【知る人ぞ知る】黒ニッケルメッキの魅力【ガンメタ】
※2023年9月22日に加筆修正致しました。
こんにちは。
群馬県高崎市にて表面処理をおこなっております、(株)三和鍍金と申します。
本コラムは事業統括部の柳沢が解説いたします。
さて今回は「黒ニッケルメッキ」について解説していきます。
弊社では黒ニッケルメッキも取り扱っておりますのでお気軽にお問合せ下さい
皆さん黒ニッケルメッキの見た目、ご存知でしょうか。
私が今まで見てきた数々の表面処理の中でも、一番美しいと思えるそんな外観です。
あまりメジャーではないかもしれませんが、今回はそんな知る人ぞ知る黒ニッケルメッキの魅力に迫っていきます。
黒ニッケルメッキの外観はこちらの動画から確認できます!
2分33秒~が黒ニッケルメッキのご紹介です。
弊社では黒ニッケルメッキのご対応が可能です。
その他50種類を超える表面処理の取り扱いがございますので、何でもお気軽にお問い合わせください。
ご連絡はこちらからお願いいたします。
目次
黒ニッケルメッキとは?
めっきとは?ニッケルメッキとは?
黒ニッケルメッキとはどういうめっきなのか解説する前に、めっきについて簡単に解説いたします。
めっきとは電気的または化学的に製品表面に金属の皮膜を析出させる表面処理技術です。
めっきは大きく2種類に大別され、電気を使うタイプのめっき(電気めっき)と使わないタイプのめっき(無電解めっき)があります。
前者は電気を用いた反応で、後者は薬品との化学反応のみでめっきをつけます。
素材に対して様々な機能を付与させることができるため、食品から航空・宇宙、自動車まで幅広い分野で用いられています。
皆さんの身の回りにあるほとんどすべての金属製品は、なにかしらの表面処理がなされていますが、
その中でめっきが占める割合も少なくありません。
ニッケルメッキとは、そんな析出される金属がニッケルであるメッキのことを指します。
医療部品、電子機器部品、自動車部品など、こちらも様々な業界で用いられます。
電気を使わない無電解ニッケルメッキも非常に有能なメッキであるため、こちらも広く採用されていますが、
通常「ニッケルメッキ」と表現する場合は「電気ニッケルメッキ」を指すことが多いでしょう。
・無電解ニッケルメッキについて詳しくはこちら
・電気ニッケルメッキについて詳しくはこちら
黒ニッケルメッキとは何なのか
黒ニッケルメッキはニッケルメッキを黒く染めているというわけではなく、
ニッケルと別の金属から成る合金の皮膜をめっきする処理のことを指します。
具体的にはニッケル・亜鉛合金から成る黒ニッケルメッキと、ニッケル・スズ合金から成る黒ニッケルメッキが主流で、
どちらの場合も黒ニッケルメッキの皮膜自体は基本的に0.3μ程度と非常に薄膜になります。
ちなみにニッケル・リン合金やスズ・ニッケル・銅の三元合金を用いた黒ニッケルメッキもあります。
そのために下地に通常の電気ニッケルメッキを施して光沢や耐食性を確保した上で、黒ニッケルメッキ皮膜を付します。
0.3μという膜厚のイメージとしては黒ニッケルメッキ皮膜のすぐ下の表面状態がかなり顕著に表れるような感じなので、
下地のメッキが綺麗な仕上がりであれば綺麗に、傷などがあればそれもまた消すことなく反映する形になります。
ちなみにどうやら皮膜が黒くなるメカニズムについてはあまり詳しくわかっていないようです。
化学反応によってニッケルや亜鉛が硫化することで黒く見えるという説が有力なようですが。
使用用途

