銅の鋼種とは?代表的な銅の鋼種の特性と使用する際の注意点を紹介します!
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こんにちは。
群馬県高崎市にて各種表面処理をおこなっております、(株)三和鍍金と申します。
今回は、皆さんにとっても身近な金属である銅について詳しく解説します。
タイトルにございます「銅の鋼種」についてどのくらいご存知でしょうか。
• 金具
• ジュエリー
• 電線
その他の身近な場所にも銅が使用されていることを知っている方は数多くいらっしゃいます。
しかし、実際にはどの種類の銅が使われているのか、
詳しいところまで知らないという方がほとんどです。
そんな身近な場所の疑問を解決するために、今回は代表的な銅の鋼種を3つ紹介します。
それだけでなく、銅を使用する場合の注意点も紹介するので、実際に銅を使用している物を扱う際の、参考にしてもらえると幸いです。
三和鍍金では銅や銅合金を含むさまざまな材料に対して、
50種を超える表面処理が可能です。
お見積りのご相談など、お問い合わせはお気軽にどうぞ!
目次
銅について
銅は、非鉄金属の1つとして知られ、銀の次に高い電気伝導率や熱伝導性を持っています。
また、抗菌性や耐食性も高いだけでなく、豊かな色彩美が特徴的です。
これらの多くの特性を活かして、私たちの身の回りの電線や配管、装飾品などの
さまざまな用途で利用されています。
そんな身近な非鉄金属の銅にはいくつかの鋼種があり、それぞれ異なる特性や用途があります。
今回は、その中でも代表的な3つの鋼種について紹介していきましょう。
銅の種類の特性と応用
銅の鋼種は大きく分けて「純銅」と「銅合金」に分けられます。
さらに深掘りすると、純銅の中に、
• タフピッチ銅
• 無酸素銅
• 脱酸銅
という風に分けられたり、
銅合金だと、
• 黄銅(真鍮)
• 白銅
• 青銅
• 高銅合金
• 銅ニッケル合金
などに種類分けすることが可能です。
これらの多くの銅の種類をJIS規格で、
「Copper(銅)」の頭文字の「C」から始まる記号で表記しています。
今回は、
• タフピッチ銅(C1100)
• 黄銅(C2720)
• 快削黄銅 (C3710)
上記の3種類をピックアップして詳しく解説します。
タフピッチ銅:C1100
・特性
C1100は純度99.9%以上の純銅として特に注目される材料です。
高い純度により、高い電気伝導率を持つことが特徴となっており、同様に熱伝導性も優れています。
また、この鋼種は酸化や腐食に対しても高い耐性を持っているので、銅の中でも最も扱いやすくポピュラーな種類です。
・応用
電線やブスバー、機械部品などの製造においては、C1100の高い導電性が重宝されることが多く、また放熱材としてもその性能を発揮します。
その他に、美しい光沢と加工性から装飾品や工芸品の製造などにも広く使用されています。
特に、電子部品のコネクタや端子にはこの純銅が好まれることが多いです。
黄銅(真鍮):C2720
・特性
C2720は、銅と亜鉛の合金で形成されており、銅含有量が約62〜64%で構成される黄銅として広く知られています。
こちらの銅は、特に耐食性に優れている点が大きな魅力です。
さらに、機械特性も良く、絞り加工などの成形やメッキ加工がしやすいという特徴も持っています。
・応用
その性質を活かして、C2720は金属雑貨の製造に使用されることが多いです。
他には、配線器具や機械部品に使われることもあり、耐食性と機械特性を兼ね備えた材料としての役割を果たしています。
似た記号でC2700という種類がありますが、こちらとの違いは化学成分の含有量と形状の違いです。
C2700は主に線状や管状の物であり、熱交換器やアンテナロッドなどに用いられます。
快削黄銅(真鍮):C3710
・特性
C3710は黄銅の一種であり、銅の割合が56〜63%、鉛の割合が1.8〜4.5%、そして亜鉛を含む銅合金です。
「快削」という名前のとおり、銅合金の中でも非常に高い被削性を持っています。
