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メッキの密着性試験を解説!素材や金属の種類によるテスト方法の違いとは

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プラスチックのおもちゃやドアノブなど、メッキを施したものは使う環境または摩擦や落下といった衝撃により、徐々に表面が劣化していきます。

どのような環境で、どこまでの衝撃を与えるとメッキが剥離するのかを検証するために「メッキの密着性試験」があります。

試験は製品の厚さや形状にあわせて複数の方法があり、研削や引きはがし、熱などの衝撃を加えて、メッキの剥がれや膨れの有無を調べます。

こちらの記事では、日本産業規格で規定された16種類の試験方法から7種類を紹介します。

三和鍍金では金属への表面処理から、膜厚や硬度の測定、塩水噴霧試験など処理後の分析まで一括で行う「ワンストップ分析」を提供しています。

YouTubeにてメッキや塗装、電解研磨の耐食性について検証した動画も公開していますので、こちらもあわせてご覧ください。

【どのメッキが強い!?】沖縄での耐食性試験結果が返ってきました!

メッキの密着性試験とは

メッキの密着性試験とは、電気メッキや化学メッキによって製膜されたメッキの強度を確かめるテストのこと。金属の種類やメッキの膜厚によって最適な試験方法は変わります。

たとえば、研削試験にはやすりと砥石を使う方法の2種類がありますが、硬質で厚みのあるメッキに対してはやすりよりも砥石の方が適しています。

試験に使うサンプルの取扱いや、試験環境には以下のように一定の条件が定められています。

  • ●サンプルは手袋をはめて取扱う
  • ●サンプルの試験面が汚れている場合は、エチルアルコールやベンジンなどの溶剤で拭き取る
  • ●試験を行う室内は、21~25度、相対湿度65%以下にする

また試験結果の記録は、以下の事項を記載します。

  • ●メッキの種類及びその条件
  • ●試験方法の名称
  • ●試験条件
  • ●試験年月日
  • ●その他必要な事項

メッキの密着試験のほとんどは、耐久性を数値化できない定性的な試験です。そのため試験条件や記録内容は、依頼者と受託者の間で事前によく確認して決める必要があります。

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密着性試験方法を解説

メッキの密着試験には、削る、突く、剥がすなどさまざまな種類があります。

以下では7つの試験を取り上げて解説します。

やすり試験

やすり試験方法は、やすりでサンプルを削ってメッキの密着性をテストする方法のことです。

使用するやすりはJIS B 4703あるいはJIS B 4704で規定される中目で平たい形状のモノを使います。

動かないよう固定したサンプルに対し、45度の角度からやすりを掛けます。

目視あるいは拡大鏡で確認し、メッキの剥がれを確認します。

砥石試験

砥石試験は、サンプルのメッキ層を研削して密着性を確かめるテスト方法です。

工業用クロムメッキのように、硬質で厚みのあるメッキに対して行います。

装置と砥石装置は研削盤、携帯用研削盤あるいは卓上研削盤のいずれか、砥石はJIS R 6001に規定する#60、結合度H~Mのもので目詰まりしていないものを使います。金属のこぎりで代用も可能です。