黒ニッケルメッキは前述した通りその皮膜自体はかなり薄く、
下地のニッケルメッキ或いは無電解ニッケルメッキによってその性能(耐食性など)を補填しています。
低反射であるために光学機器関係の部品に用いられたり、
外観がグレーのメタリックカラー(いわゆるガンメタ色)になり落ち着いた色味の為、
クリアコートをした上で装飾品や楽器の部品などに使われることも少なくありません。
クリアコートをするのは黒ニッケルメッキ自体が変色しやすいためです。
詳しくは後述の「メリットとデメリット」の段落で説明します。
対応可能サイズ
弊社では黒ニッケルメッキにおいて社内処理ではなく、協力工場様にて処理をおこないます。
対応可能な寸法は600×500×1000になりますが、形状・材質によってはこちらに限りませんので
一度ご相談いただければ幸いです。
処理できる材質
あらゆる表面処理は基本的に材質によって工程が変わります。
すべての工程をひとつの会社で賄うことは設備的にも技術的にも難しいため、
それぞれの業者様において処理可能な材質が異なります。
たとえば同じクロムメッキでも
A社:鉄・銅に対してのみクロムメッキ可能 B社:アルミに対してのみクロムメッキ可能
というような形です。
これは鉄と銅材におこなう処理工程とアルミ材におこなう処理工程が違うことに起因しています。
弊社の黒ニッケルメッキについては、鉄・銅・ステンレス・アルミニウムに対して処理可能ですが、
別の材質について違う協力工場様にて対応可能な可能性がありますので、お気軽にご相談ください。
メリットとデメリット
黒ニッケルメッキの一番のメリットは外観にあります。
これまで私も非常にたくさんの表面処理を拝見してきましたが、黒ニッケルメッキの外観は指折りです。
前述した通り黒ニッケルメッキの低反射を活かすこともありますが、
低反射が目的であれば例えば低温黒クロムメッキなど、その他のめっきの方が適している場合がございます。
また、実は300℃くらいの温度になるまで色味を保持することができるので、高温環境下での使用にも適しています。
はんだ付け性も良いので、家電などに用いられることもあります。
対して黒ニッケルメッキのデメリットとしては、変色がしやすいということが挙げられます。
したがって、装飾目的で用いる際はクリアコートなどのトップコートが基本的に必要となります。
また、耐薬品性・電気伝導性・耐食性を目的とする場合は他のメッキに劣る可能性がありますので、
より適切な処理を選択する必要があります。
研磨やヘアラインとの相性
最後に前処理との相性に触れていきます。
めっきについて基本的に皮膜の厚さは0.1~15μくらいの処理が多いので
そのくらいの膜厚の場合、生地の状態にかなり影響されます。
つまり生地が非常に綺麗(鏡面状態)であればめっきの仕上がりも鏡面に、
生地が荒れていればめっきの仕上がりも荒れた状態に、
もっと言えば生地にヘアラインが入っていれば、ヘアラインの状態をキープしたままめっきがなされます。
今回ご紹介した黒ニッケルメッキも例に漏れず、研磨やヘアライン、ショットブラストといった前処理の影響を顕著に受けますので
梨地調の黒ニッケルやヘアラインの黒ニッケルなども可能となっています。
近年高級な装飾としては光沢度が非常に高いものが重宝されているというよりは、
マットな質感であまり光沢がない見た目の方が人気なようで、艶消しや梨地といったマットな表面処理をご希望のお客様が増えてきています。

黒ニッケルメッキそのままでも十分美しいと言えますが、さらなる高付加価値を目指して前処理との組み合わせを検討してみてはいかがでしょうか?
弊社では黒ニッケルメッキはもちろん、鏡面研磨・ヘアライン加工・ショットブラストなどの前処理も承ることが可能です。
お気軽にご相談ください。
それではまた次回!
PROFILE

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新卒として入社後、現場での業務経験を活かし現在は営業として活動しながらコラムを執筆。塾講師・家庭教師の経歴から、「誰よりもわかりやすい解説」を志している。
また、多数の人気コラムを生み出すだけでなく、YouTubeの元編集者・現プレスリリース執筆者。コラム・YouTube・広告等のプロモーションを手掛けた本HPは流入ユーザー数前年比1,150%アップという偉業を達成した。
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