その他にも、下記の特性があります。
• めっき性
• プレス加工性
• 溶接性
• シャー切断性
この特性の反面、酸化によって変色しやすいので一般的には表面処理としてめっき加工が前提となることが多いです。
・応用
この鋼種は被削性を活かし、主に歯車やボルト、ナットなどの製造に使われることが多く、その加工性を最大限に活かした部品が多く見られます。
身近な物であれば、時計やカメラなどの精密な部品の材料として活躍しています。
銅の使用時の注意点
銅は非常に優れた特性を持つ金属ですが、
それぞれの鋼種や用途に合わせて適切に扱うことが必須条件です。
以下のように、銅の使用時の注意点を詳しく解説します。
• 適切な鋼種の選択
• 加工方法について
• 保存方法とメンテナンス
適切な鋼種の選択
銅は、さまざまな鋼種を持っており、それぞれが独自の特性を持っている魅力の多い金属です。
これらの特性は、加えられる合金の元素や製造過程によって変化します。
用途や目的によっては、特定の鋼種が必要となることがあるので、正確な選択がとても重要です。
例えば、導電性が特に求められる場合、
純度が高く電気の導電に優れるC1100が最適と言えるでしょう。
一方、機械部品や構造体の製造時には、耐久性や加工性を重視する場合が多く、このようなケースでC2720やC3710のような鋼種が選ばれることが一般的です。
加工方法について
銅はその柔軟性と加工性から多くの製品に使用されています。
しかし、鋼種や成形方法、また最終的な用途によっては、
特定の加工方法を検討する必要が生じます。
例として、熱処理は銅の結晶構造を変化させることができるので、
これにより硬度や強度、延性などの物理的性質を調整することが可能です。
同様に、溶接の接合部の品質や強度を確保するためには、
銅の鋼種や溶接方法、使用する溶接材に注意する必要があります。
保存とメンテナンス
銅は、美しい赤褐色の外観が特徴的ですが、
時間とともに酸化や腐食が進行し、外観が変色することがある金属です。
特に湿度が高い場所や塩分が多い環境では、この変色や腐食は早まる可能性があります。
定期的な清掃や保存状態の確認は、
銅製品の美しさと性能を長期間保持するために欠かせません。
また、特定の鋼種や製品には、
独自のメンテナンス方法や注意点が存在する場合があるので注意が必要です。
これは、銅合金の種類や製品の用途、製造過程に関連するもので、
使用する前には詳しく情報を確認し、適切なケアを施すことが重要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「銅の鋼種」についてお話ししてきました。
一言で「銅」という名称でも、豊富な鋼種とそれぞれの特性を活かして、さまざまな用途で使用されています。
今回、ご紹介した「C1100」「C2720」「C3710」は、
その中でも幅広く使用される鋼種であり、
適切な知識と加工方法により、さらなるポテンシャルを引き出すことが可能です。
銅の持つ美しさや機能性を最大限に活かすために、
その特性や使用時の注意点を理解し、日々の生活や業務に取り入れてみてください。
弊社、株式会社三和鍍金は創業から70年以上も表面処理に携わってきました。
積み上げてきた技術とノウハウを活用して、多くのお客様に満足度の高い提案を届けることができております。
弊社では銅に対してニッケルメッキ、黄銅(真鍮)に対してクロムメッキが可能です。
今回、ご紹介した銅の表面処理に困った際には、お見積もりのご相談など、お気軽にお問い合わせください。
長い経験を元にした高い提案力で、お客様の表面処理に関するお悩みを解決させていただきます。
執筆者プロフィール
- 金属表面処理の様々な疑問・基礎知識や、創業から70年以上培ってきたノウハウについて「誰にでもわかりやすく」をモットーに執筆しています。
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