【まかせてください!】アルミニウムへのメッキ11選
※2023年9月22日に加筆修正致しました。
皆様こんにちは!
群馬県高崎市にございます(株)三和鍍金 事務の根岸です。
前回の[ステンレスにできるメッキ]は読んで頂けましたでしょうか?
今回は[アルミにできるメッキ]について書いていこうと思います。
弊社では50種類を超える表面処理に対応しておりアルミに出来る表面処理も多数ございますのでお気軽にお問合せ下さい
メッキをする上で、必ず・絶対的に気にしなければいけないこと。
それは‘その製品に希望のメッキをすることができるか’です。
材質によっては、メッキできない表面処理もございます。
日々のお問合せの中でも「アルミ材ですが、〇〇メッキできますか?」というお声もよくいただきます。
◇なぜアルミへのメッキは懸念されがちなのか?
◇アルミにできるメッキの種類
以上2つにまとめて、ご紹介していきたいと思いますので、宜しくお願い致します!
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目次
◆アルミへのメッキは難しい?

アルミの最大の特徴として<軽量>であることが挙げられます。
他にも導電性や加工しやすい等の特徴もありますが、導電性だけで言えば銅、強度で言えば鉄やステンレス等が勝ります。
また、アルミは酸素と反応しやすく、素材表面には強固な酸化被膜が形成されており、何度除去してもすぐに自然と酸化被膜が形成されるので、メッキの析出を阻害し密着性の悪い仕上がりとなってしまうので‘メッキするのが困難’とされてきました。
ですが!
ある処理を行うとアルミにもメッキできるようになるのです。
それは[ジンケート処理]というものです。
アルミの酸化被膜を溶かし、代わりに亜鉛皮膜をアルミの表面に形成させる処理です。
この処理をすることにより、メッキの密着性が良くなるのです。
(ジンケート処理についての詳しいコラムは以下のリンクよりご参照ください)
ここまで書いてきて、アルミの優れていない面が強調されているな…と感じた皆様!
そんなことないです♩
何度除去しても形成されてしまう酸化被膜。
裏を返せば、強固な酸化被膜のおかげでサビに強くなるので、耐食性が高いということです。
とびぬけて優れている点といえば酸化被膜の形成かもしれませんが、適度に電気伝導性もあり、適度に強く、さらに軽く、耐食性も良いというのが工業製品を作る上で扱いやすく、アルミの特徴とも言えますね。

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◆アルミにできるメッキの種類
アルミの特徴をご理解頂けたところで、弊社にご依頼頂いた場合[どのメッキをアルミに施すことができるのか?]をご紹介いたします。
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カチオン電着塗装×アルミ
カチオン電着塗装はステンレスにできるメッキのコラムでも記載しましたが、電気の力を利用して塗膜されます。アルミは先述した通り電気伝導性が高いので、カチオン電着塗装は問題なく処理することが出来ます。

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電解研磨×アルミ
アルミ自体が光沢のあるピカピカな素材というより、サラサラしたような素材ですので、ステンレス材への電解研磨の仕上がりを想像すると少し異なるかもしれません。しかし電解研磨の目的が素材表面を平滑化させたり、溶接時の焼けやバリ取りなども含まれる為、凹凸の少ない綺麗な仕上がりになります。

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硬質クロムメッキ×アルミ
シャフトやモーター部品など耐摩耗性が必要となる部分の部品にメッキされるのが硬質クロムメッキ。手間や工数が他のメッキとは違い多くかかるので金額はかかりますが、摩耗性にプラス耐食性にも優れたメッキです。

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無電解ニッケルメッキ×アルミ
電気を力を使わずに化学反応でメッキをつける方法です。通常電気の力を使用したメッキは製品角の部分(端の部分)が一番電気を受けやすいので、長い時間電気を流してしまうとメッキの膜厚が角部分と中心部分で変わってきてしまいます。しかし無電解ニッケルメッキは電気を流さず液に浸漬させるだけなので、複雑な形状の製品でも(それがアルミ材であっても)均一にメッキを付けることが出来ます。

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金メッキ×アルミ
金メッキもアルミに施すことが出来ます。金を使用している為、他のメッキより金額はかかりますが、対応可能です。高級感漂う仕上がりとなります。

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真鍮メッキ×アルミ
金メッキする予算は厳しい…というお客様にオススメなのが真鍮メッキです。見た目は金メッキに近いですが、金メッキがクリアな金色をしているとしたら、真鍮メッキは若干くすんだ感じの金色を想像して頂くと分かりやすいかもしれません。

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古美色メッキ×アルミ
アンティーク調にしたい時にオススメのメッキです。黒皮被膜を適度に残すことによって長い年月を掛けたような色合いに仕上がります。また、黒皮被膜の残し方を加減して好みの色味に調整できるのも古美色メッキの特徴の一つです。工業部品よりはアンティーク雑貨等に向いているメッキです。

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黒ニッケルメッキ×アルミ
通常のシルバー色のニッケルメッキとは違って、メタリックグレーのような落ち着いた色合いのニッケルメッキです。ニッケルメッキの特徴でもある耐食性を備えながら、外観も重厚感もある美しい仕上がりのメッキとなります。カメラなどの光学部品や装飾部品に使用されることが多いです。

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黒クロム×アルミ
シルバー色のクロムメッキとは違い、光沢がなく真っ黒の仕上がりのメッキです。膜厚が2~3μmと薄く、寸法精度に左右されないのが特徴です。その為、半導体装置部品や精密機械部品なども繊細な部分に使用されることが多いです。

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ジオメット処理×アルミ
RoHS指令やREACH規制などの環境規定に引っかかってしまうダクロ処理の代替メッキとして知られているのがジオメット処理。主に自動車部品や建築機械部品に使用されることが多く、耐食性や耐熱性にも優れています。水素脆性の恐れが無いことも特徴の1つです。

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ヘアライン×アルミ
研磨の方法の1つです。ヘアライン加工を施した同方向のキズを目立たなくさせます。仕上がりはマットで高級感のある雰囲気の質感となります。最近も「アルミ材にヘアライン加工できますか?」とのお問合せを数件頂いておりますので、需要のある加工法のようです。

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□アルミだけに関わらず、弊社内で承っているメッキの紹介動画もあります。
見た目や色味、対応しているメッキ、特徴などが分かりやすくまとめられておりますので、是非ご覧ください!
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◆まとめ
今回は【材質:アルミ】に絞り、ご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?
アルミへのメッキのお問合せは、よく頂きます。
私も今回、この記事を書くことでアルミの特徴を踏まえながら、アルミにできるメッキの種類を知ることが出来たので勉強になりました。
‘この材質には○○メッキできるかな…?’など、ご不安な点ございましたらお気軽にご連絡くださいませ(#^^#)

PROFILE

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ウエディング・旅行業界で勤務後、株式会社三和鍍金に入社。
事務員として伝票発行や納期管理をする傍ら、サービス業で培った高いホスピタリティ(おもてなし精神)を活かし、三和鍍金に関わる全ての方々が気持ち良く過ごせるようなお客様対応を心がけている。
メッキについて初心者であることを活かし、「メッキ初心者の視点」で書いたコラムはいずれも高い人気を博している。
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