【シーズニングのやり方】キャンプ前の準備を表面処理のプロが原理を踏まえて解説
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今回はYoutubeで取り上げたシーズニングについてコラムを書きたいと思います。
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皆さんは新しく購入した鉄の調理器具がすぐに焦げ付いてしまったりさび付いてしまったりした経験はありませんか?
このコラムを最後まで読んでいただくとシーズニングの必要性や原理を理解できるとともに実際の検証によってさらに理解を深めていただくことができると思います。
シーズニングは普段使用する調理器具にも使用できますので是非お試しください。
使用する鉄板について
今回使用する鉄板は100円ショップのダイソーで購入してきた
リフター付のバーベキュー用ミニ鉄板で、100円商品になります。
まずはシーズニングをせずに鉄板でお肉を焼いてみましたが鉄板にお肉がくっついてしまい取れにくくなってしまいました。
ではシーズニングについて図解で説明していきたいと思います。
シーズニングの意味
そもそもシーズニングには二つの意味があります。
英語でseasoningを訳すと【調味料】や【乾燥】という意味があります。
この意味から乾燥させた粉末状の調味料とという意味と
鉄製の調理器具を乾燥させて油慣らしする作業もシーズニングと呼ばれています。
シーズニングの目的
シーズニングをする目的は2つあります。ひとつは表面についているサビ止めのワックスや油を取り除くことです。
鉄製の調理器具は市場に出る際に錆止めのワックスや油が塗られています。
もしそのまま使用してしまうとワックスや油が食材にしみだして付着してしまいます。
二つ目は油慣らしをすることでサビや焦げ付きを防ぐことです。
油がなじむことで油の膜を張ることができ、錆の原因である酸素を遮断することができます。
シーズニングの原理
シーズニングの原理についてお話していきます。
まず、シーズニングの初めに調理器具をしっかり洗って油分を落とし、熱するという工程をするのですが
この工程では錆止めのワックスや油を取り除くとともに、熱で黒錆をわざとつけるという工程を行います。
黒錆は約600度ぐらいまで温度が上がった状態で酸素と触れ合うとできるものです。
黒錆と言っていますが実際は少し青みがかった灰色でこれが鉄の表面にできあがると
酸素に対して安定した状態になり、浸食性のある赤錆が付きにくくなります。
次に油を薄く塗って焼くことによって油の一部の成分が煙を出して鉄製の調理器具の表面に残った炭化物が小さな穴が開いた状態の炭化皮膜を構成して色が黒くなっていきます。
この膜でコーティングされることにより、油の持続力がアップします。
そのため食材を焼くときに十分に調理器具との間に油が保たれ、焦げ付きにくくなります。
何回か油を薄く塗って焼くという作業をすることによってどんどん炭化皮膜の穴に油が流れ込んでいくので
使えば使うほどより焦げ付きにくい調理器具に育っていきます。
シーズニングの様子
実験結果比較
シーズニングをしたものでも同じように鉄板を使用してみました。
焼いた後の鉄板の状態を比較してみます。
シーズニングなしの鉄板は鉄板の表面にお肉がくっついてしまっているのが分かると思います。
一方シーズニングをしたところわずかに残ってしまいましたがほとんどくっつかずに使うことができました。
次に焼いた後の洗浄のしやすさを比較してみます。
シーズニングなしの鉄板は洗うことはできましたが時間がかかってしまいましたが
一方シーズニングをした鉄板は簡単に洗浄することができました。
安価な鉄板でもこういった表面処理ひとつで繰り返し実用性のある鉄板として使うことができます。
また、今回はミニ鉄板で解説していきましたが、ご自宅で使用する鉄のフライパン等にも代用できますのでぜひお試しください。
今回は身近な表面処理について解説していきましたが弊社では様々な金属表面処理が可能です。
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執筆者プロフィール
- 金属表面処理の様々な疑問・基礎知識や、創業から70年以上培ってきたノウハウについて「誰にでもわかりやすく」をモットーに執筆しています。
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