表面を均一にすることができ、処理面が非常に滑らかになることです。
そのことから、光の反射によって表面が見るからにピカピカしており、非常に光沢があります。
ちなみに、電解研磨で表面が均一化される理由は下記の図のようになります。
電解研磨は電気を使用しているため、強電部と弱電部が出てきます。
上の図を見ていただくと、
出っ張ている強電部の部分は電気が強く当たり、研磨量が多くなります。
へこんでいる弱電部の部分は電気が弱く当たり、研磨量が少なくなります。
このことから数ミクロンの世界ですが、表面が平らになり、凸凹が無くなります。
よく比較される化学薬品に浸漬させて研磨をする化学研磨では、素地の凸凹した状態で化学研磨をすると表面を平坦化することが難しく、その状態がそのまま処理後の表面に出てしまいます。
しかし、電解研磨では化学研磨よりも高い反射率を得られますのでアルミ本来の美しい光沢を引き出すことができます。
2.圧倒的な軽さ
実はアルミニウムは、ステンレスと比べて半分以下の重さしかありません。
そのため、軽量化が求められる飛行機や自転車などに使用されています。
ジュースなどを飲んだ後のアルミ缶を持ってみるとすごく軽いですよね。
このように、重さを量らなくても日常生活で実感できるほどアルミニウムは軽いのです。
そして、電解研磨ではその軽さを保持したままさらに耐食性を得ることができます。
デメリット
メリットがあればどんなものにもデメリットがつきものです。
次はデメリットを見ていきましょう!
1.パイプ形状の処理は難しい
ステンレスの電解研磨と同様に電気を使うため、パイプ等の形状内部が電解研磨処理できないことがデメリットとなります。
それはパイプのような形状の場合、内部が弱電部となり電気が届かないため電解研磨ができないということです。
しかし、弊社協力工場様ではパイプの内部に電気が届くように極板を製作することによって、普通ならできないはずのところまで電解研磨できてしまうのです!
ですので、パイプ等の内部に電解研磨したい際には弊社に一度ご相談いただけますと幸いです。
2.ツヤ不足
先程、メリットのところで光沢感があると述べましたが、お客様の中には「電解研磨の光沢感では足りない」や「もっとピカピカにしたい」等、鏡面仕上げに近い輝きを求められる方もいらっしゃいます。
その際に、弊社でご案内させていただくのが【複合電解研磨】となります。
複合電解研磨では、電気と化学薬品で研磨する電解研磨と研磨剤による物理的研磨を同時に行うことによって超平滑面が得られます。
そのため、バフ研磨を行ってから電解研磨をした際に起こる製品の表面が白く曇るような現象が起きにくいです。
上記の白く曇る現象については下記コラムをご覧ください。
内部研磨の処理可能サイズ
パイプ形状の内部まで電解研磨したい場合は、20φ程度が下限となります。
また、パイプ形状以外にも内部を電解研磨したい製品がございましたら、お気軽にご相談ください。
材質
アルミニウムの中でも弊社協力工場様で、扱っている材質は以下の通りです。
・1000番台(A1050、A1085等の純アルミ系)
・5000番台(A5052等のAl-Mg系)
・6000番台(A6031等のAl-Mg-Si系)
それ以外の番台や展伸材等に関しましても処理できる可能性がございます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はアルミの電解研磨についてご紹介させていただきました。
あまり聞きなじみのない処理ですが、その性能は目を見張るものがあります。
お客様に寄り添ったご対応をさせていただいておりますので、気になった方は是非一度お問い合わせください。
では、この辺で終わりとさせていただきます。
執筆者プロフィール
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ソフトウェア開発会社にプログラマーとして在籍後、株式会社三和鍍金に入社。現場で経験を積み、現在は営業職に従事している。
表面処理については継続的に勉強中であり、0から学びたい方や調べてみたけどよくわからない方に寄り添った内容を心がけている。
ユーザーの要望や需要に沿ったソフトウェアの開発経験を活かし、メッキライブラリにおいてもユーザーニーズを満たす記事を目指す。
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