【いつまで続くの?】自動車の半導体不足が起きた4つの原因をわかりやすく解説
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※2023年9月22日に加筆修正致しました。
各自動車メーカーの納車時期が「世界的な半導体不足」を理由に遅れています。
早いものでも1ヵ月、車種によっては製造を中止しているものも。
では、自動車の生産に影響を与えている半導体の不足はいつ解消するのでしょうか?
こちらの記事では
●半導体不足が自動車の生産に与える影響
●半導体不足が起こった4つの原因
●半導体不足はいつ解消するのか
について解説します!
この記事を読めば、コロナ前から現在にかけて自動車が生産できない理由がわかりますよ。
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目次
半導体不足が自動車の生産に与える影響
半導体は私たちの暮らしのあらゆる部分に存在しており、不足すると生活や仕事に大きな影響を与えます。
こちらではまず
●半導体とは何か
●半導体と自動車の関係
について解説します。
半導体とは 何か
鉄や銅など電気を流せるものは導体、ゴムや木など電気を流せないものを絶縁体といいます。
半導体は、両方の性質を持っているもののことで、おもな材料はシリコンです。
シリコンといっても、キッチングッズによく利用されている柔らかい素材とは別物です。
このシリコンに金属の不純物を混ぜることで、電気が流れるようになります。
スマートフォンや車、家電など、電気で動く製品には半導体が使われています。
半導体は私たちの暮らしに欠かせないものなのです。
自動車と半導体の関係
では、自動車と半導体にはどのような関係があるのでしょうか。
実は、自動車1台の製造には多くの半導体が使われているのです。
半導体が使われている部分の例
●エンジン
●ブレーキ
●バッテリー
●オーディオ
●エアコン
ドアミラーの開閉やエアバッグのセンサーなどにも半導体が利用されています。
車のあらゆる部分は、半導体によってコントロールされているのです。
半導体不足が起こった4つの原因
半導体の不足によって自動車の生産数が減少しています。
不足の原因は、需要の拡大や新型コロナによる市場の変化、半導体工場の火災など複数の要因があります。
こちらでは半導体が不足に陥っている以下4つの原因について解説します。
●半導体需要の拡大
●新型コロナウイルスによる需要の変化
●アメリカの半導体輸出規制
●災害による半導体工場の操業停止
半導体需要の拡大
半導体が不足しているもっとも大きな原因は、需要に対して供給体制が追いついていないことにあります。
2020年時点で半導体市場はおよそ50兆円の規模ですが、10年後の2030年には倍の100兆円規模まで成長していると考えられており、半導体不足の傾向は今後も続くことが予想されます。
出典:経済産業省「半導体戦略(概略)」2021年6月
このように急激に半導体市場が拡大している背景には、通信システムの5G移行、企業のDX化の推進、テレビや電機などのIoT化の進行があります。
自動車においても、自動運転の技術の開発が進んでおり、実現するにはさらなる半導体が必要になります。
自動車の生産台数が増えていなくても1台当たりに使われる半導体の数が増えることになり、結果として半導体不足が起こるわけです。
新型コロナウイルスによる需要の変化
通信システムの5G移行や、企業のDXが進む中、半導体が不足していました。
そこに追い打ちをかけたのが、新型コロナウイルスの世界的な流行です。
外出が減り車の販売数が落ちたのに対し、在宅での仕事やオンライン授業の増加などパソコンの需要が急増。
半導体を使った製品の需要に偏りが起きました。
メーカーは、車向けの半導体の製造ラインの一部をパソコンやスマートフォン向けの半導体を作る設備に作り変え、対応を行いました。
しかしワクチンの普及や外出制限の緩和によって車の需要が急回復する中、製造体制が追いつかず、自動車用の半導体がさらに不足することになってしまったのです。
アメリカの半導体輸出規制
半導体不足には、中国に対するアメリカの輸出規制も大きな影響を与えています。
半導体はパソコンや自動車だけでなく、戦闘機やミサイルの制御システムにも利用されます。
このことから、アメリカは安全保障を理由に、中国に対して半導体の輸出制裁を行いました。
半導体の輸出制裁はトランプ政権時代にはじまり、バイデン政権になってからより強化されました。
2022年10月には規制対象とする半導体の種類や用途を拡大し、さらに厳格な規制となっています。
この規制に日本やオランダも追随し、世界の市場における半導体の供給バランスに影響を与えています。
災害による半導体工場の操業停止
需要の増加や新型コロナウイルスの打撃にさらに追い打ちをかけたのが、災害です。
火災による生産ラインの消失や、寒波による停電で半導体工場は大きな打撃を受けました。
火災と寒波によって被災した工場
●2020年10月 旭化成の半導体製造工場で火災が発生
●2021年2月 アメリカ・テキサス州で大寒波が発生。複数の半導体時工場が稼働を停止
●2021年3月 ルネサスエレクトロニクスの半導体製造工場で火災が発生
特に旭化成エレクトロニクスとルネサスエレクトロニクスは、自動車向けの半導体を製造する工場であったため、自動車産業への影響が大きくなっています。
半導体不足の解消は2025年以降
ここまで半導体が不足している理由について見てきました。
自動車の生産は、部品の在庫を持たず必要なときに必要な分だけ調達する「ジャスト・イン・タイム」方式で行われており、今後もしばらくは生産が追いつかないことが予想されます。
では、半導体不足と自動車の減産はいつまでつづくのでしょうか?
IntelのCEOであるパット・ゲルシンガー氏は、インタビューの中で「2024年いっぱいまで半導体は不足するだろう」と見解を述べています。
以下では半導体不足の解消につながる
●半導体大手メーカーTSMCの新工場建設
●日本メーカーによる半導体の新規製造
について解説します。
半導体大手メーカーTSMCが新工場を建設
2024年いっぱいまでの不足が予想される背景には、半導体の大手メーカーTSMCの新工場が関係しています。
TSMCは半導体不足の解消と今後の需要増大に向けて、台湾国外への工場建設を進めており、その稼働が2024年末とされているのです。
新工場はアメリカのアリゾナ州と日本の熊本県の2カ所。
特に熊本県の工場では、自動車向けの半導体の製造が予定されているため、完成すれば自動車の生産数が回復することが見込まれます。
熊本県に建設中の工場の近隣には、第2工場の建設も予定されており、半導体不足への期待が高まっています。
日本メーカーによる半導体の新規製造
現在、半導体の製造は台湾をはじめとする海外企業が担い手になっています。
そのような状況の中、日本の大手企業8社と日本政府が共同出資し、半導体メーカー「ラピダス」が設立されました。
かつて日本は半導体で世界トップシェアを誇っており、1988年の世界の半導体市場におけるシェアは、およそ50%でした。
しかし生産数は徐々に減少していき、2022年にはわずか6%ほどにまで落ち込んでいます。
日本には半導体を製造するための装置や主要な部品を製造する企業が多く集まっているため、「ラピダス」の設立は国産の半導体のシェア向上に期待が寄せられています。
自動車の生産は2025年に回復の見込み
半導体の不足は、需要に対する生産体制の不足や新型コロナウイルスの影響、貿易摩擦など複雑な要因が絡んでいます。
大手メーカーのTSMCが新工場を建設し増産体制を整備している、日本企業も国産半導体の製造に乗り出すなど、各方面で半導体の製造環境が整えられつつあります。
2025年には半導体不足の解消、自動車の生産体制の回復が期待できそうです。
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