アルミニウムとは?優秀なリサイクル素材と呼ばれる理由
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こんにちは。
群馬県高崎市にて表面処理を手掛ける、株式会社三和鍍金と申します。
今回は「アルミニウム」に焦点を当てて詳しく解説します。
アルミニウムは、私たちの身の回りでよく見かける金属です。
存在が当たり前になってしまっていて、アルミニウムの本当の凄さを知らない方も居るのではないでしょうか。
「アルミニウムは、どのような金属なのでしょうか?」
「なぜ優秀なリサイクル素材と呼ばれているのか?」
この記事では、アルミニウムとは何か、9つの特徴まで幅広く紹介します。
三和鍍金ではメッキを含む50種類以上の表面処理を手掛けており、剥離事業や有価物買取も対応しています。
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目次
アルミニウムとは
アルミニウムとは、地球の地殻に豊富に存在する元素で、その産出量は酸素やケイ素に次ぐ第3位です。
この軽くて頑丈な金属は、銀白色の光沢を持ち、多岐にわたる特性が産業界での幅広い応用を可能にしています。
特に航空宇宙産業や自動車産業では、その軽量性が燃費の向上や排出ガス削減に貢献しています。
また、アルミニウムは豊富に存在するため、採掘から精錬、製品化までのプロセスが確立されており、コストパフォーマンスも高いです。
耐食性に優れ、自然界で容易に酸化されることがないため、屋外での使用にも適しているのが特徴です。
このように、アルミニウムはその独特の特性を活かし、私たちの生活を豊かにし、産業の効率化を支える重要な素材となっています。
アルミニウムの9個の特徴
アルミニウムは多くの特徴を持った優秀な軽金属です。
ここでは、以下の9個の特徴を見ていきましょう。
- ・軽い
- ・サビにくい
- ・強度が高い
- ・熱を通しやすい
- ・加工しやすい
- ・電気を通しやすい
- ・磁性がない
- ・反射性が高い
- ・毒性がない
軽い
アルミニウムの最大の魅力の1つは、その軽さです。
具体的には、この金属の比重は約2.7と非常に低く、鉄の約3分の1、銅の約3分の1程度にすぎません。
このため、アルミニウムは自動車、航空機、さらには日常生活の家庭用品など、重量を抑えることが求められるあらゆる場面で重宝されています。
軽量化はエネルギー効率の改善にも直結し、特に燃費を重要視する自動車業界や航空業界では、この軽さが非常に高く評価されています。
また、アルミニウムの軽量性は携帯性を向上させるため、ポータブルデバイスの材料としても理想的です。
サビにくい
アルミニウムの優れた耐食性も大きな魅力です。
アルミニウムは空気中の酸素と反応して自然に酸化被膜を形成し、この薄い被膜がさらなる酸化を防ぎます。
この自己修復機能によって、アルミニウムは錆びにくい状態を保つことができます。
特に、海水や厳しい気象条件下でも性能を維持するため、船舶や沿岸構造物などにも広く用いられている金属です。
この耐食性は、長期間にわたる使用においてもメンテナンスコストの削減に貢献し、アルミニウムをより経済的な選択肢としています。
結果として、アルミニウムは環境に優しいだけでなく、経済的にも持続可能な選択と言えるでしょう。
強度が高い
アルミニウムは、柔らかくて加工しやすい性質を持っていますが、合金として他の金属と組み合わせることで非常に強度が高くなります。
特に、銅やマグネシウムなどを加えて熱処理をした合金は、強度が大幅に向上します。
この合金は、ジュラルミン系として知られ、航空機のフレームや軍用車両など、軽さと高い強度が求められる環境での使用に最適です。
また、アルミニウムは低温下でも強度を維持するため、-162℃で冷却する必要のあるLNG低温貯蔵タンクやLNGタンカーの材料としても選ばれています。
熱を通しやすい
アルミニウムはその優れた熱伝導性で知られており、この特性が多くの製品で活用されている金属です。
熱伝導率は、金属中でも特に高く、電子機器の放熱機やラジエーターなどの製造に広く利用されています。
アルミニウムの熱伝導性はエネルギー効率を向上させるためにも貢献しており、熱が速く均等に広がるため、料理器具や熱関連機器の性能を最大限に引き出すことが可能です。
さらに、価格の面でも銅と比較して経済的であるため、コストパフォーマンスも非常に高いと評価されています。
加工しやすい
アルミニウムはその加工しやすさが高く評価されている金属です。
この金属は柔らかく、展性が高いため、さまざまな加工に適しています。
また、アルミニウムは高い熱伝導性を持ち、熱処理を施しやすいのも大きなメリットです。