テストする面は平面か、円筒形に限ります。

まずテスト中にサンプルが動かないよう固定します。

研削油あるいは石鹸水を使用して静かに研削し、砥石の周速は1秒に10~33m、切り込む深さは5μm以下とします。また研削しろは少なくとも30μmにしてください。

研削した面のメッキに剥離や膨れが見られるものは密着不良となります。研削した方向と直角に小さい割れが生じることがありますが、この場合は密着不良とはみなしません。

押出し試験

押出し試験とは、メッキ面の裏側から貫通しないよう穴を開け、押出し棒を差し込んでメッキ層を突き破り、状態変化から密着性を確かめるテスト方法です。

押出し試験は硬質なメッキのテストに使用するもので、厚さ50 μm以下のメッキには適していません。

サンプルの表面は平面が適しています。円筒形の場合は、直径20mm以上のものを使用してください。

メッキ面を下側にして台に置き、固定します。

メッキ面に対して裏側から直角に、直径6.5mmの穴を開けます。この際底の厚さは1.5mm残します。

素地の金属が炭素鋼や合金鋼など強度が高いものは、先端が平らなドリルを使い平面の穴底を開けます。

押出し棒を穴に差し込み、少しずつ力を加えてメッキ層を突き抜きます。押し出す速度は1分間に10mm以下としてください。

破断部のメッキの状態を確認し、明らかにメッキの剥離が見られる場合は密着不良です。

剥離でなく大きな割れがあるときは、鋭利な刃物でメッキ層と素地の境目に力を入れて、剥離するか調べます。

テープ試験

テープ試験とは、メッキにテープを貼り、勢いよく剥がして密着性を確かめるテストです。

貴金属メッキなど薄いメッキに用い、硬質で厚みのあるメッキには行いません。

試験で使用するテープはJIS Z 1522に規定されたもので、呼び幅12~19mm、粘着力は幅25mm当たり約8Nのものを使います。

まずメッキ面の平らな場所にテープを貼り付けます。引っ張る際の持ち手となる部分を30~50mm残し、気泡が入らないよう注意しながら貼り付け、10秒ほど強く押してしっかりと密着させます。

テープがメッキ面に垂直になるようにし、力を入れて勢いよく引っ張って剥がします。より厳しく試験する場合は、テープを貼る前にカッターなどの刃物でメッキ面に2cm四方の正方形の条痕をつけてから、このテストを行ってください。

剥がしたテープにメッキが付着していると、密着不良となります。

はんだ付け試験

はんだ付け試験とは、L形金具の片方をメッキ面にはんだ付けして引っ張るテスト方法のことです。

密着性の定量評価に使用できますが、すず、鉛、カドミウムや極めて薄い金・銀メッキなどのはんだと共融する金属には用いません。

装置はJIS B 7721に規定する試験機か、同様のものを使います。試験に用いる器具は、鉄鋼または黄銅製で75×10×0.5mmの細長い板にすずメッキを施したものを直角に曲げたL形金具を用意してください。

メッキ面はJIS R 6252で規定する#240の研磨紙で均一に磨き、ベンジンやエチルアルコールなどで拭き取ります。フラックスを使い、L形金具をメッキ面にはんだ付けします。金具の短い方の外側の面を、260℃ほどで溶着させてください。

サンプルを引張試験機に取り付けて、L形金具の長いほうをメッキ面に対して垂直方向にし、負荷をかけます。メッキ層と素地が剥がれるまで、またははんだが剥がれるまで引っ張ります。

剥がれた箇所と、剥がれた時の負荷からメッキの密着性を評価します。

曲げ試験

曲げ試験とは、サンプルを折り曲げてメッキの密着性を確かめるテスト方法です。

素地である金属の厚さが2mm未満のものに適しています。

サンプルを曲げ半径4~10mmの当て金で挟み、動かないよう固定します。

90度曲げて元に戻し、反対側にも同様に曲げて戻す、という作業を繰り返し行います。曲げる回数は、メッキの種類や状態に応じて設定してください。

曲げを繰り返し、メッキに剥離や膨れができた場合を密着不良と判定します。

熱衝撃試験

熱衝撃試験とは、サンプルを加熱した後急冷し、温度差による衝撃を与えるテスト方法です。

試験に使う装置は、以下の表に示した温度のプラスマイナス10度で維持できる加熱炉を使います。

素地金属メッキ金属
クロム、ニッケル、銅 、ニッケル−クロム、銀すず、亜鉛、鉛、カドミウム、金
鉄および鋼300150
銅および銅合金300150
アルミニウムおよびアルミニウム合金220150
亜鉛合金150150

出典:日本産業規格「めっきの密着性試験方法」

表で示した温度に加熱炉内を温め、サンプルを入れます。一定時間置いた後、常温の水に入れて急冷し、メッキに剥離や膨れが生じているか確認します。

【まとめ】メッキの密着性試験は三和鍍金へ

メッキの密着性試験まとめ

  • ●メッキの密着試験とは、衝撃に対するメッキの密着性を確かめる試験のこと
  • ●試験方法はメッキの金属の種類や厚みによって適した方法が変わる
  • ●試験結果を定量的に判断することは難しい

今回はメッキの密着性を調べる方法を解説しました。

このほかにも耐食性や膜厚、硬さを試験する方法もあります。

三和鍍金では、表面処理だけでなく、メッキや塗装の分析まで一括して行う「ワンストップ分析」を提供しています。

ISO/IEC 17025を取得済みの信頼できるメーカーに協力を依頼し、完成品と試験結果をあわせてお届けします。分析のみのご依頼も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

【ワンストップ分析】についてはこちらのページをご覧ください。

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