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columnメッキライブラリ

2022.04.25

【古びたバイクが新品同様!?】めっきのレストアについて

こんにちは。

群馬県高崎市にて表面処理を営んでおります、(株)三和鍍金と申します。

本コラムは事業統括部の柳沢が解説いたします。

今回はめっきのレストアについてのコラムです。

めっきのレストアとは何なのか?

レストアの依頼の際、注意するべき点はどんなことがあるのか?

考えうるリスクは? などなど

発注のご検討にあたってご参考にしていただければ幸いです。

早速いってみましょう!

めっきのレストアってなに?

レストアとは英単語の「restore」に由来し、

・復元する

・元の状態に戻す

という意味があります。

一般的に「レストア」の意味として大枠では、製造から多くの時間が経過した車やバイクを機能面・外観面ともに元の綺麗な状態に戻すことを指しますが、

めっきのレストアも同様に、以前のめっきされていた本来のパーツの姿に戻すことを意味しています。

くすんでしまったパーツが美しい輝きを取り戻したら嬉しいですよね。

車やバイクがお好きな方はかなり聞き馴染みのある言葉かと思います。

めっきのレストアに関しては、「リクローム」「再メッキ」「再生メッキ」など呼び名は多数ありますが、基本的には同じ工程を指します。

また、最もよくあるのは「クロムメッキが既になされている製品に対しての再クロムメッキ」ですが、

・クロムメッキがなされている製品→金メッキ仕上げに

・クロムメッキがなされている製品→黒塗装(カチオン塗装)仕上げに

・塗装されている製品→クロムメッキ仕上げに など

その組み合わせは多種多様です。

いずれにせよ、処理としては「めっき」だけでなく「剥離」というものが追加されます。

これは既についているめっきや塗装などの表面処理を剥がし、次の新しいめっきをつける準備をする工程です。

レストア品のコストが上がってしまう理由はこの「剥離」にあるのですが、それは後ほど記します。

また、剥離後の製品に直接めっきを施すだけではご希望の仕上がりにならない可能性があるため、

基本的には剥離後にバフ研磨の工程を入れます。

したがって、処理の順序としては「剥離→バフ研磨→めっき」というのが一般的な流れです。

レストアを依頼する際の流れ

実際に弊社にめっきのレストアをご依頼いただく際の流れは以下の通りです。

それぞれ細かくみていきましょう。

①各種確認作業

後ほど詳しく触れますが、お問合せいただく前にご確認いただきたいことが何点かございます。

市販品であればパッケージ裏に書いてある製品情報を確認したり、発売元や製作会社に事前に問い合わせる必要があります。

労力が必要な部分ですが、ここをないがしろにしてしまうとめっきの仕上がりに影響を及ぼし、トラブルのもととなりますので、しっかりとした確認が重要です。

②三和鍍金HPの個人専用依頼フォームで必要情報を入力して送信

確認作業が終わったら、弊社HPの問い合わせのページにとんでいただき、上部の「個人依頼はこちら」のバナーをクリック。

すると、個人様専用のフォームにリンクしますので、内容をよくご確認ください。

ご確認いただいたら必要事項をそれぞれ記入していただき、送信ボタンをクリック。

これで問い合わせメールが弊社に送られます。

③担当者からご連絡、見積書をお客様に送付

いただいたメールが確認でき次第、担当者からご連絡させていただきます。

※内容が技術的に難しい場合等、ご返信に少しお時間いただいてしまう可能性がございます。

何度か案件内容についてラリーさせていただくことがありますが、特に問題ない場合はすぐにお見積り書を作成し、お送りいたします。

④留意事項をご確認の上、ご注文書と製品を弊社に送付

届いたお見積書をご確認いただき、記載の留意事項をお読みください。

価格・留意事項にご納得いただいた場合は、弊社からお渡しいたしますご注文書に必要事項をご記入いただき、

製品と送付してください。

※発注書はFAXまたはメールでも構いません。

※製品と発注書を直接お持ち込みいただいても構いません。

⑤製品状態の確認後、処理開始

届きました製品を現場スタッフと営業担当者が確認させていただき、追加でご確認いただきたい点等があればご連絡差し上げます。

特になければそのまま処理を進めていきます。

⑥製品の納品

製品が完成したあとは、発送準備にかかります。

発送の場合は原則ヤマト運輸の着払いにて対応させていただいております。

発送日の翌日か、翌々日にお客様の元に届きます。

⑦月末に請求書を送付 、お振込み

納品後の最初の月末に弊社から請求書を送付しますので、そちらをご確認いただき、お振込みをお願いいたします。

振込先等は請求書に記載がございます。

レストアの際に準備・確認すること

