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columnメッキライブラリ

2022.05.31

【まるでお城!?】アンティークと言えば古美色メッキ!!

みなさん、こんにちは。

群馬県高崎市にて表面処理業をしています(株)三和鍍金の古島です。

最近、エイジングという言葉を聞く機会が増えましたよね。

熟成肉をエイジングビーフと呼んだりもします。

エイジングは英語でAGINGであり、歳をとるや経年劣化を意味します。

ここからわかる通り、エイジング塗装とは家具などを使い古されたように見せるため、わざと色を褪せさアンティーク調にすることです。

今回はこのエイジング塗装の一つである「古美色メッキ」を解説していきます。

古美色メッキとは

古美色メッキの「古美色」は漢字から読み取れるように古く美しいということです。

古美色メッキは銅メッキや銀メッキ、真鍮メッキなどの表面処理をした後に黒皮皮膜を付与し、その黒皮皮膜を部分的に研磨します。

そのままだと耐食性が劣っているため、最後にクリア塗装をする必要があります。

実は知らないだけで以外と身の回りで古美色メッキが使われているのを知っていましたか。

私は中学・高校とキリスト教の学校に通っており、礼拝堂での礼拝が週2回ありました。

その当時はよくわかりませんでしたが、今思えば礼拝堂の至る所で古美色メッキが使われていました。

このようにふとしたところに古美色メッキはあります。

ちなみに古来、日本では「古手処理」という金や銀に古色をつける技術がありました。

この古手処理が古美色メッキの源流であると言われています。

古美色メッキの目的

古美色メッキは装飾メッキの一種ですので、外観を気にされる方が多いですよね。

ちなみに、実は弊社でも装飾メッキである装飾クロムメッキをしています。

ご興味のある方はこちらもご覧ください。

古美色メッキは黒皮皮膜を適度に残すことにより長い年月を経たような色味を出すことを目的としています。

例えば、明るい感じの色にしたい場合は黒皮皮膜の部分を少なくし、メッキ箇所がよく見えるようにします。

また、暗い感じの色にしたい場合は黒皮皮膜の部分を多くし、メッキ箇所を見えにくくします。

このように、黒皮皮膜の濃淡の濃さ加減により自分に合った調色が出来るのが古美色メッキの魅力です。

※弊社では上の写真の銅メッキも行っておりますので気になる方はこちらもご覧ください。

古美色メッキの色合い

古美色メッキは古風な色合いから、アンティーク調の家具や装飾品に主に使用されています。

では、具体的にはどのような色の種類があるのかを見ていきます。

銅古美色

お財布の中を見ていただくとわかると思いますが、少し古い10円玉のような色をしています。

その重厚感のある色合いから銅古美色はミール皿やチェーン類に使用されています。

銅は使えば使うほど味が出ることで有名ですが、殺菌作用もあるのが特長です。

銀古美色

銀古美色は落ち着いた古風な雰囲気から和室の取っ手や懐中時計などに使用されています。

ちなみに、私の校章バッジは銀古美色でした。

学校の伝統を重んじる古風なイメージを持たせているのだと今になって感じます。

真鍮古美色

私は幼い頃にお城に住んでみたいと思ったことがあります。

皆さんはどうですか?

真鍮古美色はそんな夢物語を実現させてくれるのです。

真鍮古美色は金系統の色をしており、城や宮殿にあるような椅子や階段の手すりに使用されています。

本コラムのタイトルにもあるようにこの真鍮古美色メッキを使用した家具で自分の家をまるで誰もが憧れるようなお城のようにすることができるのです。

古美色メッキの黒い部分

古美色メッキの黒い部分はどれも同じ処理をしていると思っていらっしゃいませんか?

古美色メッキの工程の中でアンティークな感じを出すため一度黒く処理をしますが、実はその処理方法は複数存在し、

どの処理を選ぶかによって見た目や性能は大きく変わってきてしまいます。

今回は、ブロンズメッキと黒ニッケルメッキの違いについて見ていきましょう。

どちらも黒くする処理ですが、それぞれに違った特長があるのです。

最終仕上げを銅古美色メッキとした場合の工程例は以下の通りです。

ブロンズメッキ

工程例:脱脂→銅メッキ→硫化処理(ブロンズメッキ)→研磨→クリア塗装

※硫化処理では特殊な薬品に着け、表面を薄く黒くします。

ブロンズメッキは別名GBメッキとも言われます。

GBとはGermanic Bronzeの略で、Germanicはドイツ人のやゲルマンのを意味し、Bronzeは青銅を意味します。

その由来はドイツ軍の戦車の色からきているという説もあります。

ブロンズメッキは防食性よりも外観に重きを置いており、経年変化によって時間が経つにつれて色が褪せていくため、徐々に変わる変化を楽しむことができます。

その一方で、高温で変色しやすいため高温での焼き付け乾燥仕上げが出来ない事がデメリットになっています。

デニムも履きこんで自分らしく育てると言いますから、同じようなものですね。

黒ニッケルメッキ

工程例:脱脂→銅メッキ→黒ニッケルメッキ→研磨→クリア塗装

黒ニッケルメッキはニッケルと亜鉛の合金メッキ、ニッケルとスズの合金メッキ、ニッケルとリンの合金メッキ等種類は様々です。

ブロンズメッキとは対照的に耐食性・耐変色性・耐熱性に優れています。

そのため、以前は銅古美色メッキの黒い部分の形成方法においてブロンズメッキの方が主流でしたが、最近では黒ニッケルメッキが増加しています。

経年変化を楽しみたい方はブロンズメッキ性能を重視したい方は黒ニッケルメッキという感じですね。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は古美色メッキについてご紹介させていただきました。

将来はアンティークな家具を揃え、お城のような豪勢な家に住んでみたいものです。

現状の私は、古美色メッキを使用した椅子を購入出来るように貯金をするのが精一杯ですが...。

夢への道のりは遠いものですね。

是非、古美色メッキが気になった方は弊社までお問い合わせください。

PROFILE

古島 義樹
古島 義樹
ソフトウェア開発会社にプログラマーとして在籍後、株式会社三和鍍金に入社。現場で経験を積み、現在は営業職に従事している。

表面処理については継続的に勉強中であり、0から学びたい方や調べてみたけどよくわからない方に寄り添った内容を心がけている。

ユーザーの要望や需要に沿ったソフトウェアの開発経験を活かし、メッキライブラリにおいてもユーザーニーズを満たす記事を目指す。
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