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columnメッキライブラリ

2022.09.30

【知ってる?】ステンレスの酸化発色【三和鍍金】

こんにちは。

群馬県高崎市の表面処理業者、(株)三和鍍金と申します。

本コラムは事業統括部の柳沢が解説いたします。

皆さん、「酸化発色」って聞いたことがありますか?

ステンレスに対しておこなうことができる技術で、様々な色や見た目で装飾性を付与することができます。

最近よくお問合せをいただくこの処理、どんな処理なのかご説明いたします。

酸化発色って何?

仕組み

まずは酸化発色の仕組みについて簡単にご説明します。

酸化発色はステンレスがもつ酸化皮膜(不動態化皮膜)を強化し、さらに錆びにくくするのと同時にその干渉色によって色をつける処理となります。

ステンレスはニッケルやクロムなどの酸化皮膜を形成しやすい鉱物を含有している合金鋼で、その元来の酸化皮膜によって錆に比較的強いことで知られていますが、

酸化発色という処理によってその皮膜を厚くし(100倍~)に色を付けることができるというわけです。

干渉色というのは、光同士が干渉しあうことでそれぞれの光の組成が変化することで見える色のことで、この干渉色は角度によって実際に見える色が異なります。

シャボン玉やCDの裏面など、虹がかって見えつつ、角度によってはさっきまで青色だったところが黄色に変わるのが見てとれます。

これこそが干渉色という色なのです。

また、酸化発色の用途としては意匠性のUP視認性の改善が多くを占めます。

元々あまり業界的に認知されていなかったニッチな処理でしたが、下に挙げる多くのメリットによって、様々な業界で導入が進んでいます。

メリット

酸化発色のメリットはいくつもありますが、代表的なものをご紹介します。

1、色がダーク調で美しい

・塗装のようなビビッドな色合いではなく、シックでダーク調な落ち着いた色合いです。

2、膜厚が薄いため公差等への影響が少ない

・膜厚は1μを下回るため、寸法への影響はありません。

3、人体に優しい

・皮膜はステンレス成分そのままですので、有害物質や不純物を含んでおりません。

4、耐食性が上がる

・ステンレスを錆から守っている起因の皮膜を厚くするため、耐食性が上がります。

デメリット

対して酸化発色にはデメリットもございます。

1、どんな色でもできるわけではなく、また経年による色の変化はしやすい

・塗装のように調色することはできません。

・皮膜の酸化が進むことによって、つまり経年によって表面の色の見え方が変わります。

2、技術的に難しく扱っている業者がごく僅かのため、処理単価が比較的高額

・安定した品質で供給するには高度な技術力が必要で、それゆえ処理コストが高いと言えます。

3、色をビビッドにはできない

・塗装のように明るい発色はできません。

4、耐食性の上げ幅は少ない

・耐食性を主たる目的とした処理ではないので、あくまで付随する機能としてお考え下さい。

よくある質問

ここからは実際に私が問い合わせを受けてきた中で、頻繁にご回答していたものをご紹介します。

Q:医療や食品関係に使用できる?

A:使用できます。多数の実績がございます。

Q:剥がれることはある?

A:皮膜の特性上、剥がれることはありません。色落ちしてしまうことや摩耗によって削られてしまうことはあります。

Q:納期はどれくらいかかる?

A:形状やロット数に依存するため一概には言えませんが、最短で1週間ほどとなります。

Q:色はどんな色がある?

A:青・黄・赤・緑をはじめとしておよそ23色のカラーバリエーションがございます。詳しくはお問い合わせください。

Q:酸化発色黒と黒染めとの違いは?

A:黒染めも酸化皮膜によってステンレスや鉄を黒く見せる処理ですが、酸化発色の皮膜が透明膜であるのに対し、黒染めの皮膜は皮膜自体が黒く、干渉色によって黒く見せているわけではありません。意匠性は酸化発色黒に軍配が上がりますが、処理コストは黒染めに軍配が上がります。

Q:耐食性はある?

A:ございます。が、前述しております通り、処理の主な目的は意匠性UPのため耐食性UPを目的とする場合は電解研磨等、他の表面処理をお勧めいたします。

電解研磨についてはこちら

Q:対応可能な材質は?

A:以下をご参照ください。

オーステナイト系(SUS304、SUS316等):最適

フェライト系(SUS430、SUS444等):良好

マルテンサイト系(SUS410、SUS420J2等):不適

※マルテンサイト系については灰黒色となってしまいます。

Q:気をつけるべきことはある?

A:以下の注意点をご参照ください。

①鋳造品、溶接品、2つ以上の部品から成る構造物は、発色不良・色ムラが発生いたします。

②同じ製品でも材料ロットが異なる場合、仕上がりの色が異なってしまいます。

③発注時、製品とは別に、製品材料ロットごとに色合わせ用の端材が数個必要です。

不明点は別途お問い合わせください。

いかがだったでしょうか。

弊社でも酸化発色処理の取り扱いがございますので、お気軽にお問い合わせください。

営業担当:柳沢

連絡先:yanagisawa_k@sanwamekki.com

ご連絡をお待ちしております。

それではまた次回!

PROFILE

柳沢 寛太
柳沢 寛太
新卒として入社後、現場での業務経験を活かし現在は営業として活動しながらコラムを執筆。塾講師・家庭教師の経歴から、「誰よりもわかりやすい解説」を志している。
また、多数の人気コラムを生み出すだけでなく、YouTubeの元編集者・現プレスリリース執筆者。コラム・YouTube・広告等のプロモーションを手掛けた本HPは流入ユーザー数前年比1,150%アップという偉業を達成した。
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