【混乱】亜鉛メッキ・クロメートの「別名」まとめ
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※2023年9月19日に加筆修正致しました。
群馬県高崎市にある(株)三和鍍金、事業統括部の柳沢です。
今回は亜鉛メッキの「別名」についての記事になります。
弊社では亜鉛メッキの取り扱いもございますのでお気軽にお問い合わせ下さい
亜鉛メッキにおいて「名前が違うだけで実は同じ処理を指すもの」のまとめです。
私はまだ業務経験が浅いのですが、
浅いからこそ「業務に支障をきたす恐れすらある」この亜鉛メッキ「別名問題」について
取り扱うことを決めました。
お客様からも度々「○○って△△と同じ意味ですか?」と
お問い合わせいただくこともございますので、
この機会に情報をまとめてしまおうというわけです。
亜鉛メッキに限らず「名前は似ているけれど、実は全く別の処理を指すもの」に関しては
別記事にてまとめる予定ですので、そちらも併せてご覧ください。
また、処理ごとの細かい説明は今回は割愛いたします。
お役立ちいただければ幸いです。
目次
実務上の「亜鉛メッキ」の扱い
まず、大前提として、「亜鉛メッキのみ」をご依頼いただいた実績はほとんどありません。
基本的に亜鉛メッキというのは下にまとめます「クロメート処理」とセットになります。
理由につきまして簡単に申し上げますと、主に亜鉛メッキ単体の見た目があまり優れていない点にあります。
更なる耐食性の付加という目的も少なからずありますが。
したがって、逆にたとえば「三価クロメート」という処理名でご依頼いただくことは多くありますが
この場合実際の処理は、ほぼ100%「亜鉛メッキ+三価クロメート」になります。
この「慣習」も私が混乱する一因でした・・・(笑)
そしてまた、この「クロメート」部分の名称・認識が個人個人で多岐にわたるため、
非常にややこしくなってしまっている現状があるのです。
六価か三価か
次の前提のお話しに移りますと、
大分類として六価クロメートと三価クロメートがございます。
※ここでの三価クロメートは「分類」としての「三価クロメート」になります。処理名としての三価クロメートではありません。この認識が、この問題の正しい理解に不可欠と言えます。
それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
六価クロメート
→ 三価クロメートより耐食性に優れるが、RoHS規制対象の六価クロムを含有している
三価クロメート
→ 六価クロメートより耐食性は劣るが、RoHS規制対象の六価クロムを含有していない
以上を踏まえた上で、具体的な処理名・別名をご紹介します。
ユニクロメッキ(六価)
別称:ユニクロ、無色クロメート、光沢クロメート
一般的にユニクロメッキとは六価クロムを用いたクロメート処理の中でも青白い色味のものを指します。
主に光沢を目的とした処理になります。
しかし、先ほど申し上げた通り、六価クロムはRoHS規制対象ですので
EU向けの製品などには採用することができません。
「ユニクロの風合い・色調がいいけど、六価クロムは困る・・・」という場合に
代替として採用されやすいのが処理名としての「三価クロメート」です。
三価クロメート(三価)
ここで非常に重要なことが、前述した通り
分類としての「三価クロメート」と具体的な処理名としての「三価クロメート」は違うということです。
分類としての方に関しては先に記しましたので、以下は処理名としての「三価クロメート」についてです。
別称:三価ホワイト、三価白、白クロメート、三価ユニクロ
一般的にこれらの言葉と処理名である「三価クロメート」は同義語です。
色味がユニクロメッキに似ており、比較的耐食性も六価使用のユニクロと近いものがあるため
「三価版のユニクロ」として広く知られています。
黒色クロメート(六価、三価)
別称:黒クロメート、三価ブラック(三価の場合)、六価ブラック(六価の場合)
黒色のクロメート処理を指します。
別称からわかる通り、こちらは同じ名前で三価パターンと六価パターンが存在します。
有色クロメート(六価)
別称:六価クロメート、クロメート
虹色の光沢を放つクロメート処理です。
こちらも別称からわかる通り、分類としては六価のクロメート処理になります。
同じような見た目の三価版として三価黄色クロメートもあります。
こちらはよりゴールドに寄った見た目にはなりますが、色ムラが少なく綺麗な見た目をしています。
ご依頼の上で重要なこと
最後に、今回の記事を踏まえた上で重要なことをまとめながら
弊社に亜鉛メッキ(クロメート)をご依頼いただく際にご確認いただきたいことを以下に記します。
1、ご希望の色味
上に記載の通り、
青白い色 → ユニクロメッキ(六価)か三価クロメート(三価)か
黒色 → 黒色クロメート(三価、六価)
虹色 → 有色クロメート(六価だが、近い色は三価黄色クロメートで対応可能)
となります(→の右辺は選択肢)。
どの色味をご希望か、ご確認いただきたいと思います。
2、三価か六価か
1と併せて、「三価」でなければだめなのか「六価」でなければだめなのか、
はたまた色味の希望に添えるならどちらでもよいのか。
こちらもご確認いただきたい事項になります。
3、その他、メッキ液指定など
環境問題に即して、実はもうひとつメッキ浴の問題というのがあります。
古くから用いられてきたシアン浴というメッキ液によって亜鉛メッキを行うと
比較的物性の良いメッキ皮膜が得られるなど、メリットがある反面
シアン化ナトリウム含むため、排水方法によっては環境汚染を引き起こしてしまいます。
それにとってかわったものがジンケート浴というメッキ液で、
こちらはシアン化ナトリウムが入っていないため、「環境には優しい」のですが
いまだにシアン浴でしか得られない質感などを求めているお客様は多くいらっしゃいます。
弊社ではジンケート浴はもちろん、現在もシアン浴を採用しておりますので、シアン浴指定の品物への対応も可能です。
シアン浴使用でも問題のないしっかりとした排水方法を採用しておりますので、安心してご利用いただけます。
お気軽にお問い合わせください。
執筆者プロフィール
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新卒として入社後、現場での業務経験を活かし現在は営業として活動しながらコラムを執筆。塾講師・家庭教師の経歴から、「誰よりもわかりやすい解説」を志している。
また、多数の人気コラムを生み出すだけでなく、YouTubeの元編集者・現プレスリリース執筆者。コラム・YouTube・広告等のプロモーションを手掛けた本HPは流入ユーザー数前年比1,150%アップという偉業を達成した。
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