冬の生活とメッキの意外な関係|私たちの暮らしを支える技術
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冬の生活の中で、何気なく使っている製品の多くに「メッキ技術」が活用されていることをご存じでしょうか。
メッキは「ピカピカにする技術」というイメージがありますが、サビを防いだり、熱を効率よく反射させたりと、冬ならではの役割も果たしています。
本コラムでは、冬に活躍するメッキ技術の意外な役割をご紹介いたします。
三和鍍金では電解研磨を含む50種類以上の表面処理を手掛けております。お見積もりのご相談など、お問い合わせはお気軽にどうぞ。
暮らしのメッキとして、YouTube動画でも「ステンレスチェアの鏡面仕上げ」を公開していますので、ぜひご覧ください。
目次
私たちの冬を支える、3つの身近なメッキ技術

メッキ技術は、冬特有の厳しい環境から製品を守ったり、機能を高めたり、美しく彩ったりと、様々な役割を担っています。これから3つの具体例を通じて、それらの役割を見ていきましょう。
ケース1:自動車(融雪剤の「塩害」から車体を守る防食メッキ)
冬の雪道に欠かせない融雪剤ですが、実は自動車にとっては大敵です。
融雪剤の主成分は塩化カルシウムなどの「塩」であり、この塩分が車の金属部品に付着すると、サビを急速に進行させてしまいます。特に、下回りやマフラー、ホイールのメッキ部分などは、融雪剤による「塩害」を受けやすい箇所です。
こうした塩害から車体を守るために、自動車の部品には、亜鉛メッキやニッケルメッキなどの「防食メッキ」が施されています。
防食メッキは、金属の表面を薄い膜でコーティングすることで、酸素や水分、塩分が直接金属に触れるのを防ぎ、サビの発生を抑える役割をもちます。
冬の厳しい環境下でも、私たちの愛車を長く守り続けているのが、この防食メッキなのです。
※各メッキについての詳細は下記リンク先の詳細記事でご覧ください。
・亜鉛メッキ:『【基礎中の基礎!+α】亜鉛メッキについて』
・ニッケルメッキ:『【基礎中の基礎!】ニッケルメッキについて』
ケース2:暖房器具(ストーブの熱を無駄にしない反射メッキ)
冬の暖房器具として活躍する石油ストーブや電気ストーブには、背面や内部に銀色に輝く「反射板」が取り付けられています。この反射板にクロムメッキなどの表面処理が施されているのは、単に見た目を美しくするためではありません。
メッキには、熱(赤外線)を鏡のように効率よく反射させる性質があります。
これにより反射板のメッキは、ストーブから放出される熱を前方に集中させ、部屋全体を効率よく暖める役割を果たします。
メッキがなければ、熱は四方八方に散ってしまい、暖房効率が大幅に低下してしまうことでしょう。
つまり、ストーブの反射メッキは、冬の暖かさを支える縁の下の力持ちです。
※クロムメッキについては、『【基礎中の基礎!】クロムメッキについて』の記事でもご覧いただけます。
ケース3:アクセサリー(クリスマスを彩る「ピカピカ」の装飾メッキ)
冬のイベントといえばクリスマスですが、この時期に贈られる指輪やネックレス、イヤリングなどのアクセサリーにも、メッキ技術が欠かせません。
アクセサリーに施されるのは「装飾メッキ」と呼ばれるもので、金属の表面に金や銀、ロジウムなどの薄い膜をコーティングすることで、美しい輝きを生み出す技術です。
装飾メッキは、見た目の美しさだけでなく、金属の変色や劣化を防ぐ役割も担っています。
冬は室内外の温度差による結露が発生しやすく、アクセサリーが湿気にさらされる機会も増えますが、メッキがあることで金属の酸化を防ぎ、輝きを長く保つことが可能です。
※各コーティング金属についての詳細は下記リンク先の詳細記事でご覧ください。
・金・銀:『【金属の特徴】メダルの色!金・銀・銅』
・ロジウム:『【金属の基礎知識】ロジウムの特徴と用途を解説!』
メッキ製品を冬に長持ちさせる、2つのお手入れ知識

ここでは、厳しい冬の季節を通して大切なメッキ製品を長持ちさせるための、簡単なお手入れ方法をご紹介します。
知識1:自動車(融雪剤は「できるだけ早く洗い流す」)
融雪剤が撒かれた雪道を走った後は、できるだけ早く洗車することが重要です。
融雪剤の主成分である塩分は、車体に付着したまま放置すると、防食メッキを施していてもサビを進行させてしまいます。
洗車の際は、特に「車の下回り」を念入りに洗い流すことがポイントです。下回りは融雪剤が最も付着しやすく、サビが発生しやすい箇所です。
こまめなお手入れが、愛車を冬の塩害から守る最善の方法です。
知識2:アクセサリー(「拭く・密閉する」で変色防止)
アクセサリーのメッキを長持ちさせるには、使用後のお手入れが大切です。
使用後は、汗や皮脂、水分(結露など)を柔らかい布で優しく拭き取りましょう。
保管する際は、空気に触れないよう密閉できる袋やケースに入れることで、酸化による変色を防げます。
もし変色してしまった場合は、中性洗剤を薄めたぬるま湯でつけ置き洗いする方法もあります。
日々の気配りが、美しい輝きを保つ秘訣です。
まとめ
今回は、冬の暮らしを支えるメッキ技術についてご紹介しました。要点を以下にまとめます。
【要点】
・自動車の防食メッキ:融雪剤による塩害から車体を保護
・ストーブの反射メッキ:熱を効率よく反射させ、暖房効率を向上
・アクセサリーの装飾メッキ:美しい輝きの演出と変色防止
・冬のお手入れ:自動車は早めの洗車、アクセサリーは拭き取りと密閉保管
メッキ技術は、単なる装飾ではなく、冬特有の厳しい環境から製品を守り、機能を高める縁の下の力持ちです。
弊社、株式会社三和鍍金は、創業から70年以上表面処理に携わり、様々な製品の品質向上にお応えしてきました。
メッキや表面処理をご検討の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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