レストアをご発注いただくにあたって、ご確認いただきたい事項がいくつかございます。

ご希望のめっき種・材質・数量・既にされているめっき種 などです。

ご希望のめっき種について、クロムメッキをご希望なのか金メッキをご希望なのかで社内処理をするのか協力工場に依頼するのかが決まって参ります。

数量についても価格が変わりますので、ご確認ください。

材質について、樹脂なのか金属なのか、その中にもたくさんの種類がありますが、確定できない場合は処理をお断りさせていただくことがございます。

私たちめっきのプロでもレストア前の外観だけで材質を特定するのは極めて難しく、

その材質が適していない工程で処理を行えばめっき不良が発生したり最悪製品が溶解したりしてしまうため、

材質についてはある程度のところまで確定させる必要がございます。

ただ、材質不明の場合はそのようにご記載いただき、お写真や現物等を拝見してご相談させていただければと存じます。

こちらも追っていただくのは難しいと思いますが、「レストア前の現段階で何のメッキがついているのか」をご確認ください。

販売元や製作会社に問い合わせていただく他はないと思われますが、剥離工程の有無がここで決まります。

基本的にレストアと呼ばれるものは何かしら既にめっきがついていますが、全てのめっきを同じ工程で剥がせるわけではありませんので

きちんと確認することで、トラブルのリスクを下げることができます。

様々なリスクと回避方法

レストアには様々なリスクがつきものです。

考えうる一般的なリスクとその回避方法について解説します。

剥離のリスク

前述した通り、レストアは「剥離+メッキ」という工程を踏みます。

剥離はメッキ種によって使う薬品がそれぞれ異なりますが、適切な材質に適切な剥離処理をおこなっても

浸漬時間(処理時間)が長いと生地へのダメージは免れません。

古いメッキを壊しているわけですから、それだけ強い薬品を使っているのです。

たとえば剥離用の薬品は、弊社の例ですと「生地が鉄・ステンレス用のもの」と「生地が銅・真鍮用のもの」という2種類がございます。

「生地が鉄・ステンレス用のもの」専用の剥離液に、生地が銅で出来た製品を入れるとどうなると思いますか?

正解は…銅にダメージが入り、表面が荒れたり溶けてなくなってしまったりする可能性もあるのです。

このように材質が不確定だと剥離の際のリスクが高まってしまうため、注意が必要になります。

このリスクを回避するためには

・材質を確定させる(販売元に問い合わせる)

・既についているメッキを確定させる(販売元に問い合わせる)

これらの回避方法が有効です。

ただ、正直どこまで正確に追えるかは商品によるかと思います。

我々も細心の注意を払って剥離作業をおこないますので、可能な限り材質を確定させていただけると幸甚です。

めっき不着のリスク

こちらも材質にかかわるリスクです。

めっきには様々な工程がありますが、材質によって必要な工程が変わってきます。

たとえば鉄については通常の工程で問題なくめっき可能ですが、アルミについてはジンケート処理という特殊な前処理が必要で、

これがない場合は密着性に問題が発生し、膨れなどの原因となってしまいます。

特殊な材質の場合、めっきが全くつかないということも…。

このリスクを回避するためには

・材質を確定させる(販売元に問い合わせる)

この方法が有効です。

めっきにおいていかに材質が重要か、お分かりいただけたかと思います。

錆のリスク

古い品物は錆びてしまっていることがよくありますよね。

錆びについては基本的には落とすことができ、問題なくめっきも可能です。

が、錆びの程度によっては生地の深くまで赤錆びが到達してしまっており、

剥離・研磨時に穴が開いてしまったり錆びはとれても錆の痕(錆びがとれた痕)がめっき後に目立ってしまったり

仕上がりが芳しくない見た目になってしまうこともしばしばございます。

このリスクを回避するためには

・現物を確認させていただき、錆びの程度を弊社が把握し判断する

この方法が有効です。

あまりにも錆びがひどい場合は処理不可となってしまう可能性もございます。

まとめ

いかがだったでしょうか。

レストアについて弊社の流れなどを説明して参りました。

愛車をどうにかきれいにしたい…というお客様はご相談ください。

それではまた次回!

PROFILE

柳沢 寛太
柳沢 寛太
新卒として入社後、現場での業務経験を活かし現在は営業として活動しながらコラムを執筆。塾講師・家庭教師の経歴から、「誰よりもわかりやすい解説」を志している。
また、多数の人気コラムを生み出すだけでなく、YouTubeの元編集者・現プレスリリース執筆者。コラム・YouTube・広告等のプロモーションを手掛けた本HPは流入ユーザー数前年比1,150%アップという偉業を達成した。
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