これにより、精密な部品への加工が可能となり、高い耐久性と精度が求められる用途で広く利用されています。
電気を通しやすい
アルミニウムはその電気を通しやすい性質から、電気の導電材料としても広く利用されています。
アルミニウムの電気伝導率は銅の約60%であり、鉄と比較すると約3倍も高いです。
この高い電気伝導率は、電気を遠い場所に効率的に送るための送電線材料として理想的です。
また、軽量であることから、同じ電力を伝送する際に必要な材料の総重量を減らすことができ、コストと設置作業の効率を改善します。
磁性がない
アルミニウムは非磁性体であり、これが多くの用途で重要な特性となっています。
磁場に反応しないため、電子機器や精密機械の近くでの使用が可能です。
例えば、MRI(磁気共鳴画像診断装置)のような強力な磁場を用いる医療機器の周辺で使用される際、金属が磁場に影響されずに済むため、機器の精度が保たれ、安全に操作を行うことができます。
さらに、アルミニウムが非磁性であることから、船の磁気コンパスなどでも指向性を妨げることなく利用されています。
反射性が高い
アルミニウムは光や熱の反射率が非常に高く、この特性が多くの産業で利用されている金属です。
特に、熱を効率的に反射することから、断熱材料や救命用のブランケット、さらには建築材料としても重宝されています。
また、鏡面加工を施すことによってさらに反射率を高めることが可能で、光の反射を必要とする照明器具や光学機器の部品にも使われやすいです。
このように、アルミニウムは高い反射性を活かして、エネルギー効率の向上や安全性の強化に貢献しています。
毒性がない
アルミニウムは人体や環境に無害な金属であり、これが非常に重要です。
この金属は人体に対して毒性を示さないため、食品包装材から医療器具まで、安全が最優先される箇所に広く使用されています。
アルミニウムが持つ非毒性の特性により、キッチン用品や飲料缶、直接人間の健康と関わる胃薬や鎮痛剤にも配合されています。
低エネルギーでリサイクルできるアルミニウム
アルミニウムのリサイクルが効率的である理由は、新しいアルミニウムを製造する過程に比べて、はるかに少ないエネルギーで済むことにあります。
具体的には、アルミニウムのリサイクルに必要なエネルギーは、新品のアルミニウムを生産する際のわずか約3〜5%です。
この省エネ性は、大規模なコスト削減に直結し、日本のような電力コストが高い国においては、特に大きな経済的メリットをもたらします。
さらに、このプロセスは二酸化炭素排出量の削減にも貢献し、環境保護にも大きく貢献しています。
アルミニウムのリサイクルは、廃棄物の減少と資源の持続可能な利用を促進することで、地球環境の保護にも繋がるのです。
そのため、アルミニウムは「リサイクルの王様」とも称され、持続可能な材料の一例として世界中で高く評価されています。
この低エネルギーでのリサイクル性能は、アルミニウムを今後も重要な資源として位置づける理由の1つです。
アルミニウムの需要は増えている
アルミニウムの需要が増えている背景には、その環境性能と経済効率の高さがあります。
特に自動車産業では、アルミニウムを使用することで車体の軽量化が実現され、それにより燃料効率が向上し、CO2排出量が削減可能です。
このため、多くの自動車メーカーがアルミニウムの使用を拡大しています。
さらに、製造過程で再生アルミニウムを使用することにより、新たなアルミニウムの生産に比べてCO2排出を大幅に抑えることが可能です。
飲料容器の分野でも、アルミニウムの需要は高まっています。
アルミニウムはリサイクルがしやすく、リサイクルにかかるコストが他の材料に比べて低いため経済的です。
また、リサイクル時のエネルギー消費が少ないため、環境に優しい選択として多くの飲料メーカーが採用しています。
このように、アルミニウムはその持続可能な特性から、今後も多くの産業での需要が見込まれます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「アルミニウム」の概要と9つの特徴について解説しました。
アルミニウムはその軽量性、耐食性、高い反射性、非毒性など多くの特性を活かし、自動車、航空、包装材料といった多岐にわたる産業で広く利用されています。
リサイクルが容易でエネルギー効率が高いため、環境負荷の低減に貢献するとともに、持続可能な資源としての価値が高まっています。
これからも、アルミニウムの需要は増加することが予想されるでしょう。
弊社、株式会社三和鍍金では、創業から70年以上表面処理に携わり、表面処理以外にも環境保護につながる剥離事業、有価物買取も対応しています。
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