【高級装飾】金メッキと真鍮メッキの違い
こんにちは。
群馬県高崎市にて表面処理をおこなっております、(株)三和鍍金と申します。
本コラムは事業統括部の柳沢が解説いたします。
弊社では「金メッキ」「真鍮メッキ」の取り扱いがございますのでお気軽にお問合せ下さい

金メッキって皆様聞いたことがありますよね。
皆さん大好きな金が用いられているメッキですので、メッキ界では非常に高価な処理となりますが
金色の見た目をご希望の場合は、真鍮メッキという代替のメッキや銀鏡塗装など他の選択肢もございます。
今回は金メッキと真鍮メッキの違いと、その他金色にする手段について簡単に解説いたします。
金メッキや真鍮メッキの見た目についてはこちらの動画をご参照ください。
目次
めっきとは?
まず、めっきとは何かという部分をざっくりと説明します。
めっきとは電気的に或いは化学的に製品の表面に金属から成る薄い皮膜を作り出す処理のことを指します。
たとえば鉄の製品の表面に金属ニッケルの皮膜をつければそれはニッケルメッキと呼ばれ、
金属クロムの皮膜をつければクロムメッキと呼ばれます。
このめっきという表面処理は非常にたくさんの種類があり、たとえば同じクロムメッキでも工程によって皮膜の厚さが異なるのですが、
それぞれ薄い方を装飾クロムメッキ、厚い方を硬質クロムメッキと呼び、使用用途も全く異なってきます。
※厳密に言えばこの二つの処理ももっと細かい条件によって分かれています。
用途・目的に応じてめっき皮膜に必要な性能が変わってきますので、案件ごとに適切なめっきを選択することが非常に重要と言えます。
弊社では現在50種類を超える表面処理を取り扱っております。
社内外を含め迅速なネットワークにより短納期対応が可能ですので、金メッキ・真鍮メッキに限らずお気軽にご相談ください。
金メッキとは?

数ある表面処理の中でもかなりメジャーな処理と言えるかもしれない「金メッキ」ですが、
名の通り金属の金を皮膜として製品表面に析出させます。
金と言っても純金・24金と呼ばれる金の割合が99.9%以上の金から、
銀や銅など他の金属を一定の割合混ぜた10金や14金と呼ばれる比較的安価な金までいろいろあります。
詳しくは最後の「金について補足」で簡単にまとめたいと思います。
どの金を用いてめっきするかによっても価格は変わりますが、基本的に金メッキはめっきの中では高価なものとして認知されています。
ただ、もちろん製品すべてを金でつくるより、素材を別の金属で作ったうえで金メッキを施した方が
遥かに安い金額で製作できるため、本物の金の外観として金メッキ品はリーズナブルな金額で楽しむことができます。
また、今回フォーカスするのはあくまで美観を目的とした装飾金メッキですが、金がもつ性能を目的とした機能金メッキというものもあります。
金は耐食性、低接触抵抗、高接合性、高導電性、シール性、高周波特性、高反射性、熱伝導性などなど
多様な機能をもっている高機能な金属でもあるのです。
膜厚やその他仕様も異なりますので、「装飾金メッキならできるけど機能金メッキは不可」という業者様やその逆もいらっしゃいます。
弊社ではどちらの金メッキもご対応可能ですので、ご相談いただけますと幸いです。
今回ご紹介する装飾金メッキで言えば、膜厚は0.1μを下回るようなフラッシュと呼ばれる薄いものから
5μ程度まで幅があります。
もちろん膜厚が厚い方が金がたくさんついていると言えるので、コストが上がってきます。
逆に言えば、膜厚が薄いフラッシュ金メッキは金メッキの中でもリーズナブルな価格設定となっています。
さらに、金に配合されている他の金属や金自体の割合を変えることによって、純粋な金色からピンクゴールドなどの美しい色を表現することが可能です。
純粋な金という金属は変色しにくいのですが、金の割合や配合されている他の金属の種類によっては変色してしまうため、
めっき後に変色防止処理を施すことも珍しくありません。
真鍮メッキとは?
真鍮メッキとは金メッキの代替として知られる金属の真鍮を皮膜として製品表面に析出させるメッキです。
皆さんもご存知の通り、真鍮は金と似た綺麗な金色の見た目をしている反面、金と比較するとかなりコストが低いため、
より安価に金色の装飾を施したい場合は真鍮メッキという選択肢もよいでしょう。
たとえば市販されているもので金という表示なのにあまりに安いアクセサリーなどは、実は真鍮メッキを施している可能性がありますので注意が必要です。
真鍮は金よりも酸化しやすく変色しやすいため、変色防止のためにクリア塗装を施すことが多いです。
艶感はクリア塗装の光沢に依存してしまいますが、完全に空気と遮断することができますので
クリア塗装が剥げない限りはずっときれいな外観を維持することが可能です。
金メッキと真鍮メッキの違い

