【簡単に説明!】各種表面処理の特性
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皆様、こんにちは!
(株)三和鍍金 事務の根岸です(^^)
“食欲の秋”なんて言いますが本当にその通りで、私自身も・飼っている犬も、食べ過ぎて太ってしまいました(笑)
“スポーツの秋”という言葉も、頭の片隅に入れていこうと思います。
さて!今回は表面処理の各特性についてです。
お客様からの問い合わせ内容と併せながらご紹介していきたいと思います!
それではいってみましょう!(^^)!
◆お客様からの問い合わせ
まずは、お問合いただく一例をご紹介致します。
[ケース①]
お客様:メッキ加工お願いします!
弊 社:どのようなメッキ希望ですか?
お客様:シルバー色になれば何でもいいです!
弊 社:ではニッケルメッキかクロムメッキでしたら弊社内でやっておりますのでいかがでしょうか?
お客様:お任せします!お願いします!
[ケース②]
お客様:サビに強い表面処理ってどんなのがありますか?
弊 社:〇〇〇や〇〇〇というものがありますが、製品の用途はどのようになりますか?
お客様:とりあえず屋外とは聞いたけど…。コストを安くしたいのでそれに見合うオススメの表面処理お願いします!
[ケース③]
お客様:外観をキレイにしたいのだけど、メッキと電解研磨って何がどう違うのですか?
[ケース④]
お客様:三価クロメートでお願いします!
弊 社:何色ご希望ですか?
お客様:色!?色ってなんだ?(汗) 逆に何色があるんですか?
などなど…。
上記質問はほんの一例にすぎないのですが、実はよく分からずにお願いして下さる事例って結構たくさんあるんです。
しかし、そのようなご依頼でも大丈夫です!!
弊社ではちゃんと1からヒアリングしていきますからねっ♩
材質・用途によって、出来るメッキや出来ないメッキもあります。
もちろんコスト面も重要です。
お客様の要望を聞き取りながら叶えていく方法を一緒に探しますので、表面処理のことで分からないことがあったら、お気軽にご連絡ください。
逆に、私たちも知りたい内容かもしれませんので、“分からないこと”を私たちに教えてもらえると嬉しいです!!!
ということで冒頭長くなってしまいましたが、今回は弊社内でしている処理・お問合せの多い処理をいくつかピックアップし各表面処理の特性をまとめましたのでご覧ください!
こちらの動画も一緒にご覧いただけたら嬉しいです!
◆ニッケルメッキ
【色】シルバー(黄色みがかったような暖色系寄り)
【特徴】
・下地めっきとして銅めっきをする(銅を使用しないことも可能)
※銅めっきをしないことにより膜厚を薄くしたり、めっき後の溶接作業でニッケルより融点の低い銅が膨れないようにするなどの対策ができる
・腐食(サビ)しにくく、耐食性に優れている
・光沢がある(半光沢にもできる)
・融点が高いので耐熱性にも優れている
・事務用品や雑貨用品などの装飾めっきに使用される(クリップやボールペンなど)
・自動車外装部品のクロムメッキ製品の下地メッキとしても使用される
◆クロムメッキ
【色】シルバー(青みがかったような寒色系寄り)
【特徴】
・銅-ニッケルめっきを下地メッキとした最上層にクロムめっきがのる
・耐食性に優れている
・銅-ニッケル-クロムと層が重なっているので皮膜が硬い
※皮膜が安定しているので変色や腐食が起きにくい
・皮膜の安定・耐食性に優れていることより、自動車部品のシャフトや軸受け、産業機器のコンプレッサやバルブ、水圧ラムにも使用される
・装飾めっきとも言われ外観美に長けているのでアクセサリーにも使用される
ニッケルメッキとクロムメッキは、それぞれの写真で見るとシルバー色で変わりないように見えますが、実際に並べてみた下の写真で見てみると少し色合いが違うのが分かるかと思います。
◆硬質クロムメッキ
【色】シルバー
【特徴】
