【金属の基礎知識】パラジウムとは?特徴や用途を解説
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白金族のひとつであるパラジウムは、水素を吸収する、融点が低いなどの特徴を持ちます。
自動車の水素エンジンや歯科治療、ジュエリーなどに欠かせない金属です。
こちらの記事では、パラジウムの特徴や製錬方法、用途について解説します。
三和鍍金では、メッキをはじめとした50種類以上の表面処理を取り扱っています。
YouTubeではそのうち24種について一挙に解説した動画も公開しています。こちらもあわせてご覧ください。
目次
パラジウムとは?特徴や製錬方法を解説
パラジウムは銀白色をした金属で、自動車やバイクの三元触媒、指輪やネックレスなどのジュエリーに使用されています。
以下では、パラジウムの特徴やアレルギー性、製錬方法について解説します。
パラジウムの特徴
パラジウム 元素記号:Pd 原子番号:46
パラジウムは白金族のひとつで、融点が低い、耐酸性が低いなどの特徴を持ちます。
水素をよく吸収し、自身の体積のおよそ935倍の量の吸収・透過が可能です。
白金族のなかではもっとも耐酸性が低く、希硝酸、熱濃硝酸、王水に溶け、酸化剤が添加された場合は塩酸にも溶解します。
全域固溶で合金が作りやすいことから、プラチナや銀といったほかの金属に添加して使われることの多い金属です。ジュエリーでは白金パラジウム、歯科では金銀パラジウムが使われています。
結晶化したパラジウムは、メッキやガラス陶磁器の着色にも使用されます。
産出量は、南アフリカとロシアの2カ国で世界の約8割を占めており、原料となる鉱石は白金族鉱石、銅鉱石などです。
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パラジウムとアレルギー
パラジウムはアレルギー反応を起こしやすい金属のひとつです。
金属アレルギーはおもに以下の2種類あります。
- ●接触性皮膚炎:金属が皮膚に触れることで起こる
- ●全身性金属皮膚炎:食べ物や歯科治療によって体内に金属が入ることで起こる
パラジウムを使ったアクセサリーを身に着けたり、歯の治療に銀歯を使用すると、金属アレルギーになる可能性があるため、注意が必要です。
歯科治療で使われている銀歯は、パラジウムを含んだ合金で、唾液で溶けだした金属イオンに対して体が反応することで、かゆみや湿疹などのアレルギー症状が出ます。
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製錬方法
パラジウムの製錬工程は以下の通りです。
- 1.鉱石の粉砕
- 2.溶錬
- 3.酸化濃縮
- 4.パラジウムの抽出
パラジウムは、白金族鉱石や銅鉱石などに含まれています。
銅を精錬する工程のなかで、白金族が濃縮された水溶液ができ、そこからパラジウムが抽出されます。
パラジウムの用途
パラジウムは希少金属であり価格変動も大きく、用途は限定的です。
以下では、パラジウムの代表的な3つの用途について解説します。
ジュエリー
パラジウムはプラチナに添加した合金や、メッキとしてジュエリーに使われています。
プラチナにパラジウムを加えると、硬度が増してキズが付きにくくなります。
一方で、適度な延性を持つため、加工がしやすく、結婚指輪のように一定の強度が求められるジュエリーに適しています。
またプラチナに比べて比重がおよそ1/2であるため、重さが軽い点もメリットです。
歯科治療
パラジウムは、歯科治療でも用いられることの多い金属です。
「銀歯」と呼ばれる詰め物は、金、銀、パラジウム、銅などをあわせた「金銀パラジウム合金」から作られます。
保険適用で利用でき、費用が安く済むことから銀歯は広く利用されていますが、金属アレルギーのリスクがあるため注意が必要です。
また金属が溶けて歯茎の色が変色する「メタルタトゥー」を引き起こす可能性もあります。
水素センサー
水素を検知するためのセンサーにも、パラジウムは利用されています。
自動車のエンジンや発電エネルギーに水素を活用する動きが世界的に高まっています。
しかし水素は爆発しやすい性質があり、安全な使用には漏洩を検知するシステムが欠かせません。
そこで重要なのが水素センサーです。パラジウムは水素を吸収して膨張する性質を持つことから、水素センサーの材料として採用されています。
水素の漏洩を素早く検知し、安心して水素エネルギーを使用するために、水素センサーの研究・開発が進められています。
【まとめ】貴金属についてのご相談は三和鍍金まで
パラジウムの特徴まとめ
- ●白金族の中でもっとも酸に弱く、溶けやすい
- ●水素を自身の体積のおよそ935倍吸収する
- ●プラチナに硬度を加えるために添加されることが多い
パラジウムは自動車の三元触媒や、水素センサーなどに使用され、生活を支える重要な金属です。
しかし産出量が少なく、資源枯渇や価格高騰が懸念されています。枯渇リスクに備えて、効率的なリサイクルやマテリアルフローの見直しが必要です。
三和鍍金では、50種類以上のメッキ・表面処理を取り扱っています。
パラジウムメッキの処理は行なっていませんが、剥離処理については対応可能です。ぜひ一度ご相談ください。
剥離事業についてはこちらのページからご覧いただけます。
執筆者プロフィール
- 金属表面処理の様々な疑問・基礎知識や、創業から70年以上培ってきたノウハウについて「誰にでもわかりやすく」をモットーに執筆しています。
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