まず、そもそものめっき皮膜を構成している金属に違いがあります。
金メッキは金、真鍮メッキは真鍮を金属の皮膜として製品の表面に析出させています。
およそ金色というのはどちらも共通していますが、並べてみてみると金メッキの方がより黄色く見え、
真鍮メッキの方は少し白みがかっているように見えます。
また、前述した通りコストにも大きな違いがあります。
処理業者様によっても変わってきますのであくまでも目安ですが、金メッキの方が真鍮メッキの2倍以上のコストになることが多いです。
金メッキと真鍮メッキを比較検討する場合、その多くは装飾性を目的としていると思われますが、
「金」というより価値の高い金属をあえて用いることで、アクセサリーなどの装飾品はより一層の価値を創出できます。
逆にできるだけコストを抑えて金色の意匠性があるめっきを施したいという場合は真鍮メッキの方が適していると言えます。
その他の手段
実は他にも金属製品を金色にできる表面処理はいくつかあります。
簡単にご紹介させていただきます。
銀鏡塗装
銀鏡反応という化学反応を用いて金属光沢のある塗膜をつけることができる塗装法です。
あまりメジャーではないかもしれませんが、かなり意匠性の高い仕上がりとなります。
銀鏡反応とは簡単に言えば化学的に製品表面に銀を析出させる反応で、実は19世紀前半に発見された歴史の古い技術なのです。
析出した銀の皮膜の上に塗装をおこなうことで金色はもちろん、赤色や青色など金属光沢がありつつもビビッドな彩色を再現することが可能です。
工数と銀を用いる点で意外とコストがかかるというのが玉に瑕、というところでしょうか。
アルミ蒸着
銀鏡反応を利用した銀鏡塗装とほぼ同じ見た目になる表面処理としてアルミ蒸着というものがあります。
これは先ほどの銀鏡塗装と同じでめっきのように製品上に金属の皮膜を形成させるのですが、それが銀ではなくアルミでできています。
先ほどの銀鏡塗装は金メッキや真鍮メッキと同じようにめっき液中に製品を浸漬させて処理をおこないますが、
このアルミ蒸着は真空容器の中に製品を入れて、アルミに高電圧をかけて蒸散させ、製品にまとわせるというまた少し変わった方法の表面処理です。
アルミ真空蒸着だけでなく、PVDコーティングなども蒸着法と呼ばれる乾式めっきに該当しますね。
めっき液を用いないめっきです。
このアルミ蒸着も銀鏡塗装と同様に上から塗装をおこなうことで、金色やその他金属光沢のある彩色を表現可能となっています。
大きな真空装置に製品を入れて処理をおこなうのですが、その釜一式の価格が決まっていますので、ロットが小さい製品はコストメリットが見い出せない場合が少なくありません。
自動車のヘッドライト内部などにも用いられている表面処理ですので、その光沢もとい意匠性は折り紙付きですので、
製品の発注数がまとまっている場合は選択肢のひとつになりうると思います。
余談ですが、クロムメッキ・銀鏡塗装のシルバー・アルミ蒸着のシルバーはほとんど見た目に変化がないと言われています。
形状やロットにもよりますが、基本的にはクロムメッキが最も安価です。
蒸着法についてはこちらのコラムをご覧ください。
金張り
読んで字のごとく、金伯を張ることによって金色の見た目にするという表面処理です。
これは残念ながら弊社及び協力工場様でも取り扱いがありませんが、アクセサリーなどにはよく用いられている技術となります。
張るといっても「貼る」わけではなく、熱と圧延によって合金化接合させるために剥がれやすいものではありません。
金メッキと比較した時に膜厚が厚く、イコール金の総量が多いために価値が高いなどメリットもありますが、
複雑な形状には適していないなどのデメリットもあります。
金について補足
金という金属は基本的に合金という他の金属と混ぜ合わせた形で色々な加工がされています。
さっくりとまとめて解説します。

24K・純金
純度99.99パーセント以上のものを指します。
金という金属がそもそもかなり柔らかいため、他の物質がほぼ存在しない24Kは柔らかすぎてアクセサリーなどにはあまり用いられません。
金のインゴッドや金貨などに用いられています。
18K・18金
純度75パーセントのものを指します。
純金と比較するとアクセサリーに用いられることも増え、その耐変色性や硬度、また低アレルギー性も日常使いすることに適していると言えます。
貴金属でありアレルギー性の低い金の純度が下がれば下がるほど、合金としての金のアレルギー性は高まってしまいます。
他にも14Kや10Kなど、金の純度によってさらにほかの区分があります
GFとGPってなに?
金のアクセサリーにはほぼ必ず表記されているこの2つの表示。
GFはゴールドフィルド、GPはゴールドプレーテッドを指し、それぞれ和訳すると「金張り」と「金メッキ」になります。
そうです、前述した2種類が実は皆さんの身近なところに表されているのです。
その内容は既に解説した通りですが、使われている金の総量によって販売価格はGF>GPとなることが多いです。
ピンクゴールドなど、その他の色
金に特定の色をもつ金属を混ぜることによって、意匠性の高いカラーリングが可能です。
金+銅=ピンクゴールド
金+銀+銅=イエローゴールド
金+パラジウム=ホワイトゴールド
ちなみにそれぞれの割合を変えるだけでグリーンゴールドやレッドゴールドなど、
他の色味を表現することもできてしまいます。
いかがだったでしょうか。
弊社では金メッキ・真鍮メッキをはじめ、その他装飾メッキを複数取り扱っております。
お気軽にお問い合わせください。
それではまた次回!
PROFILE

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新卒として入社後、現場での業務経験を活かし現在は営業として活動しながらコラムを執筆。塾講師・家庭教師の経歴から、「誰よりもわかりやすい解説」を志している。
また、多数の人気コラムを生み出すだけでなく、YouTubeの元編集者・現プレスリリース執筆者。コラム・YouTube・広告等のプロモーションを手掛けた本HPは流入ユーザー数前年比1,150%アップという偉業を達成した。
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