軽金属とは?重金属との違いとそれぞれの歴史を紹介
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こんにちは。
群馬県高崎市にて表面処理を手掛ける、株式会社三和鍍金と申します。
今回は「軽金属」に焦点を当てて詳しく解説します。
軽金属と言われても、「マグネシウム」「チタン」「アルミニウム」などが、パッと頭に思いつく方は少ないかもしれません。
私たちの生活を当たり前のように支えてくれている軽金属はどのようにして生まれたのでしょう。
この記事では、軽金属とは何か、重金属との違い、代表的な3つの軽金属の歴史まで幅広く紹介します。
三和鍍金ではメッキを含む50種類以上の表面処理を手掛けており、剥離事業や有価物買取も対応しています。
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軽金属とは
軽金属はその名の通り、比較的軽い質量が特徴の金属群を指します。
これらの金属は、産業用途において重要な役割を担っており、その軽さから航空機や自動車、さらには日常使いの製品にも広く利用されている金属です。
軽金属にはアルミニウム、マグネシウム、チタンなどがあり、それぞれが独自の特性と利点を持ち、多岐にわたる産業で活用されています。
重金属との違い
重金属と軽金属の主な違いは、比重です。
比重が4以上の金属は一般的に重金属に分類され、これには鉛や水銀などが含まれます。
一方、軽金属は比重が4以下で、これにより重金属よりも軽いことが特徴です。
この比重の違いが、用途や加工技術に大きな影響を与えており、軽金属はその軽さを活かした製品に不可欠な材料となっています。
代表的な3つの軽金属の歴史
軽金属の中でも、マグネシウム、チタン、アルミニウムは代表的な金属です。
ここでは、代表的な3つの軽金属の歴史について詳しく見ていきましょう。
マグネシウム
マグネシウムは1808年、イギリスの化学者サー・ハンフリー・デービーによって「白いマグネシア」という鉱石から発見され、はじめは「マグニュウム」と名付けられました。
これが後に「マグネシウム」として知られます。
日本では1862年にすでに知識が伝えられていました。
工業生産は1900年前後から試みられ、1915年に本格的な生産が始まりました。
1921年には東京でマグネシウム工場が操業されるも、1923年の関東大震災で閉鎖。
その後、理化学研究所によって1930年に新潟で生産が再開され、市場に製品が供給されました。
戦後の1954年には、日本曹達がチタン製錬の副産物として得られる塩化マグネシウムを利用した生産を開始。
その後の技術革新と市場の需要変化により、多くの企業が生産から撤退し、1995年以降は中国などからの輸入に依存する状況となりました。
チタン
チタンはいつから知られているのでしょうか。
その歴史は18世紀までさかのぼります。
今日では日常生活に不可欠な存在となっているチタンですが、その発見の経緯を詳しく見てみましょう。
最初にチタンを発見したのは、18世紀のイギリスで鉱物学者かつ寺僧でもあったウィリアム・グレゴーです。
彼はイギリスの海岸、メナカン海岸で磁性を持つ黒い砂を採取し、そこに未知の金属元素が含まれていると推定しました。
この新しい元素を発見地にちなんで「メナカン」と名付けました。
チタンという名前の由来は、ギリシャ神話のタイタン(ティーターン)にあります。
1795年、ドイツの科学者クラプロートがルチール鉱から特異的な酸化物を発見し、この新しい金属を「チタン」と命名しました。
これは、神話に登場するタイタンが地底深くに封じ込められたことから、鉱石中に封じ込められた元素としたのが由来です。
チタンが純粋な金属として取り出されるまでには100年以上の歳月が流れました。
1910年にアメリカの科学者ハンターが鉱砂から99.9%の純度を持つチタンの抽出に成功し、純粋な金属チタンが誕生しました。
そしてチタンの大量生産を可能にしたのがマグネシウム還元法です。
1946年、ルクセンブルクの工学者ウィリアム・クロールがナトリウム還元法(ハンター法)をもとにマグネシウム還元法(クロール法)を開発し、これが一般的な製錬方法として採用されています。
この方法で製造されるチタンはスポンジ状であり、スポンジチタンとも呼ばれています。
アルミニウム
アルミニウムは、その軽さと加工しやすさで知られる金属ですが、発見の歴史は比較的新しいものです。
約240年前の1782年、フランスの科学者A.L.ラボワジェが、アルミニウムの原料であるミョウバン石が金属と酸素の化合物であることを発表したことが、アルミニウムの歴史の始まりとされています。
鉄や銅など、古くから知られていた他の金属と異なり、アルミニウムの発見が遅れたのは、その存在があまりにも身近なものだったためです。
アルミニウムは容易に他の物質と化合し、普段目にする鉱物や土壌に隠れていたため、その発見が遅れました。
ミョウバン石は紀元前5世紀から知られていましたが、当時は染料や木材の防火塗料としての用途に限られていました。
アルミニウムの実際の製錬が開始されたのは1855年で、最初は化学的な方法によって製錬されています。
しかし、1886年にはアメリカのC.M.ホールとフランスのP.L.T.エルーが電解製錬法を確立し、これが現代のアルミニウム製造の礎となりました。
この方法では、酸化アルミニウムを高温で融解し、電流を流して電気分解することでアルミニウムを取り出します。
日本では、アルミニウムの製造が1890年代に始まりましたが、初期の製品は耐久性が低く、主に日用品や装飾品として使われていました。
1936年、海軍の要請により開発された耐久性に優れた「超々ジュラルミン」の開発により、アルミニウムは航空機材料としても重宝されるようになり、需要が急増します。
戦後、航空機需要の減少により一時的に衰退したアルミ産業でしたが、産業機械や電気通信などの分野の発展に伴い、生産量は回復しました。
アルミニウムはその軽さや加工性の良さから、これからも私たちの生活に密接に関わりながら時代と共に発展していくことでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「軽金属」の概要と、重金属との違い、代表的な3つの軽金属の歴史を紹介しました。
軽金属と重金属が比重で分けられていることが理解できたのではないでしょうか。
軽金属は長い歴史の中で、人類の生活の進化を助けてきました。
それは、これからも変わらず続いていくことでしょう。
私たちの生活を支えてくれている軽金属が枯渇しないように、リサイクルについての理解が必要です。
弊社、株式会社三和鍍金では、創業から70年以上表面処理に携わり、表面処理以外にも環境保護につながる剥離事業、有価物買取も対応しています。
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