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2020/11/18

【必見!!】ステンレスを表面処理の観点から見てみよう

  • 公開日:
  • 更新日:

群馬県高崎市にある(株)三和鍍金、事業統括部の武藤です。

今回は「ステンレス」についてです。

私たちの身の回りに溢れているステンレス製品、

今回はそんなステンレスについて表面処理業者の観点からまとめてみました。

弊社ではステンレス製品へのめっきや塗装も行えますのでお気軽にお問い合わせください

本コラムをお読みいただくことでステンレス製品の加工や表面処理を依頼する際にお役立ち頂けると思います。

ステンレスとは

Stainless Steelの略称でStainlessは錆びにくい、Steelは鋼の事です。

すなわち錆びにくい鋼となっており、「ステンレス」と呼ばれています。

日本は300万tを超える生産量になっており、高強度で耐食性に優れています。

1000℃の暑さにもマイナス196℃にも耐えられる耐熱性も持ちあわせており

意匠性も高い綺麗な金属であることから私たちの身の回りにたくさん使用されています。

建築、土木、輸送、産業、雑貨等に使用され毎日触れていると言っても過言ではないでしょう。

ステンレスの種類

ステンレスの種類は細かく分けるとたくさんありますが、大別すると2つあります。

ステンレスは基本的に鉄を主成分としてクロムやニッケルを含有させた合金です。

クロムやニッケルの含有量や有無によって分別出来るのですが

「クロム系ステンレス」と「クロム・ニッケル系ステンレス」に大別出来ます。

そこから更に分けると大きく3つの種類に分けられます。

クロム系ステンレス

常温での金属組織がマルテンサイト組織とフェライト系組織の2つに分類され、それぞれマルテンサイト系ステンレス、

フェライト系ステンレスと呼ばれています。

急に聞きなれない単語が飛び出してきたと思いますがマルテンサイト?フェライト?とはいったい何なのでしょうか。

簡単にはそれぞれに特性があり、そういった特性をもった組織構造で出来ているという事です。

それぞれが加工や温度変化等によって変態するというのも特徴です。

マルテンサイト組織は常温で磁性をもっています。強く、硬くて脆いというのも一つの特徴です。

フェライト組織は常温で磁性を持っており、クロム含有量が多いのも特徴です。

フェライト系ステンレスのSUS430はクロム系ステンレスの生産高の大部分を占めています。

クロム・ニッケル系ステンレス

クロム・ニッケル系ステンレスは常温での組織がオーステナイト系を示すのでオーステナイト系ステンレスと呼ばれています。

オーステナイト系ステンレスは一般的に18-8ステンレスとも呼ばれています。

18%のクロムと8%のニッケルを含んでおり、クロム系ステンレスより耐食性は勿論、

機械的性質、溶接性が優れているので多くの用途に使われています。

3つの組織で分類出来たので馴染みがあるステンレスの名称を表にまとめてみました。

このほかにもたくさんの種類がございます。

ステンレス種類

ステンレスへの表面処理

ステンレスへの表面処理に対しては当社ではクロムメッキ、電解研磨がございます。

クロムメッキに関しては当社コラム「【すぐ剥がれる!?】ステンレス上のめっきについて」をご覧になってください。

当社の電解研磨では主にSus304オーステナイト系のステンレスを主として行っています。

それではマルテンサイト系やフェライト系は電解研磨出来ないのかという点ですが

前述した通りオーステナイト系とマルテンサイト系やフェライト系では組成分が異なります。

大きくはNiが含まれているかいないかも大きな違いです。

よって反応や処理工程が変わってきますので出来なくはないのですが電解研磨で求められている光沢等は

オーステナイト系に対して劣ります。ステンレスの種類によって薬液の変更や温度も変更させなければいけないのです。

ただし、マルテンサイト系やフェライト系はバリ取り等を目的に行ってる製品もございますのでご相談させて下さい。

ここで当社の電解研磨槽を見てみましょう。

電解研磨槽

電解研磨液自体は無色透明なのですが槽内は緑色をしています。

よく工場見学をしていただいたお客様に「なんでみどり色なんですか?」

と聞かれることがありますが、この緑色になっているのはステンレスの中のニッケル成分が溶けだしているからなのです。

すなわちNiに反応し溶け出しています。

最後にステンレスに関して表面処理業者の観点からみた記事を見て頂きましたかいかがでしたか。

ステンレスにはたくさんの種類があり、とても奥が深いです。

ステンレスと同じようにその他の金属にも様々な番手があり、加工をする際に選定するように、

表面処理も番手によって処理工法を変更しなければいけません。

少しでも本コラムをお読みいただいた方の助けになれば幸いです。

当社では基本的にはオーステナイト系を行っていますがその他の種類もご相談ください。

最後にステンレスについて以下の図にまとめてみました。

ステンレスまとめ

執筆者プロフィール

三和鍍金 スタッフ
三和鍍金 スタッフ
金属表面処理の様々な疑問・基礎知識や、創業から70年以上培ってきたノウハウについて「誰にでもわかりやすく」をモットーに執筆しています。
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