・ハードクロムめっきとも呼ばれる
・電気めっきの中で一番硬度の高いめっき
・クロムめっきと同じ溶液を使用するが下地めっきはせず、素材にそのまま加工をする
・浸漬時間を長くすることにより膜厚を上げることが可能=硬度が上がり高い耐久性を持つようになる
・硬いので耐摩耗性に優れており、機械部品のモーターやシャフト部品に施すことが多い
◆ステンレス電解研磨
【色】シルバー(ステンレス素地の色)
【特徴】
・上記のような“素材に金属皮膜をのせる表面処理方法”ではなく、電気と薬品の力で“製品表面を研磨する表面処理方法”
・素材表面が研磨/平滑化されることにより、外観がピカピカになる
・電気の力で製品を溶かす際、ステンレスに含まれるクロム成分が表層にあがり(リッチクロム層)、光沢が出て耐食性も良くなる=製品の持ちも良くなる
・主に医療部品や食品関係等、衛生面に配慮した部品に使用されている
◆三価クロメート
【色】白(青白いシルバー)/黒/有色(黄色)
【特徴】
・ユニクロめっきと呼ばれることもある
・一般的な三価クロメートは、亜鉛めっき+クロメート処理がされている
※亜鉛めっき:犠牲防食の役割(鉄が腐食するよりも前に亜鉛が腐食する)
クロメート処理:亜鉛の腐食を防ぐ
以上2つの処理がされることにより、長期間サビから守ることができる
・ホームセンターでよく見かけるボルトやナットなどに施されている
・六価クロメートの代替めっき
※六価クロメートのほうが耐食性は良いが、環境規定に引っかかる有害物質が含まれている。代替として考案されたのが三価クロメート。六価クロメートよりも耐食性は劣るが規制には引っかからないので近年はこちらのめっきをすることが多い
・めっきの色の確認がとても重要!!!
※三価クロメート=白、六価クロメート=黄色(虹色)のイメージがなんとなくありますが、
三価クロメートの中でも白・黒・有色(黄色)
六価クロメートの中でも白・黒・有色(黄色)ありますので必ず確認が必要です
※六価クロメートの指示があった場合…
<Rohs規定に引っかかるが大丈夫なのか?>
<三価クロメートが代替めっきとしてあるがそちらでも製品的にはOKなのか?>
以上2点を確認しておくと、以後の見積が出しやすくなります。
◆カチオン電着塗装
【色】黒
【特徴】
・水溶性塗料に電気を流して製品に塗膜させる表面処理方法
・耐食性が良いことで知られており、自動車部品(足回り)に使用されている
・耐候性には劣るため、下地にカチオン+上塗りで塗装をすることもある
・弊社内では黒色カチオンの処理をしているが、白色カチオンをしているところもある
◆まとめ
いかがでしたでしょうか?
一口に[表面処理][めっき][シルバー色][サビに強い]と言っても、用途・目的・素材・条件等により何が一番良いのか変わります。
今回紹介した表面処理は一部に過ぎず、世の中にはもっともっとたくさんの種類のめっき方法が存在します。
図面に表面処理の指示が記載されていることがほとんどで、特徴を顧みることって中々ないと思いますが、今回の記事で少しでも気にしてもらえたら嬉しいです♩
表面処理やめっきのことで分からないことがありましたら是非!お気軽にご連絡ください。
お客様のご要望ご希望を聞き、ご提案させて頂きます(*^^*)
執筆者プロフィール
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ウエディング・旅行業界で勤務後、株式会社三和鍍金に入社。
事務員として伝票発行や納期管理をする傍ら、サービス業で培った高いホスピタリティ(おもてなし精神)を活かし、三和鍍金に関わる全ての方々が気持ち良く過ごせるようなお客様対応を心がけている。
メッキについて初心者であることを活かし、「メッキ初心者の視点」で書いたコラムはいずれも高い人気を博している。
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