【疑問】プラスチックの性能は何で決まる?
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※2023年9月21日に加筆修正致しました。
こんにちは。
群馬県高崎市にて表面処理を営んでおります、(株)三和鍍金と申します。
本コラムは事業統括部の柳沢が解説いたします。
さて、今回は弊社でも扱っているプラスチックメッキにかかわる、プラスチックの性能についてのコラムです。
弊社ではプラスチックメッキも承っておりますのでお気軽にお問合せ下さい
【ABS?PC-ABS?】プラスチックの種類というコラムにて様々なプラスチックを紹介しましたが、
硬度や耐摩耗性など、与えられたそれぞれの性能は何に起因しているのでしょうか。
今回注目するキーワードは3つ、モノマー・フィラー・安定剤です。
それではひとつずつ見ていきましょう。
プラスチックとは何か
プラスチックって聞いたことあるけど詳しく説明できない…という方は下記コラムをご参照ください。
言葉通り、私たちの生活を様々な場所で支えている汎用素材です。
このコラムを読んでいるあなたも、周りを見渡せばそこかしこにプラスチック製品があるはず。
そして、まさに今執筆している私はプラスチックでできたキーボードを叩き、
アップロードされればプラスチックの塊であるPCやスマホで皆さんはこのコラムを読むわけです。
最も身近な工業素材と言っても差し支えないかもしれませんね。
プラスチックの要素
プラスチックには様々な種類があります。
種類によって使われる場所や用途、素材自体の金額も異なってきます。
プラスチックの種類についてはこちらのコラムをご参照ください。
使われる場所や用途が異なるのは、それぞれの性能が異なるからです。
では、なぜ性能が異なるのでしょうか。
その理由はプラスチックの組成に隠されています。
モノマー(単量体)
皆さんは、ヒトの身体が何からできているかご存知でしょうか。
「眼・手・心臓などの器官」や「タンパク質」など、指標のレベルはいくつもあれど、最小の単位は「原子」ですよね。
この世のすべてのものは、何かの原子から成っています。
プラスチックも同様に、もちろん最小の単位は原子です。
では、その次の単位はなんでしょうか。
それが、このパラグラフの見出しにもなっている「モノマー」になります。
たとえば、ポリエチレンというプラスチックがあります。
このポリエチレンはエチレンというモノマーから成っているプラスチックです。
そして、エチレンは炭素原子と水素原子から成っている化合物なのです。
このとき、ポリエチレンのことをポリマーとも呼びます。
「高分子ポリマー」とか、どこかで耳にしたことはありませんか?
ポリマーというのはモノマーの集合体のことを言います。
「mono」というのは単一のという意味をもつ接頭辞であり、「poly」というのは多量のという意味をもつ接頭辞です。
モノマーがたくさん集まったものがポリマーでありプラスチックであるということですね。
ちなみに、この「集まる」動作のことを「重合(polymerization)」と呼び、したがってポリマーは重合体とも呼ばれます。
もうお分かりの通り、モノマーはプラスチックの材料の大きな部分を占めます。
料理でいえば食材そのものです。
何か作りたい料理があった場合、味付けが異なるならまだしも、使う食材が異なってしまえば全く別の料理ができてしまいますよね。
同様に、プラスチックにおいても性能を決定する最も重要な因子になります。
フィラー(充填剤)
先の料理でいえば、ここから以降の因子は味付けにあたります。
ただし、このフィラーというのは、味付けの中でも最も重要な役割を果たしています。
塩や出汁みたいなものですね。
フィラーはプラスチックに混ぜることで様々な機能をもたせることが出来ます。
強度向上、耐熱性向上、表面平滑度向上、気体の遮蔽効果向上、などなど。
様々な種類があり、それぞれもつ効能が違います。
ただし、入れれば入れるほど性能が向上するわけではなく、塩を入れすぎると料理として破綻してしまうのと同じで
フィラーを入れすぎると、プラスチックの形成自体が難しくなってしまいます。
適量というのがミソなわけです。
また、形状やサイズも、それぞれのフィラーで異なります。
形状は大きく分けて球状・針状・板状と3パターンあり、用途によって用いられる形状の傾向が変わります。
サイズも同様にナノフィラー・ミクロフィラー・マクロフィラーと3種類あり、各々扱いやすさに違いがあります。
具体的にいくつか例を挙げると、
強度向上・・・ガラス繊維、チタン酸カリウム
遮音性向上・・・硫酸バリウム
難燃化・・・酸化アンチモン、水酸化アルミ
導電性・・・カーボンブラック、金属粉
などがあります。
導電性!?!?!?
と私は思いましたが、皆さんはいかがでしょう。
カーボンブラックなどのフィラーを加えることで、導電性プラスチックという不思議な物質が出来上がるのです。
まさに常識を覆すフィラー、おそるべし。
安定剤
最後は安定剤です。
こちらも料理でいえば調味料の一種で、プラスチックを恒常的に長く使うために必要な添加剤になります。
金属や木材など、あらゆるものは様々な要因によって劣化していきます。
プラスチックも例に漏れず、劣化を免れることはできません。
それは空気による酸化であったり、紫外線・熱による消耗であったり、継続的使用による疲労であったり。
劣化を完全に止めることは難しいと言えますが、遅らせることは可能です。
酸化防止剤や紫外線吸収剤、可塑剤などの安定剤を使う場所や用途に応じて適量を配合することによって
上記のような劣化環境でも長期間使用することが可能になるのです。
いかがだったでしょうか。
弊社ではABS樹脂やPC-ABS樹脂にプラスチックメッキを施すことが可能です。
金メッキやクロムメッキ、扱っている業者が少ないサチライトメッキなど、
樹脂製品に対してお客様のニーズに合った表面処理を行います。
対応可能寸法など、詳しくは下記リンクよりご覧ください。
それではまた次回!
執筆者プロフィール
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新卒として入社後、現場での業務経験を活かし現在は営業として活動しながらコラムを執筆。塾講師・家庭教師の経歴から、「誰よりもわかりやすい解説」を志している。
また、多数の人気コラムを生み出すだけでなく、YouTubeの元編集者・現プレスリリース執筆者。コラム・YouTube・広告等のプロモーションを手掛けた本HPは流入ユーザー数前年比1,150%アップという偉業を達成した。
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