027-346-3636受付:8:00~17:00(平日)

columnメッキライブラリ

2023.11.25

リチウムイオン電池に利用されている「コバルト」を剥離して再利用する方法を解説

皆様、こんにちは。

群馬県高崎市で表面処理を行っております。株式会社三和鍍金です。

今回は、皆様の身の回りで活躍している、

「リチウムイオン電池に利用されているコバルトの再利用」について詳しく紹介していきます。

現代の社会ではスマホが普及して、私たちの生活には欠かせない存在になりました。

しかし、そんなスマホにも貴重な資源であるレアメタルが多く利用されています。

その中でも今回は「コバルト」に注目してみましょう。

皆様も手にしているスマホの中で、リチウムイオン電池の素材として活躍しているコバルトですが、実際にはどのような原理なのか知らない方も多いのではないでしょうか。

環境保全と資源保護の観点から、コバルトの重要性と未来の展望について見ていきましょう。

三和鍍金では金属の表面処理だけでなく剥離事業も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

リチウムイオン電池の基礎とコバルトについて

リチウムイオン電池に利用されているコバルトを再利用する方法を解説する前に、リチウムイオン電池の基本原理とコバルトについて、簡単に紹介していきます。

リチウムイオン電池の基本原理

リチウムイオン電池は、その名の通りリチウムイオンの動きによって機能する電池です。

電池の内部では、リチウムイオンが電解液を介して正極と負極の間を行き来することにより、充放電のプロセスが行われます。

この電池の核心部分である正極材料には、一般的にコバルト、ニッケル、マンガンなどの金属酸化物や、リン酸鉄(LiFePO4)のような材料が使用されます

これらの材料は、リチウムイオンの受け入れと放出を効果的に行う役割を担っている重要な存在です。

一方、負極材料には主に炭素系の材料や合金系の材料が使用されています。

これらはリチウムイオンを電池の充電時に炭素結晶層間に挿入し、放電時にリリースする役割を果たします。

充電のプロセスでは、外部から供給された電流が正極からリチウムイオンを電解液中に移動させ、それが負極の炭素結晶層間に挿入されるという流れです。

放電時には、このプロセスが逆転し、負極の炭素結晶層間からリリースされたリチウムイオンが正極に戻り、その過程で外部回路に電流を供給します。

この複雑な化学的プロセスが、リチウムイオン電池がエネルギーを蓄えたり放出したりする基本原理です。

コバルトの役割とその価値

コバルトはリチウムイオン電池の正極材料の一部として用いられ、電池の安定性やエネルギー密度の向上に大きく貢献しています。

特に高性能を要求される用途、例えば電気自動車などでは、コバルトの比率が高いことが望ましいです。

しかし、コバルトの産出は限られた地域に偏っており、その供給は市場価格の変動や政治的な要因に左右されやすいという問題があります。

コバルト需要の高まりと資源問題

近年、電気自動車の普及や電子機器の需要増加に伴い、コバルトへの需要は急速に高まってきました。

この増加する需要を背景に、コバルトの採掘に関連する環境破壊や人権問題が注目されています。

また、将来的な供給不足の懸念もあり、コバルト資源の持続可能な利用が直近の課題です。

コバルトの剥離技術と環境保護

リチウムイオン電池の基本原理とコバルトの役割が少し理解できたところでしょう。

ここでは、コバルトの剥離について解説していきます。

現在の剥離技術の概要

従来のリチウムイオン電池の処理では、焼却により有害なガスが発生するリスクがありました。

また、正極に使われるコバルトは量が少なく、純粋なコバルトとして回収するためには高コストの処理が必要でした。

しかし、新たに確立された方法では、廃棄されたリチウムイオン電池から正極材料を分離し、ニッケル・コバルト酸化物を含むこの材料を基材のアルミニウムと共に溶融還元します。

この剥離技術によって得られるニッケル・コバルト合金は、水素吸蔵合金の原材料として直接利用可能です。

剥離技術の課題と解決策

しかし、先ほどの剥離技術にはまだいくつかの課題が残っていました。

例えば、剥離技術のコストが高いことや、処理過程で発生する副産物の環境への影響が懸念されています。

これらの課題に対処するため、より効率的で環境に優しい剥離方法の研究が進められており、微生物を利用したバイオレメディエーション技術などが注目されています。

持続可能な資源利用への道

コバルトの剥離と再利用技術の発展は、持続可能な資源利用に向けた重要な1歩です。

これにより、コバルトの採掘による環境破壊や人権問題を緩和すると同時に、資源の有効活用を図ることができると期待されています。

さらに、資源の循環利用は、エネルギー転換と環境保護の分野で新たな物の見方を生み出す可能性を秘めています。

再利用されたコバルトの未来

ここでは、剥離技術によって回収された再利用コバルトの未来について詳しく紹介していきます。

再利用コバルトの市場とその影響

再利用されたコバルトが市場に与える影響は計り知れません。

この新しい市場は、特に環境に配慮した製品やサービスを提供する企業にとって魅力的です。

再利用コバルトの導入により、リチウムイオン電池の製造コストは顕著に低減され、これは直接的に電気自動車や携帯電話などの消費者向け製品の価格低下につながります。

さらに、再利用コバルトの市場拡大は、新たな雇用機会の創出や、資源循環型経済への移行を加速させる可能性が高いです。

画期的な製品と革新的な応用

再利用コバルトの最も顕著な応用は、新型リチウムイオン電池の開発です。

これらの電池は、従来の新品コバルトを使用したものと比較して、

同等かそれ以上の性能を持ちながらも、生産コストと環境への影響を大幅に削減します。

この技術革新は、エネルギー貯蔵システムや再生可能エネルギー技術の分野にも波及し、

例えば太陽光発電や風力発電におけるエネルギーの効率的な貯蔵に貢献するなど、

持続可能なエネルギーソリューションの実現に一役買っています。

社会と環境へのポジティブな影響

再利用コバルトの普及は、単に経済的な利益をもたらすだけでなく、社会や環境に対しても大きなポジティブな影響を与え続けるでしょう。

限られた資源の有効活用は、持続可能な社会構築のための重要なステップです。

この取り組みは、資源の持続可能な利用と環境保護を促進し、新たな経済的機会を生み出すことで、地球全体の持続可能性向上に大きく貢献しています。

さらに、資源循環型経済への移行は、将来の世代にとってより良い環境を残すための重要な1歩です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は「リチウムイオン電池に利用されているコバルト」について解説してきました。

リチウムイオン電池に利用されているコバルトのリサイクルは、

持続可能な資源利用の大きな課題の1つです。

スマホや電気自動車などの普及で需要が増え続ける中

コバルトを剥離して再利用するということは、

今後の消費社会を支える基盤として期待されています。

技術的な進歩や社会的な取り組みを通じて、

持続可能な資源利用と環境の保護を目指していきましょう。

弊社、株式会社三和鍍金では50種類を超える表面処理の取り扱いだけでなく、

環境保護に繋がる剥離事業にも事業内容を拡大しております。

「表面処理」「剥離」「リサイクル」に関することでしたら是非一度お気軽にご連絡ください。

問い合わせフォーム

PROFILE

三和鍍金 スタッフ
三和鍍金 スタッフ
金属表面処理の様々な疑問・基礎知識や、創業から70年以上培ってきたノウハウについて「誰にでもわかりやすく」をモットーに執筆しています。
三和鍍金Youtubeチャンネル
表面処理についてのお問い合わせ